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2021年9月13日 (月)

「働かないおじさん」は年齢差別か?

一昨日、慶應義塾大学産業研究所HRM研究会の35周年シンポジウムに参加し、報告と討論をしてきましたが(zoomで)、その中身はそのうち中央経済社から出版されるとのことなので、詳しくはそちらをどうぞなのですが、その最後あたりでややトリビアな、というかトリビアに見えるエピソードがあり、たぶん本には出てこないと思うので、ちょっと紹介しておきます。

https://www.sanken.keio.ac.jp/behaviour/HRM/

私は例によって「ジョブ型VSメンバーシップ型と労働法」という話しをしたのですが、そのなかで私自身もマスコミから何回も取材されたトピックである「働かないおじさん」云々という言葉を使ったんですが、パネルディスカッションの最後のあたりで、フロア(といってももちろんzoomの聴衆)の方から「働かないおじさんという言い方は差別的じゃないか、政治的に正しくないぞ」というような意見があったようです。

司会の八代さんからそういう意見があったと紹介されたので、その場でお答えしたのは、「働かないおじさん」とだけ言って「働かないおばさん」と言わないのは男女差別的だったかも知れない。かつての日本型雇用では女性正社員は結婚退職が前提なので「働かないおばさん」は存在しえなかったけれども、均等法後は「働かないおばさん」も出てきたので。

しかし、もし働かない「おじさん」という言い方が年齢差別的だという趣旨ならば、それはそもそも日本型雇用システムそのものが入口から出口まで年齢を最も重要な基準とする仕組みであるがゆえに発生する現象なので、言葉だけポリコレで叩いても意味がない。というようなことを喋った記憶があります。

日本型雇用で得をするのは若い男性であり、損をするのは中高年と女性だという話は報告の中でしておいたつもりなので、最後にポリティカルコレクトネスで批判を受けるとは意外でした。世の中、結構表層的な脊髄反射でものを言う人が多いんですね。

40歳定年だの、45歳定年だのといった妄言が繰り返しなされる所以もまさにそこにあるわけですから。

 

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コメント

「働かないおじさん」と、ついでに「働かないおばさん」について雑感です。
「働かないおじさん」は表現がどうであれ、日本型雇用から構造的に生まれるグループだというのはその通りだと思います。hamachanは、「年齢を最も重要な基準とする」点を述べておられましたが、それだけでなく、「いったん入職してメンバーシップを獲得すれば滅多なことではじき出される危険性がない」ことも重要だと思います。似たようなメンバーシップに守られているのは、これまた日本に特徴的な「勉強しない学生」じゃないかなとも小人は思いました。
ところで、hamachanが「働かないおばさん」もいる、と言っておられますが、それは少々疑問です。均等法以降でも、小人の見聞の範囲で、働かないのは圧倒的に「おじさん」です。おばさんは、働かないよりも、どうでもいいような細かいことにこだわって仕事を増やすタイプが多いような、とおっと、女性差別的発言はここらでやめることにして、おじさんが多いのは、そもそも日本型雇用のメンバーシップ有資格者は依然として基本的に男性であることによるように思います。日本の年功序列の中で上位となる社会は依然としてオールブラックスで、男性で集団の秩序に従順でさえあれば働かなくともメンバーシップははぎとられないのが普通です。もちろん、均等法以降、女性もメンバーとなり、さらには肩書きも得た「おばさん」となる人が増えていますが、どうも日本でのそうした肩書きつきおばさんは、男性のように年齢によって自然とそうなるのではなく、「認めてもらって」抜擢される「名誉男性」であるような。で、「認めてもら」えた人ですから、当然働きます。また、「おばさん」=中高年女性、の場合、家庭持ちか独身かのいずれかですが、家庭持ちなら定時まででできるだけのことをこなして速攻退社、独身ならばその年ですとけっこう経済的に余裕ありでダラダラ仕事せずに職場に残っていたり、仕事もないのに残業のふりはしない。家庭持ちの「働かないおじさん」は、家庭があるので遊べる経済的余裕はなく、迷惑がられる家に帰るよりも職場にダラダラ居残る方が心地よく、余計に「働かなさ」が目立つ、のでは。そういった職場で多いのは、「働かないおじさん」と「低賃金でしっかり働かされるパート女性」、と思える投稿を新聞でひんぱんに目にします。以上、雑感ですが。

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