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2022年2月 8日 (火)

荻野進介『水を光に変えた男 動く経営者 福沢桃介』

202201hikariwomizuni_2313x452 荻野進介さんから『水を光に変えた男 動く経営者 福沢桃介』(日本経済新聞出版社)をお送りいただきました。

https://nikkeibook.nikkeibp.co.jp/item-detail/17717

荻野さんといえば、海老原さんとコンビを組んでいろいろと書かれている雇用ジャーナリストで、私もかなり長いおつきあいですが、今回は趣をがらりと変えて小説です。それも評伝風の伝記小説。

電力王と呼ばれた明治・大正期の実業家、福沢桃介(1868~1938)。埼玉の貧農の次男として生まれた桃介は金持ちになることを夢見て慶應義塾に通い、福沢諭吉の娘婿となる。念願の米国留学も果たし、一流企業に就職、すべては順調にいくかと思いきや、行く手を病魔が立ちふさぎ、長期入院を与儀なくされる。ところが病床で株を覚え、大金持ちになる。その金を元手に自分の会社をつくるものの、義父である諭吉の裏切りに遭い、会社を畳む。そこから一転、相場の世界にはまり、兜町の風雲児となるが、相場師という虚業に嫌気がさし、電力事業という実業に目覚める。弟分の松永安左エ門、日本最初の世界的女優、川上貞というパートナーの助けも借り、木曾川に東洋一のダムを築く。

桃介は直感や感性の人で、物事を論理からのみ考えない。「二と二が合わさって四になるんじゃない、時には五にもゼロにもなるんだ」と言うのが口癖。水力発電を主戦場と決めたのも、事業の将来性はもちろんだが、生き物を殺さず、土や岩を苛め抜くだけで済む、という理由からであった。本書は、桃介の稀代の事業家、イノベーターとしての機略縦横の活躍ぶりにスポットをあて、その生涯を描く。

主人公の福沢桃介といえば、もうだいぶ昔のNHKの大河ドラマ「春の波濤」で風間杜夫が演じていた記憶がかすかにありますが、松坂慶子が演じていた川上貞奴とのからみももちろん一つの軸ですが、水力発電に邁進するビジネス・ロマンが話の主たる軸で、荻野さんはどっちに主力があるんだろうか、と思いつつ読んでいました。タイトルの「水を光に変えた男」ってのはもちろんビジネスロマンなんですが。

このビジネスロマンの部分も一筋縄ではいかないので、木曽谷に水力発電所を作ろうとして地元の島崎広助(これがあの島崎藤村の兄貴)の反対運動にぶつかり、あの手この手で切り崩し工作を仕掛けるあたり、桃介がヒール役のノワールな味わいもあります。

あの「電力の鬼」こと松永安左エ門が桃介の弟分としてなんとなく軽っぽい感じで出てくるのも、ちょっと変な感じです。

それから、電力事業を始める前の相場師として活躍するあたり、やや突飛ですが笹川良一の話を思い出しました。故佐藤誠三郎さんの『正翼の男』にも、戦前の笹川良一がなぜか株で大儲けするシーンが出てきますが、桃介にしろ笹川良一にしろ、なにか超能力を持っていたのかという感じです。

 

 

 

 

 

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コメント

濱口さん、ご紹介ありがとうございます。福沢桃介というと、どちらも彼の重要なパートナーだった、日本初の世界的女優、貞奴と、電力の鬼、松永安左エ門のほうに強いスポットライトがあたりがち。そうではなくて、こっちが親分なんだよ、という気持ちで書きました。桃介から笹川良一を連想されるとは、濱口さんの頭の中の知の泉の深さ、広さに思わず唸りしました。
電力業界は、これから風力、地熱、そして太陽光と、再生エネルギーが大きく拡大していきます。そうしたなか、水力勃興期に現われた、この桃介のようなリーダーがまた出てくるのではないかと思っています。それも日本発グローバルレベルで。

なるほど、貞奴よりも安左エ門よりも、あんまり注目されていない桃介に注目しろぉ!というのが執筆の動機であったわけですね。

笹川良一は、いや桃介の相場師としての儲けぶりがあまりにも凄くて、そういえない前こんなものすごいのを読んだ記憶があるなと思って辿っていくと日本船舶振興会だったわけです。

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