『生活経済政策』8月号のシンポジウム
http://www.seikatsuken.or.jp/monthly/index.html
特集は「総会記念シンポジウム 貧困・介護・育児の政治 ベーシックアセットの福祉国家へ」で、登場するのは三浦まり/宮本太郎/香取照幸/今井貴子/平川則男の各氏ですが、メインスピーカーは宮本さんで、本ブログでも紹介した彼の『貧困・介護・育児の政治』をめぐっての議論です。
この本について紹介したのは、今年の4月ですが、
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2021/04/post-31054e.html
メインタイトルの「貧困・介護・育児の政治」は、これはもうここ30年間の福祉政治を見事な切れ味で分析していて、宮本さん自身がまさにその題材の政治過程の真っただ中にいて政策の方向付けに力を尽くしてきたことを、かくも客観的に、三つの福祉政治のイデオロギーの複雑怪奇な絡み合いによって描き出せるのか!という感嘆すべき作品になっています。・・・
宮本さんの発言を読んでいくと、なんといきなり私の名前まで出てきてびっくりしました。
・・・濱口さんのブログでは、ベーシックアセットなどと難しく議論していくより、ベーシックインカムとかベーシックサービスなどの議論は、怪しいけれども分かりやすくてエッジが立っていると言うことも仰っているわけです。・・・
こんな場末のブログまで見ていただいて恐縮です。三つの福祉政治の分析があまりにも鮮やかだったので、最後の部分がいささか得心いかないままになってしまった感があります。
シンポジウムの中で、特に興味深かったのは、香取さんが労働組合の役割について触れているところです。介護保険の時には、それまで措置制度の権化だった自治労が内部で大論争して介護保険に賛成となり、連合を動かし、政治を動かしていったけれども、子供子育ての時には「現場で支えるだけの力のある市民団体、当事者団体はなかったし、既存の施設保育団体や幼稚園団体内部にも自己改革していこうという動きはほとんど起こらなかった」、「要するに、ものごとを変えていくことができるような、いわば『現場』というものが形成されなかった」と語っています。これを受けたパネラーの言葉も興味深いですが、是非本誌をみてください。
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