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2021年8月27日 (金)

首都圏青年ユニオン連合会の第三のおしごと

なんだか紛らわしい名前の首都圏青年ユニオン連合会については、ちょうど1年前に東京都労委が大変珍しい命令を下したのでブログで取り上げ、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2020/08/post-50e58d.html(首都圏青年ユニオン連合会はまっとうな労働組合に非ず@東京都労委)

昨日、東京都労委はグランティア事件という不当労働行為救済申し立て事案について、却下するという決定を下しましたが、その理由を見ると、そもそも申し立て組合つまり首都圏青年ユニオン連合会はまっとうな労働組合じゃないと一刀両断されていて、私の知る限りこういうケースって初めてなんじゃないでしょうか。 ・・・

労働組合の資格審査なんて、労働法の教科書ではどちらかというとあんまり力が入っていない部分ですよね。だいたい、不当労働行為事件で労働組合の適合性が問題になっても、「ここをちゃんと直してね」と親切に勧告して、規約を直してくればそれでOKというのが一般的なパタンなので、ここまではっきりと労組法第2条の要件を欠くから駄目じゃ!と蹴飛ばしたのはほとんど例がないと思います。 

その後、別冊中央労働時報に載ってる佐田事件にもこの団体が顔を出していることに気づいて紹介し、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2021/03/post-843385.html(御用組合の外部調達)

都労委の方では典型的な合同労組、コミュニティ・ユニオン的な行動をとる一方で、こちらではこれまた典型的な御用組合として大活躍しているようで、商売繁盛というところでしょうか。

しかし、御用組合というのは普通、自社の子飼いの中から作らせるものではないかと思うのですが、こちらはわざわざ首都圏から東北地方にまで出張しての外部調達、それもUAゼンセンの組合相手に御用組合をやろうというのですから、なかなか度胸があります。 

せっかくの面白ネタなので、労働委員会関係者向けに『中央労働時報』6月号に命令の評釈を書きました。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2021/06/post-b0c70e.html(労働組合の資格審査@『中央労働時報』6月号)

Ima_20210827100101 ・・・そうです、これは不当労働行為事件でありながら、会社側の名前なんかどうでも良くて、申し立て組合の名前が大事なんです。

その名は、人呼んで、遊星仮面、じゃなくって、首都圏青年ユニオン連合会。

あの、首都圏青年ユニオンとやたらに紛らわしい妙にいろんなところに出没する団体です。 

その、遊星仮面ならぬ首都圏青年ユニオン連合会が、またまた別のところでまたまた全然異なる役回りで、労働委員会命令に登場しているようです。今月一回書評を連載している『労働新聞』ですが、

https://www.rodo.co.jp/news/111385/(団体交渉 他の組合同席は不当労働行為 使用者が対応を一任 千葉県労委)

千葉県労働委員会(舩越豊会長)は、団体交渉の場に他の労働組合の組合員を同席させ、交渉を一任した使用者側の対応を、不当労働行為と認める命令書を出した。社会福祉法人千歳会の労働組合が懲戒解雇に関する団体交渉などをめぐり救済を求めた事件で、不誠実交渉に当たるとして、団交応諾やポストノーティスなどを命じている。交渉を一任されていたのは「首都圏青年ユニオン連合会」の組合員を名乗る男性で、千歳会労働組合によると、組合つぶしのために同法人が引き入れた労務コンサルタントだという。・・・ 

・・・男性は「首都圏青年ユニオン連合会」の組合員を名乗り、「組合があまりにも横暴ということで来た」「自分は同法人の法人事業部で労務総務の仕事を行っている」と話し、同労組と同法人の間を遮るように座った。・・・

さっそく、千葉県労委のホームページに飛んでみましたが、こちらも概要が載っているだけで、命令書自体はアップされていないようです。

https://www.pref.chiba.lg.jp/chiroui/press/2021/31-2-meireigaiyou.html

残念ながら、『別冊中央労働時報』に載るまで詳細は待たなければならないようですが、でもこれだけの記事からでも、そもそも使用者が「交渉を一任」するような労働組合とは一体なんなのかという疑問がわいてきますね。なんにせよ、個別労働紛争の労働者側解決代理人といういかにも合同労組っぽい第一のおしごと、既存の組合に代替する御用組合という第二のおしごとに加えて、今回は既存の組合との交渉を使用者側から一任されるという第三のおしごとまでまことに幅広い大活躍ぶりです。

 

 

 

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