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2021年12月 5日 (日)

『ワイズ ガバメント』

9784502388514_430 重松博之監修、野中郁次郎・鈴木寛・山内康英 編著『ワイズ ガバメント―日本の政治過程と行財政システム』(中央経済社)をお送りいただきました。

https://www.biz-book.jp/isbn/978-4-502-38851-4

重松元会計監査院院長・野中郁次郎先生を中心に学会、官界の最前線で活動している研究者・実務家を集結し、日本の官僚機構・政治システムの構造・問題点を財政面から探求した。 

執筆者は上の編著者に加えて、公文俊平、牧原出、泉田裕彦、東信、亀井孝文といった方々で、その分野もさまざまであるため、正直全体のまとまりがあまり感じられず、それぞれに面白いなと感じるところがいろいろありながらも、まとまった感想というのは言いにくいという印象です。

私の関心範囲からすると、牧原さんの書かれた第4章「行財政における調整」がこの間の政権交代を通じて二省間調整や総合調整がどのように推移してきたかを描き出していて興味深いのですが、人によってはいま話題の主の泉田裕彦さんによる第5章「自治体経営と政策プランの実践」が面白いかも知れません。またアメリカやドイツの公会計の仕組みの解説も役に立ちます。

しかしここでは、畑違いのわたくしに本書を送っていただいた公文俊平さんの第2章「日本の財政の現状とマクロ経済理論」を紹介しておきます。この章は、正直言うと本書の中でどのように位置づけられるのかはよくわからないのですが、マクロ経済理論なるものが、①1929年の世界大恐慌、②1970年代の石油危機と1980年代のスタグフレーション、③2008年の金融危機といった大きな経済的事件を契機に、その原因を先行する経済モデルの理論的な誤りとして解釈し、それに代わる理論的な代替案として自らのモデルを提起する形で、モデルの交代が行われてきたと述べます。

そして日本の財政赤字の原因について、「企業の労働分配率の低下が、企業の内部留保と銀行の国債購入を通じて、日本の人口構成の変化がもたらした社会保障費の増額をファイナンスする結果になっている。社会的な所得再分配の観点からすれば、これは企業の内部留保が、国債を通じて徴税を補完する機能を果たしてきたということになる」と、大変皮肉な見方をしています。

その他、クルーグマンの自己批判だとか、MMTが貨幣内生説の最新のバリエーションだとか、たぶんいろいろと面白そうなことも書かれていますが、私の能力を超えるのでこれくらいにしておきます。

 

 

 

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