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2021年10月15日 (金)

酔流亭さんのやや長めの書評

71cahqvlel_20211015000601 酔流亭さんが、『ジョブ型雇用社会とは何か』に対して、やや長めの書評を書かれています。

https://suyiryutei.exblog.jp/30755224/(日本版「同一労働同一賃金」の深相)

「深相」という言葉は、私の本に出てくる用語ではありませんが、とてもいいたいことを一言で表している二文字ですね。

先月出たばかりの『ジョブ型雇用社会とは何か』(濱口桂一郎著 岩波新書)は教えられるところが多い本ではある。なかでも、日本版「同一労働同一賃金」を実現しようとした労働法学者・水町勇一郎氏(東大教授)の真意は何であったかへの洞察には「あっ、そうだったのか」と思った。・・・

・・・濱口桂一郎氏の洞察によれば、水町教授はそのこと(現状では日本では同一労働同一賃金は実現しないこと)を百も承知で、しかし政府が同一労働同一賃金を謳うのを衝いて、その名の下に、せめて非正規雇用労働者の賃金を正規雇用の職能給(人に値札の付いた賃金制度である)に統一しようとしたのではないか。同一賃金は実現できなくとも、正規と非正規を同一の基準では処遇せよ、と。・・・ 

・・・それだけに濱口桂一郎のこの問題について推測を含めた洞察は、水町への敬意と友情も感じられて腑に落ちるものである。 

念のためにいえば、この「深相」はあくまでも「私の想像に想像を重ねた解釈」に過ぎないので、本人はそんなことはおくびにも出していません。

この書評の最後には、私の労働組合へのスタンスがあまりにも冷ややかではないかとの苦情が書かれています。

・・・ただ『ジョブ型雇用社会とは何か』という本全体については、冒頭に書いたように勉強になったけれど、違和感もまた残る。労働運動に対する著者の突き放したような冷ややかな視線だ。なるほど日本の労働組合運動は、それが生み出された労働社会の歪みを反映しておおいに歪んでいる。いい加減にせい、こいつら、とEU諸国の労働社会と運動を熟知する著者が吐き捨てたくなるのもわからぬではない。しかし、その歪みを糺すのは職場から労働運動を強めていくこと以外には無いのではなかろうか。 

冷ややかと言えばそうかも知れませんが、冷静さを失って妙に熱っぽく叫び出すとだいたい足を踏み外して転げます。

冷ややかにではあってもそれなりにシンパシーを示しているつもりではありますし、特に最後の提言は、労働組合を愛していないとああいうのは出てこないですよ。

 

 

 

 

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