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2021年12月 2日 (木)

中野慶『小説 岩波書店取材日記』

1197 中野慶『小説 岩波書店取材日記』(かもがわ出版)をお送りいただきました。

http://www.kamogawa.co.jp/kensaku/syoseki/sa/1197.html

実在する版元を舞台にした実験的ユーモア小説。吉野源三郎の志を受け継ぎ、理想の職場をめざした人々の夢と葛藤と。新人の女性コンサルタントがその軌跡を探索するユーモアあふれるストーリー。名著が次々登場し、戦後の日本を映し出します。

太めの帯に「リアルすぎるユーモア小説です」とあるのですが、そのリアルさがおそらく岩波書店関係者にとってはひしひしと感じられるようなものなのだろうな、と想像はされるのですが、いささか楽屋話に満ち満ちていて、部外者にとってはやや疎外感も感じられ、ユーモア小説として楽しめるのかといわれると、うーん、という感じではあります。

中野慶というのはペンネームで、本名は大塚茂樹さん。1957年生まれ。岩波書店の編集者として単行本や現代文庫を担当する。2014年早期退職して著述業、とのことですが、その匂いは全編に満ちています。第1日目に主人公が岩波書店を訪問した時に、階段の上から降りてきた老人I先生がケインズの本を書いた経済学者だとか、長らく残業代のない一律年功賃金だったことに、この社の月刊誌に載った論文の「やりがいの搾取」だとか、おそらくニヤニヤすべきポイントはあちこちにあるのでしょう。

ちなみにこの出版社の残業代問題は、編集という本来的に高度プロフェッショナルな職種と、そうでもない職種とを、まさに日本型雇用の典型として等しく同じ社員として一律平等に扱わねばならないことの一つの帰結だったのでしょうが、その出版物の紙上で残業代ゼロを批判することとの微妙なずれは、しかしながら公然と語られるものではなかったことは、本書におけるさりげなさそうな記述ぶりにもちらりと現れていますね。

ちなみに、終わり近くに、

・・・新しい労働社会を提起する一冊の問題意識に、国友さんは影響されている。・・・・

という1行が出てきますが、拙著も読まれたようです、ご苦労様ですね。

 

 

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