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2021年10月25日 (月)

賃金の本質は仕事ではなく身分への対価

日本型雇用の本質は学歴の扱いによく露呈します。

『ジョブ型雇用社会とは何か』で取り上げた、高学歴を低学歴と詐称したら懲戒解雇だけれど、低学歴を高学歴と詐称しても雇止めにもならないというのは、その好例ですが、30年間何の疑問も持たれずに業務に従事してきた職員を、大卒じゃなくて高卒だったから差額を返せと言い出しているこの事例も、いかにもよく日本型雇用社会における賃金というものの本質を現わしているようです。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20211024-OYT1T50053/

公益社団法人・峡北広域シルバー人材センター(山梨県韮崎市中田町中条)で少なくとも約15年間で計約400万円の給与過払いがあったことがわかった。

センターによると、基準より多く給与を受けとっていたのは勤続30年の職員。高校卒業後、大学を中退していたが、大卒として給与算定されていたことが資料の残る期間で確認された。

人事台帳には大学の在籍証明書はあったが、卒業証明書はなかった。センターの調査に対し、7月に職員から「勤務当初から高卒と言っている」と回答があり、9月の給与から高卒の給与に改めた。

センターは「大卒扱いになった経緯は不明」としている。確認された給与過払い分については返還を求める方向で25日の理事会に諮る見通し。

拙著でも述べたように、仕事の中身に関する限り、日本は全然学歴社会ではありません。欧米では、そもそも学歴というスキル証明書がなければそれを必要とするジョブにはめ込んでくれませんが、日本では学歴なんかどんな仕事をするかと全然関係がないと思われているので、この仕事は大卒、この仕事は高卒なんていう風にはなっていない。

だけど、仕事の中身とは関係のない身分については、学歴というのはとても大事であるということが、この記事から分かります。30年間、仕事をしてくる中では、彼が大卒か高卒かなどということは何も気にかけなかったのに、実は身分が違っていたというのは、仕事の中身と関係のない身分の現れである賃金額との関係では極めて重要なことであったわけです。

賃金の本質は仕事ではなく身分への対価であるという日本社会の本質をここまであからさまにしてくれたこの事件は、長らく教科書に載せる値打ちがありそうです。

 

 

 

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コメント

「ジョブ型雇用社会とは何か」を読みました。
考えたのですが、日本は実はまだ資本主義社会ではないのではないか、実は江戸時代の精神状態のままなのでは・・・?

ジョブ型雇用は労働の一部をどう切り売りするか、と言う合理主義、資本主義的な発想から生まれていますよね。
しかし日本ではそうではなくて身分に着目したメンバーシップ型雇用が主流になっている。
これはやはりまだ日本人が農村社会的な江戸時代の精神状態とそんなに変わってなくてメンバーシップ型雇用を知らず知らずのうちに選んでいるのではないか。

だから今更の渋沢栄一翁がイマドキお札になったり、ドラマになったりするのではないでしょうか。

悲しい事ではあるのですが(T_T)

人事が候補者を選ぶ時間が有限である以上、学歴で選ばざるを得ないところはあると思う。
これはあくまでも雇用の初期段階の話である。それ以降は仕事の成果で評価されるべきだ。

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