『日本比較政治学会年報 第23号 インフォーマルな政治制度とガバナンス 』
『日本比較政治学会年報 第23号 インフォーマルな政治制度とガバナンス 』(ミネルヴァ書房)を、その中の一篇「常態化する労働政治のインフォーマル・プロセス――日韓「働き方改革」比較の視点から 」を書かれた安周永さんよりお送りいただきました。ありがとうございます。政治学の学会誌など、こういう機会でもなければなかなか目を通すことはないでしょうから、安さんの論文のほかにも例えばインドネシアのパンチャシラ青年団の話などは大変興味深く読めました。
https://www.minervashobo.co.jp/book/b589593.html
さて、安さんの論文ですが、かつてわたくしが書評した『日韓企業主義的雇用政策の分岐――権力資源動員論から見た労働組合の戦略』の最新トピック版です。
https://oisr-org.ws.hosei.ac.jp/images/oz/contents/659-660-10.pdf
同書は派遣法、非正規、雇用保険、外国人を取り上げていましたが、今回は働き方改革で、やはり安倍内閣の政治過程と韓国の朴槿恵政権の政治過程における労働組合の戦略をインサイダー対アウトサイダー、提携か否かという軸で分析しています。
かつての書評では労働法政策の観点からかなり厳しい指摘もしましたが、今回もいくつか分析の視座に違和感を感じるところがあります。ただ、それ以上に、この論文は労働政策におけるフォーマルプロセスに焦点が当たっていて、タイトルのようにインフォーマルな話になっていないのではないかという気がしました。敢えて言えば、三者構成というフォーマルなプロセスが、官邸の中の外からはよく見えない政治過程によって空洞化されることとのせめぎ合いという面が強く、とはいえ、官邸という政治の中枢で行われていることをインフォーマルというわけにもいかないでしょうから、タイトルとあっていない感がしました。
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