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2021年9月 4日 (土)

『季刊労働法』2021年秋号(274号)の予告

274_h1hp 労働開発研究会のホームページに、『季刊労働法』2021年秋号(274号)の予告が出てます。

https://www.roudou-kk.co.jp/books/quarterly/9659/

特集は「テレワークの拡大と法的課題」とのことで、 

介護との両立が難しいなどと報じられ、急拡大したようにみえる一方で運用面に難しさの残るテレワーク。昨年から急速に広まったように見えているとはいえ、もともと重要な政策課題にはなっていた「テレワーク」。特集ではその法的課題を探ります。 

テレワークを論じる―技術革新と社会的価値― 神戸大学大学院法学研究科教授 大内 伸哉
雇用型テレワークに係る労働法上の課題 横浜国立大学准教授 石﨑 由希子
テレワークにおけるプライバシーの法的課題 弁護士 松尾 剛行
フランスのテレワーク法制の現状 明治学院大学准教授 河野 奈月 

テレワークについては、私自身厚労省のテレワーク検討会に参加したり、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2020/10/post-5b86c8.html

Booklet02210603_20210904090101 概観するような冊子を書いたり、

https://www.jil.go.jp/publication/ippan/booklet/02.html

271_h1scaled_20210904090301 その前に、この『季刊労働法』の2020年冬号(271号)に「テレワークの法政策」を書いたりしてましたので、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2020/12/post-bccd69.html

これらの方々がどんな観点からテレワークに取り組んでいるのか、大変楽しみです。

第2特集は、「育児休業取得の進展」とのことです。

第2特集では育児休業を取り上げます。男性の育児休業取得拡大が叫ばれる中、実質的な取得を可能とするために何が必要なのかなど、最近の実態に触れながら検討します。 

男女平等から見た2021年育児介護休業法改正の意義と課題 専修大学教授 長谷川 聡
女性のワーク・ライフ・バランスと育休の分割取得 ―2021年育介法改正の課題 福岡大学教授 所 浩代
育児休業に関する最近の判例動向―ジャパンビジネスラボ事件を振り返って 北海道教育大学教授 菅野 淑子 

その他の記事をざっと見ていくと、

■論説■
退職後の競業避止義務と労働法・独占禁止法 ―労働法と競争法の交錯― 同志社大学大学院博士前期課程修了 松本 恵里・同志社大学教授 土田 道夫・同志社大学教授 瀬領 真悟
労働契約法(旧)20条をめぐる裁判例の理論的到達点(2) 労働政策研究・研修機構副主任研究員 山本 陽大
団体交渉義務違反の判断視角―合意達成可能性模索義務の提言― 弁護士 ベロスルドヴァ・オリガ

■文献研究労働法学 第22回■
労働者のプライバシー権 神戸大学大学院後期課程 劉 子安

■イギリス労働法研究会 第37回■
クラウドワーカーの労働者性と労働者の脆弱性を起点とした目的論的解釈 ―イギリスUber事件最高裁判決 専修大学教授 石田 信平

■アジアの労働法と労働問題 第45回■
香港の社会情勢と労働問題~「一国二制度」の変質のなかで~ 日本ILO協議会企画委員 熊谷 謙一

■労働法の立法学 第62回■
専門職の労働法政策 労働政策研究・研修機構労働政策研究所長 濱口 桂一郎

■判例研究■
キャリア形成に対する労働者の期待と配転命令の有効性 安藤運輸事件(名古屋高判令和3年1月20日労判1240号5頁、名古屋地判令和元年11月12日労判1240号12頁) 小樽商科大学教授 國武 英生
一人親方等への労働安全衛生法に基づく国の規制権限不行使の違法性 建設アスベスト神奈川1陣訴訟(最一小判令和3年5月17日裁判所時報1768号2頁)東洋大学名誉教授 鎌田 耕一

■重要労働判例解説■
コロナ禍における契約中途解雇の「やむを得ない事由」と雇調金 センバ流通(仮処分)事件・仙台地決令2・8・21労判1236号63頁 東洋大学法学部専任講師・特定社労士 北岡 大介
未就労重度知的障害者の死亡による逸失利益 社会福祉法人藤倉学園事件・東京地判平31・3・22労判1206号15頁 東洋大学講師 田中 建一

■追悼■
外尾健一先生を偲ぶ 山形大学名誉教授 髙木 紘一 

最近主要国で最高裁判決が相次いでいるプラットフォーム労働に関して、イギリスのUber事件最高裁判決についての石田さんの論説は興味をそそられます。ちなみに、ドイツ連邦労働裁の判決については、今号にも出ている山本陽大さんがJILPTのリサーチアイで取り上げています。

https://www.jil.go.jp/researcheye/bn/061_210507.html(クラウドワーカーは「労働者」か?─連邦労働裁判所2020年12月1日判決)

それから、昨年急展開した香港情勢に関わって、熊谷さんが香港の社会情勢と労働問題を取り上げているのもとても時宜に適しています。

04021351_6066a2d0a83c9_20210904091601 今年3月に刊行した『団結と参加』では、前の労働政策レポート版には入っていなかった香港の節をあえて設けて、香港の労使関係システムについても概略を解説しておいたのですが、それがいまわの際の墓碑銘になってしまわないことを願っています。

https://www.jil.go.jp/publication/ippan/danketsusanka.html

第14章 中国 

第3節 香港
 アヘン戦争の結果、1842年の南京条約により香港島が清朝からイギリスに割譲され、1860年の北京条約により九龍半島も割譲された後、1998年には新界及び周辺の島嶼が1997年6月30日までの99年間イギリスの租借地となりました。これら香港ではイギリスの植民地としてコモンローが適用されるとともに、女王の任命する総督が立法会議の助言と同意に基づき条例(オーディナンス)を制定します。
 そのうち、1948年に制定され、1961年に改正された職工会条例(トレイド・ユニオンズ・オーディナンス)は、労使双方の団体をトレイド・ユニオンとして登録を義務づけ、登録組合に刑事免責と民事免責を認めています。同条例には団体交渉や労働協約に係る規定はありません。なお雇用条例(エンプロイメント・オーディナンス)は基本的に労働条件法規ですが、1974年改正により組合員となる権利、組合を結成する権利、組合活動をする権利を保障し、使用者がこれを妨げることを禁止しました。また1975年の労資関係条例(レイバー・リレイションズ・オーディナンス)は、労働争議の調停を調停員による調停、特別調停員による特別調停、仲裁裁判所による裁定等の手続きを用意しています。なお、個別紛争解決機関として労資審裁処(レイバー・トリビューナル)が設けられ、解雇予告手当や賃金未払いなど雇用条例違反の紛争を処理しています。
 1984年の中英共同声明により、1997年7月1日にイギリスの香港植民地を一括して中国に返還することが合意され、返還後50年間は現行の制度を維持することとされました。これを一国両制といいます。返還後の香港を規律するのは1990年4月の中華人民共和国香港特別行政区基本法ですが、その第8条は基本法に抵触するか改正されない限り従来の法律が保持されると定めています。また第27条は香港住民に、言論、報道及び出版の自由、結社、集会、行進及びデモンストレーションの自由、労働組合を組織し、これに参加し、ストライキを行う権利及び自由を保障しています。これにより、上述の職工会条例、雇用条例、労資関係条例等は返還後もそのまま適用されています。ただ、返還直前の1997年6月に、香港労組同盟出身議員によって5つの条例案(組合差別からの保護、情報提供・協議の権利、団体協約の法的効力等)が成立しましたが、翌7月に凍結され、10月に廃止されるという一幕がありました。
 ところが2014年の雨傘運動や、2019年の逃亡犯罪人条例案が反対デモで撤回されたことに危機感を抱いた中国当局は、2020年5月香港国家安全維持法(中華人民共和国香港特別行政区維護国家安全法)を制定しました。組織や個人による権利と自由の行使は香港特別行政区基本法の規定に違反してはならないとされ、さらに現行法と国家安全維持法が矛盾する場合は国家安全維持法が適用されるので、事実上これら権利や自由は空洞化することになります。

わたくしの「労働法の立法学」は、今回は「専門職の労働法政策」です。

はじめに
1 有料職業紹介事業の対象職業
2 労働者派遣事業の対象業務
3 有期労働契約の特例
(1) 労働契約期間の上限の特例
(2) 無期転換ルールの特例
4 労働時間規制の特例
(1) 専門業務型裁量労働制の対象業務
(2) 企画業務型裁量労働制の虚実
(3) ホワイトカラーエグゼンプションの蹉跌
(4) 高度プロフェッショナル制度
(5) 時間外・休日労働の上限規制の特例
(6) 女子保護規定の例外としての専門職
5 外国人在留資格の専門職
(1) 技術・人文知識・国際業務
(2) 高度専門職
6 専門職大学院と専門職大学

 

 


 

 

 

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