財・サービスが市場なら労働も市場である
今話題の「安いニッポン」ですが、こんな記事が目に付きました。
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2111/09/news053.html
「もう争奪戦ですよ、せっかくお客さんが戻り始めたのにぜんぜんアルバイトがいない」・・・
・・・「そりゃ賃上げできるもんならしたいけど、売り上げが厳しくて時給を上げられないんだ!」と怒りで震える外食経営者も多いだろう。ただ、厳しいことを言わせていただくと、そういう考え方をあらためない限り、多くの先進国が賃金を上げてきたこの30年間で、ほとんど賃金が上がっていない「安いニッポン」から抜け出すことはできない。・・・
つまり、このカフェが今後、労働力を確保をしていくのにやるべきことは、「みんなで褒め合う」とか「やりがいを高める」という精神論へ傾倒することなどではなく、「最低賃金労働」をやめて、賃上げの努力をしていくことなのだ。
新しかろうが古かろうが、資本主義の基本原理からすればあまりにも当たり前なこの言葉が今さらながらに目新しく見えてしまうのは、こういう資本主義の最前線で頑張っているかの如く自らも思い込んでいる経営者自らが、財・サービスが市場であることは人よりも百万倍よく分かっていながら、労働もまたそれと同じように市場であるということがかけらも理解できていないからなのでしょうね。
実のところ、資本主義が古いとか新しいとかは、この問題にはあまり関係がないし、下手に新しい資本主義とかいって労働を市場から隔離しようとしたがるたぐいの議論こそが、こういう労働市場の基本原理を忘れて、「「みんなで褒め合う」とか「やりがいを高める」という精神論へ傾倒」したがる傾向にあることを考えると、労働も財・サービスと同様に資本主義の根幹をなす市場であり、労働需要と労働供給が価格を目印に結合したりしなかったりするという教科書の初めの数頁に書いているくらいのことをもういっぺん噛みしめるところから始めた方がいいのかもしれません。もちろん、経営者が、ですよ。
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やっぱり日本には資本主義が根付いていないのですね。
そう言えば以前プレジデントと言う経済専門誌はなぜか「歴史の人物に学ぶ」と言って史記だとか、太平洋戦争とか、あるいは戦国武将の特集をやたら組んでましたね。
欧米の資本主義を築いた経営者に学ぶ、と言う特集をしなかったのか不思議に思いましたが、やはり日本が資本主義以前の社会だからそれに合わせた特集だったわけですね。
トホホですな(^^;
投稿: balthazar | 2021年11月11日 (木) 19時17分