『情報労連REPORT』8-9月号
『情報労連REPORT』8-9月号をお送りいただきました。特集は「国内外の情勢から平和を見つめ直す自由や民主主義、人権から考える」とやたらに風呂敷が広いですが、昨今の内外の情勢から、人権と自由、民主主義の問題を改めて取り上げています。
http://ictj-report.joho.or.jp/2108-09/
おなじみ阿古智子さんが中国・香港について怒りを湛えつつ静かに書いていますが、
http://ictj-report.joho.or.jp/2108-09/sp02.html(反対意見封じる社会中国・香港情勢から学ぶべきことは?)
・・・隣国である以上、日本は中国と向き合っていかざるを得ません。日本が声を上げたからといって中国が変わるとは限りませんが、中国との連携がまったくできないわけではありません。例えば、気候変動や労働者の権利という側面では、国際的な枠組みで一緒に考えていくこともできるでしょう。その点では、企業は重要な役割を果たします。企業がどうあるかによって国際社会のあり方は大きく変わっていくと思います。
この点に関して、「職場からできることは何か」を論じているのが佐藤暁子さんの
http://ictj-report.joho.or.jp/2108-09/sp05.html(「ビジネスと人権」から考える平和職場から取り組みを始めよう)
・・・労働組合の皆さんにお願いしたいのは、国外の労働者や労働組合の連携を強化することが一つ。
もう一つとして、日本で働く労働者の皆さん一人ひとりが、人権の主体であるという意識を深めてほしいと思います。自分の権利者性に対する意識が薄ければ、他人の人権侵害にも鈍感になってしまいます。自分たちをエンパワーメントすることがサプライヤーで働く労働者への共感につながり、人権侵害の解消にもつながっていくのではないでしょうか。
また、自分たちが働く企業が生み出す製品やサービスがどのようにつくられて、社会にどのような影響を与えるのかについても、意識してほしいと思います。自社の製品やサービスが行う人権侵害に対して声を上げることは、会社への背信行為ではありません。自社をよりよい会社にしていくための行為です。経営者もそうした声を封じ込めるのではなく、対話を通じて、経営に反映させてほしいと思います。
ウイグルで起きている人権侵害やミャンマーの軍事クーデターなども、ビジネスと無関係ではありません。企業ひいてはそこで働く人たちが、それらの問題に対してどのように責任を果たすのかが問われています。
本ブログでも取り上げたように、この問題は近年盛り上がりつつありますが、それだけに矢面に立つ企業にとっては厳しい判断を迫られる状況も多くなると思われます。戦後長らく経験していたような、平和とか人権とか言っていれば済むような生やさしい時代ではなくなりつつあるという覚悟が必要なのでしょう。
なお、最後のページで渋谷龍一さんが「ジョブ型」を取り上げていますが、
http://ictj-report.joho.or.jp/2108-09/doragon.html
・・・しかし、JBにシフトしたという企業は、MSのまま成果主義にしただけで、JBとは関係ないよ、と濱口さんは嘆きます。そりゃ、そうでしょう。極論ですが、配置転換がなく当然転勤もなく、上司から仕事ぶりや成果の評価を受けることもなく、職場の中で勤続期間が長い順に昇進することも多いのがJBですから。
ここは、きちんと腑分けして論じるとそれなりの長さになるのですが、来月出る『ジョブ型雇用社会とは何か』(岩波新書)を読んでください。
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米大統領のありがたいお言葉「アフガンの女性の人権と引き換えに、アメリカの若者の命を犠牲にすることがあってはならない」「(アフガン情勢にたいする)アメリカの責任はゼロだ」「ウイグル族100万人のために、中国と戦争せよと言うのか」
タリバン政権復活は、米欧の人権帝国主義の敗北であるし、時代は不可逆的に内政重視・相対主義の段階に入った。
「世界平和とか環境とか外国人の人権とか、普通の自国民に関係ないことばかり言うエリートに嫌気がさしてトランプが支持された」という物言いに、私は必ずしも賛同しないが。それはそれとして周回遅れの米欧普遍主義に嵌ってしまう先生方の時代精神の無さにあきれる。
アフガン政権崩壊で「人権の押し付け」が破綻した今、この記事を書く雑誌にあきれる。
>平和とか人権とか言っていれば済むような生やさしい時代ではなくなりつつあるという覚悟が必要なのでしょう。
先生のこの物言い、酷くないですか。
超安定雇用の中高年が、国際人権のために民間企業が外国人の人権守れって。
中国に無礼を働いた結果、経済制裁されて日本人の若者が職を失ったら、先生が養ってくれます?
これこそ、いわゆるバラモン左翼そのものじゃないですか。
投稿: 中国 | 2021年8月18日 (水) 22時12分
アフガン敗戦で、「外国の人権重視」という思想は完全にオワコンではなかろうか?
シャリーアに基づくタリバン政権の復活は、偏狭な国際人権思想を主張する米欧日らに強烈な肘鉄を食らわせた。
投稿: 中国 | 2021年8月19日 (木) 14時28分
唯物史観の勝利という苦い真実ではないか?
「一つの社会構成は、すべての生産諸力がその中ではもう発展の余地がないほどに発展しないうちは
崩壊することはけっしてなく、また新しいより高度な生産諸関係は、その物質的な存在諸条件が古い社
会の胎内で孵化しおわるまでは、古いものにとってかわることはけっしてない。」(マルクス『経済学批判
』
序言・・・ウィキより
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%94%AF%E7%89%A9%E5%8F%B2%E8%A6%B3)
これがアメリカ占領下の民主化が日本で成功し、アフガニスタンで失敗した理由だと思う
中国では共産党支配が中国資本主義発展の桎梏となりつつあるのでソ連・東欧のような事態が遠
からず起こるかも
「社会の物質的生産諸力は、その発展がある段階にたっすると、いままでそれがそのなかで動いて
きた既存の生産諸関係、あるいはその法的表現にすぎない所有諸関係と矛盾するようになる。これ
らの諸関係は、生産諸力の発展諸形態からその桎梏へと一変する。このとき社会革命の時期がはじ
まるのである。経済的基礎の変化につれて、巨大な上部構造全体が、徐々にせよ急激にせよ、くつ
がえる。」(同上)
投稿: 待っていた通行人 | 2021年8月19日 (木) 19時57分