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2021年9月27日 (月)

春田吉備彦+全駐留軍労働組合中央本部『基地労働者から見た日本の「戦後」と「災後」と「今後」』

20210917173401180_18 春田吉備彦+全駐留軍労働組合中央本部『基地労働者から見た日本の「戦後」と「災後」と「今後」』(労働開発研究会)をお送りいただきました。

これ、新書版の割と薄いちっぽけな本ですが、中身はとても詰まっていて、すごい充実感があります。

なんといっても、基地労働者という戦後日本の「死角」からいろんな物事が浮かび上がってくる感じがすごいです。

知っている人は少ないでしょうが、基地労働者は指揮命令するのは米軍ですが、雇用するのは日本政府という労働者派遣システムで、派遣法ができるずっと前から占領下で形作られた仕組みが維持されてきたのですね。

このため、基地内は日本の法律が通用しないアメリカの一部のような面もあり、それがいろいろな問題を引き起こしていることが詳しく語られます。

一方で、これはやや私の視点に引き付けた読み方ですが、近ごろはやりのインチキな「キラキラ」系ジョブ型論とは対照的な、まことに地味なしかしいかにもアメリカ的なジョブ型の世界が広がってもいるんですね。

伊原亮司さんの執筆した一節から引用すると、

・・・現在の賃金制度は、一職種一等級が原則である。職種は1200余りあり、そのうち900職種が実際に使用されている。職種別に、職務内容が定義され、基本給表と等級が適用される。国家公務員のような職務階層制度はとっておらず、年功序列的な昇格制度はない。勤務実績に基づく特別昇給制度もない。従業員の多くは、退職するまで同一等級にとどまる。現状より高い等級に移りたければ、該当職場に空きが出た時に自分で応募する。・・・・組長や班長といった現場職制には日本人が就くものの、管理職や・・・専門職は原則、米国の軍人あるいは軍属に限られる。このような制度、処遇、慣行に対して、労働者に不満がないわけではないが、日本人労働者は全員が組合員になりうる立場にあるため、対米軍という形で団結を守りやすい。特筆すべきは査定の拒否である。査定は労働者間の競争をあおり、労働者を分断する。労働組合はそれを拒んできたのだ。・・・

・・・しかし結果的にではあるが、未締結であるがゆえに米軍は時間外労働を強要できない。残業が必要な場合には、従業員に「お願いして、協力を求める」という形をとり、労働者は断ることも可能である。ちなみに、兼業も認められてきた。

米軍基地は、実質的に米国の支配下にあり続けている。日本の法律が及ばぬ世界であり、いわゆる「日本的経営」が成り立たない世界である。それゆえに、基地で働く人たちは多大な苦労を強いられてきたが、米軍の言いなりになってきたわけではない。・・・

やたらに一知半解の「ジョブ型」を振り回す人は、アメリカに行く必要はないので、日本の米軍基地に行って基地労働者の働き方を見てきた方がいいかも知れませんね。

 

 

 

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