ジョブ型でなくなるのはベアじゃなくて定昇
依然としてジョブ型をめぐって混乱した話が飛び交っていますが、ジョブ型になったらベアがなくなるというのは、厳密な議論をすれば別ですが概ねウソです。
もちろん、「ベア」(ベースアップ)というのは、ベース賃金という日本独特の概念に基づくものなので、厳密にはジョブ型社会には対応しませんが、でもジョブ型社会でも産別組合が団体交渉して各職種の賃金額を引き上げるわけで、その総計の平均をベアみたいなものだといってそれほど間違いではない。それは確かに労働組合が交渉で勝ち取った賃上げ分なのですから。
これに対して、ジョブ型社会ではありえないのが「定昇込みいくら」という賃上げの表示方法です。定昇(定期昇給)というのは、その労働者本人にとっては確かに自分の賃金が上がることですが、労働者全体の入れ替わりを考えたら概ね高給の人が出ていって低給の人が入ってくるので平均したらとんとんであって、マクロ的には全然賃金は上がっていないのです。
マクロには賃金が上がっていないのに、ミクロ(本人)にとっては昇給してるからまあいいや、というごまかしの賃上げを「定昇込みいくら」という言い方で積み重ねてきたのが日本であって、そういうのは確かにジョブ型社会ではあり得ないんですね。
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