今から予想される批判の諸類型
来月刊行予定の『ジョブ型雇用社会とは何か』(岩波新書)ですが、今からどういう批判が出てくるかはほぼ予想がつきます。
まずまともな批判としては、「欧米はお前が言うほどジョブ型じゃねえぞ」というのと「日本はお前が言うほどメンバーシップ型じゃねえぞ」という事実認識レベルの批判がいろんな局面に着目する形で出てくるでしょう。これは、本書にもちらちらと書き込んではいるんですが、局部的にはまさにその通りなので、おおむね「そこはそうだけど、マクロ的に類型化すればこうなんだよ」という回答になると思われます。
それに対して、たぶんずっと多いと予想されるのは、価値判断レベルの批判で、「お前はジョブ型をほめたたえている、経団連の手先だ」みたいな、序章の初めのところすら全然読んでないような批判と、なぜか昔の3法則氏みたいに、「お前はメンバーシップ型をほめたたえている、クソ役人の成れの果てだ」みたいな一行も読んでないような批判が、ほぼ間違いなく一定の方面からくることでしょう。これはもうどうしようもないクズ批判なのでいちいち相手はしません。
もう一つの価値判断レベルの批判としては、「お前はあれこれ分類するばかりで、どうしたらいいのかを指し示そうとしない」という実践理性過剰の批判が予想されます。これは、つまるところザインにゾレンを求めているので筋違いなのですが、とはいえ世の中には本を読むということは生きるうえでの指針を指し示してもらうために読むのだと思っている人も多いので、そうむげにもできない感もあります。どういう批判がどれだけ出てくるか、今から楽しみです。
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