賃金の「上げる」と「上がる」の間
ジョブ型社会では、賃金は上げなければ上がらない。
ジョブに値札が付いているから、時間が過ぎても上がらない。
だから、一生懸命上げようとする。
だって、上げないと上がらないから。
ところが、メンバーシップ型では、賃金は上げなくても上がる。
人に値札が付いていて、定期的に査定されて上げられる。
だから、一生懸命上げようとしなくてもいい。
だって、上げなくても上がるから。
以上はあくまでも労働者個人にとっての話。
労働者一人一人にとっては、上げなくても上がるからいいけれども、
労働者全体としてみたら、それって全然上がっていない。
上がり切った人が抜けて、これから上がっていく人が入ってくる。
それを繰り返していれば、みんな上がっているけれど、全部足したら全然上がらないまま。
ミクロではみんな上がっているのに、マクロでは全然上がっていないのはそのため。
みんなが上げなくても上がるからと言って上げようとしなかったら、結局全部足し合わせたら全然上がらない。
という話を、誰もしないのはなぜだろう。
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コメント
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> メンバーシップ型では、賃金は上げなくても上がる。人に値札が付いていて、定期的に査定されて上げられる。
> 上がり切った人が抜けて、これから上がっていく人が入ってくる。それを繰り返していれば、みんな上がっているけれど、全部足したら全然上がらないまま。
何故か、その構造をやたらと維持強化したがる界隈がある、ということですな。
> テニュアをとった教授連の雇用の安定ぶりに比べて、有期雇用契約の人々をできるだけ不安定な地位に置き続けることに異常なまでの熱意を傾けてきた部門ですからね。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2021/10/post-fa4a02.html
> 良好な雇用機会を得られない哲学や文学の専攻者というのは、運のいい同輩に良好な雇用機会を提供するために自らの資源や機会費用を提供している被搾取者ということになります。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2022/01/post-db12ed.html
> 低い処遇で裁量性の低い仕事で長時間労働をするという不条理に耐えなければ管理職に到達しないのです。管理職になって高給をもらって相対的に裁量的に仕事を進められるようになるためには、相当の長期間にわたって不条理に耐えなければならない。そしてその不条理に耐える期間が、女性にとってはまさに生物学的再生産にとって重要な時期であるということが、問題を複雑にします。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2021/01/post-e3bef9.html
フェミニズムって、一体、何の意味があるんでしょうね。
いや、答えは既に出ているのかもしれません。
> 自分の教え子(東大を出て下流大学に就職した研究者)に対する過剰なまでの同情と、その彼らに教えられている研究者なんぞになりえようはずのない学生に対する見事なまでの同情の欠如は、この辺の感覚を非常に良く浮かび上がらせているように思います。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2022/01/post-db12ed.html
投稿: O-Sawari | 2022年1月21日 (金) 10時12分
「日本政府にお金をすられるとこまる」と思っている人たちに様々なセクターが牛耳られているからじゃないでしょうか?なので準備をした上でそうではないと気づいてもらうことが先に必要なのかもしれません。
投稿: 明神 | 2022年1月22日 (土) 12時35分