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2021年8月22日 (日)

島村暁代『プレップ社会保障法』

585604 島村暁代さんより『プレップ社会保障法』(弘文堂)をお送りいただきました。

https://www.koubundou.co.jp/book/b585604.html

プレップというと、どうしても森戸さんの怪著を思い出すわけですが、ああいうノリはありません。しごく真面目な教科書です。

でも、真面目であることは通り一遍であることを意味しません。いや、むしろ社会保障法というものに対して真摯に向き合い過ぎて、年金だの医療だの介護だのといった縦割りの法律構成を全部崩してしまい、学生時代から始まって、就職し、いろいろとあり、結婚、妊娠、、出産、子育てといったことがやってきて、時には離婚したり死別したり、中高年になって介護したりがんになったり、そして老人へ、という人生行路、今風に言えばライフステージごとに、その都度必要になる社会保障法の知識を端的にまとめていくという、思い切った構成になっています。

第1部 はじめに

第2部 ライフステージごとに
 第1章 大学生
 第2章 就職
 第3章 就職後の健康とケガ・病気
 第4章 キャリアの展開
 第5章 結婚・妊娠・出産・子育て
 第6章 離婚・死別
 第7章 中高年の介護事情とがん
 第8章 高齢者

第3部 すべてのライフステージに関して
 第1章 生活への困窮
 第2章 障害者
 第3章 感染症と社会保障法
 第4章 虐待
 第5章 外国人

第4部 おわりに

このやり方のメリットは、なんか関係ねえ話だな、詰まんねえな、と思いがちな学生に、まさに学生の置かれた状況から説き起こしていることで、とてもいいやり方だと思います。

冒頭、けがや病気になったら保険証もって医者に行くよね。さてこの保険証ってなんだろ、というところから話が始まり、親が健保なら被扶養者、親が国保なら被保険者になること、一方年金のほうは20歳で1号被保険者になること、とさりげない形で、制度の基本を説きます。そして多くの学生がやっているアルバイトを取り上げて、

アルバイトをし過ぎてお金を稼ぎすぎると、親御さんの扶養から外れる可能性があります。・・・

・・・が、学業が本分である以上、4分の3という基準を満たすことはほぼないでしょう。

というわけで、

住所を媒介に国保の被保険者として整理されることになります。・・・ということは、国保の保険料が発生します。

今日の社会保険制度における非正規労働者の問題の中心的な論点がさっそく登場してきます。

まあ、本書は「プレップ」なので、ここでは

そもそも学生の本分は学業なので、アルバイトばかりにうつつを抜かし過ぎないようにしましょう。

という戒めで締めていますが、いやいやうつつを抜かすというか、アルバイトで学費を稼いでいる学生も結構いるわけで、ほんとはそう単純にも言えないところです。

いずれにしても、就職する前の段階でこれだけの社会保障法の論点が並ぶという構成はさすがです。

あと、若い女性研究者の著書として、出産から子育て期の記述には自らの経験に裏打ちされたところがいくつも感じられます。「保活」なんていう項目は、あんまりほかでは見当たりません。

コロナ禍のさなかに出されるテキストとして、「感染症と社会保障法」の章もとても有益です。

森戸さんのプレップとは全く違う方向でですが、大変型破りでしかも成功している教科書だと言えましょう。

 

 

 

 

 

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コメント

> 森戸さんの怪著

つい最近、その本を読みましたが、何か内容に問題があるんですか?

労働協約がよくわからなかったので再読しようと思っていますが、
他の本にしたほうがいいでしょうか?

いえ、労働法の中身には何も問題はありません。

ただ、記述ぶりがあまりにおちゃらけ系なので、好き嫌いははっきりするかもしれません

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