フォト
2021年10月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
無料ブログはココログ

« 令和3年度IDE大学セミナー「大卒キャリアと大学教育」 | トップページ | 分配か改革か? »

2021年10月 6日 (水)

今年の労働関係図書優秀賞は川上淳之『「副業」の研究』

Tosho2021 今年の労働関係図書優秀賞は川上淳之さんの『「副業」の研究』(慶應義塾大学出版会)に決まりました。おめでとうございます。

https://www.jil.go.jp/award/bn/2021/index.html

本書については、今年3月に刊行されたときに本ブログで取り上げておりました。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2021/03/post-b025d4.html

川上さんの副業研究は、2017年の労働関係論文優秀賞を受賞していまして、そのときに確か授賞式で語られたことが頭に残っていたのですが、それが本書でもあとがきに書かれています。

この本の執筆のきっかけになる副業研究のアイディアを思いついたのは、2011年の秋頃、霞ヶ関から上石神井に移動する西武新宿線の車内だった。当時の私は、三つの研究所と二つの非常勤講師を担当する、いわば副業だらけのクィンタプル・ワーカーであった。慌ただしく職場間移動する中で、私は次のようなことを考えた。

「自分は、午前中に進めていた企業の生産性に関する研究の方法を、午後の職場で進めている最低賃金の研究に適用することができている。このような形で研究ができるのは、自分が複数の仕事をしているからかもしれない」

もちろん、午前中の霞ヶ関とは経済産業研究所(RIETI)であり、午後の上石神井とは労働政策研究・研修機構(JILPT)ですね。そこで生産性と最低賃金の研究という見事なカップリングができたわけです。

とはいえ、この発想だけで研究が進められたわけではありません。川上さんのお母さんが、真剣な口調で

「世の中、そういう副業ばかりではないんじゃないの?」

といわれたことが、本書の研究のここかしこに現れています。

世の中には副業に関する本はごまんと出ていますが、この問題に関する本格的な経済学的研究としては初めての本じゃないでしょうか。

このように川上さんの副業研究は、論文段階でも労働関係論文優秀賞を受賞しており、一つのネタで二つの賞を総なめという大変効率性の高さです。

全く余計なお世話な話ですが、昨年の図書優秀賞の酒井正さんの『日本のセーフティーネット格差』も慶應出版会だし、そのまえの神林龍さんの『正規の世界・非正規の世界』も慶應出版会だったし、最近なかなか調子がいいようです。

(追記)

Keidanren_20211006120901 なお、たまたまですが、ちょうど本書の受賞に併せたように、経団連が『副業・兼業の促進』という冊子を公表しています。

http://www.keidanren.or.jp/policy/2021/090_honbun.pdf

その後半には、以下のような15社の企業事例が載っています。

株式会社IHI
ANAホールディングス株式会社
SMBC日興証券株式会社
カゴメ株式会社
株式会社JTB
株式会社静岡銀行
株式会社新生銀行
ダイハツ工業株式会社
株式会社ディー・エヌ・エー
東京海上日動火災保険株式会社
株式会社みずほフィナンシャルグループ
三菱地所株式会社
ライオン株式会社
ライフネット生命保険株式会社
ヤフー株式会社

 

 

« 令和3年度IDE大学セミナー「大卒キャリアと大学教育」 | トップページ | 分配か改革か? »

コメント

東洋大学の川上です。
この度は、「労働関係図書優秀賞」受賞をブログ記事に取り上げていただき、誠にありがとうございます。本を出版した時も、一番に取り上げていただいたことをよく覚えております。ブログの記事で受賞を知ったと、研究仲間からのお祝いのメールも頂きました。

まだ、副業のことはわからないことが多いので、研究は続けていきたいと思っています。
追記されていた経団連の冊子も拝読したいと思います。

拙ブログが広報役になったのであれば大変光栄です。
最近、図書優秀賞は複数受賞が結構多かったのですが、今回は他を圧して単独受賞ということで、それだけ審査委員の先生方から高く評価されたということでしょう。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 令和3年度IDE大学セミナー「大卒キャリアと大学教育」 | トップページ | 分配か改革か? »