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2021年9月14日 (火)

「最低賃金近くで働く人が10年で倍増」した理由は

東京新聞が、「最低賃金近くで働く人が10年で倍増 非正規や低賃金正社員にコロナ禍も追い打ち」という記事を載せています。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/130718

 最低賃金(最賃)に近い低賃金で働く人の割合が最近10年ほどで倍増していることが、賃金に詳しい都留文科大の後藤道夫名誉教授の試算で分かった。最賃の全国平均の1.1倍以下で働く人の割合は2020年に14.2%となり、09年の7.5%から急伸した。非正規労働者や低賃金の正社員が増えたのが要因の1つで、コロナ禍が脆弱な雇用構造に追い打ちを掛けている。(山田晃史)

今の日本の最低賃金の水準が西欧主要国に比べればなお低いことは確かですが、とはいえ、この記事のとりわけ見出しの台詞は、この10年間に賃金水準が下がってきたかのように受け取られかねない、というかわざとそれを狙っているようにも見えるいささかミスリーディングなもののように思われます。

言うまでもなくこの10年、というか正確には第一次安倍内閣の2006年以来ほぼコンスタントに最低賃金は上昇し続けてきているので、「最低賃金近くで働く人が10年で倍増」するのは当然なのです。

これは、2009年と2021年の中央最低賃金審議会目安小委員会に提出された都道府県別の賃金分布のグラフを見れば一目瞭然ですが、

https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/07/dl/s0714-4d.pdf

https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000800128.pdf

2009

2021

この12年間で東京都の最低賃金が739円から1013円に上がっているので、その分最低賃金近くで働く人が増えているのですが、少なくとも12年前に今時点の最低賃金より低い賃金で働いていた多くの人が(それでも若干残ってますけど)激減してその上の最低賃金を上回るその近くに移っていることだけは間違いないのです。

 

 

 

 

 

 

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コメント

省略されている1500円以上の分布も含めた平均値、中央値、最頻値を見てみたいなあ。

マスメディアが割合を言うときは実数値を、実数値を言うときは割合を見ろ、とはよく聞きますが、このからくりは知らないと気が付かないですよね。最低賃金では、1,000円は必要だ、というのがいつの間にか1,500円とゴールポストが動いちゃってるし(物価の裏付けもないのに)。

一番底辺の賃金を「底上げ」することによって、ところてん式にその上の層の賃金も上がっていく
というのがアベノミクスの政策意図だったように理解しています。
この記事は(かなり善意の解釈ですが)、最賃引き上げの波及的効果は必ずしも生じていない
という指摘だと読むべきではないでしょうか?

アベノミクスの全体構想では、金融緩和(いわゆる「リフレ政策」)でもって全体の賃金も上がっていくというのが本筋で、最低賃金の引き上げはそれと相まって、そこから底辺層が取り残されないようにというやや副次的な位置づけであったように思われます。

全体の賃金水準は上がるどころか、国際的にはむしろ相対的に下がっていく中で、最低賃金は着実に上げていったので、上のグラフのような事態になっていったのではないでしょうか。

初めまして。
この件、私も気になって調べました。
おそらくですが、地域差だと思います。

2009年からの各都道府県の推移を見ますと、
・東京近県で上昇率が高くて、全国加重平均がアップ
・2009年に下位の県の上昇率が高くて、中位県との差が相対的に減少
の2つの減少が生じています。
例えば、静岡県の最低賃金は2009年には全国平均と同じ713円だったのに、
2020年には全国平均より17円低い885円となっています。

すなわち、全国平均がアップすると同時に、中位県が下位県に近付いたために
全国平均の1.1倍以下の人数が増えたのだと思います。

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