事業を開始した受給資格者等に係る受給期間の特例
本日、労政審で雇用保険法等の改正案要綱が承認されましたが、その中にちょっと興味深い規定があります。
https://www.mhlw.go.jp/content/000881549.pdf
今回の改正案で一番注目されたのはいうまでもなく、雇用調整助成金が使われ過ぎてお金が無くなったのをどうするかという話で、保険料率を上げるけれどもそれを先延ばしするとか、いろいろ話題になりましたが、ここではそこじゃなくて、フリーランス対策の一環という面もあるある規定を。
それは、要綱の文言では
二 事業を開始した受給資格者等に係る受給期間の特例
受給資格者であって、基本手当の受給資格に係る離職の日後に事業(その実施期間が三十日未満のものその他厚生労働省令で定めるもの(注1)を除く。)を開始したものその他これに準ずるものとして厚生労働省令で定める者(注2)が、厚生労働省令で定めるところにより公共職業安定所長にその旨を申し出た場合には、当該事業の実施期間(当該期間の日数が四年から受給期間の日数を除いた日数を超える場合における当該超える日数を除く。)は、受給期間に算入しないものとすること。
(注1)当該事業により自立することができないと公共職業安定所長が認めるものとする予定〔省令〕。
(注2)離職前に当該事業を開始し、離職後に当該事業に専念する者とする予定〔省令〕。
となっていますが、つまり一旦労働者から起業の道を選んで自営業者になった人が、夢破れてもう一遍労働者に戻って仕事を探そうというときに、元の勤務実績に基づいた失業給付をもらえるという話です。
これは、もちろん特定の場合に限ってですが、ある意味で元労働者のフリーランスにも雇用保険を拡大適用しているような面があり、昨年6月の骨太の方針で「フリーランスといった経済・雇用情勢の影響を特に受けやすい方へのセーフティネット・・・の在り方を検討」という要請に部分的に答えたという面があります。
労政審の安全衛生分科会では、例のアスベスト最高裁判決を受けて、一人親方へも安全衛生規定を拡大するという議論をしていますし、こういう割と地味な方面で、フリーランス対策がじわじわと膨らんでいるということも、頭の片隅にとどめておく必要がありそうです。
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