フォト
2021年9月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
無料ブログはココログ

« 最低賃金は全都道府県28円引上げで決着 | トップページ | 税は社会政策の原資であって、減税が社会政策ではない »

2021年7月17日 (土)

北欧の労働組合はEU最低賃金指令を断固拒否するぞ!その2

ここ日本では、政府主導で最低賃金の大幅引き上げ方針が決まり、経営団体が猛然と反発の声を上げていますが、世界中どこでもそういう構図というわけではありません。

昨年も紹介しましたが、現在EUではフォン・デア・ライエン委員長のイニシアティブで最低賃金指令案の審議が進められていますが、それに一番猛烈に反発しているのは、実はスウェーデンはじめ北欧諸国の労働組合なんです。

北欧諸国はどこも組合の組織率が極めて高く、自分たちで団体交渉して高い賃金を獲得するという誇りを持っているので、国家権力に最低賃金を守ってもらうなどという恥ずかしいことは断固拒否してきたのですが、ほかのEU諸国の組合の力が弱いものだから、政府主導で最低賃金指令を作るなどという恥ずかしい話が進んでしまい、それをやめさせるべく一生懸命動いているんですね。

その一環として、この「ソーシャル・ヨーロッパ」でも何回か記事が出ており、昨年も紹介したところですが、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2020/10/post-cb45c0.html(北欧の労働組合はEU最低賃金指令を断固拒否するぞ!)

 われわれは欧州委員会が労使団体への2段階協議を終えて最低賃金に関する立法提案を提出しようと計画していることを深く憂慮し懸念する。それは、条約の制約を尊重せず、健全な多数使用者との団体交渉の上に構築された社会的ヨーロッパに対して反生産的である。
 われわれは高賃金と良好に機能する労働市場の必要性を理解している。しかし、ヨーロッパに必要なのは、もっと多くの団体交渉ともっと強い労使団体なのであって、労使対話と賃金決定に対する拘束衣じゃない。それはスカンジナビア諸国の労働市場を損なうだけではなく、他の加盟国の労使対話にも悪影響を与える危険性がある。

その後実際に指令案が提案され、現在欧州議会と理事会で審議中である現在、改めて根本から批判する記事をアップしています。

https://socialeurope.eu/a-minimum-wage-directive-could-undermine-the-nordic-model(最低賃金指令は北欧モデルを掘り崩す)

スウェーデンと言えども組織率は100%ではなく、民間企業の15%は労働協約の適用外なので、EU最低賃金指令ができると法定最低賃金を設定しなければならなくなってしまう。その水準は平均賃金の60%といわれているので、これでは賃金の基準が二重化してしまい、賃金格差の固定化につながるというのが批判の第一点です。

Social A minimum wage sanctioned by the EU and the Swedish parliament might be viewed as legitimate for employers aiming to lower their labour costs. This would not only lead to increased wage inequality but also distort competition between companies applying collectively bargained and statutory minimum wages. In public procurement, for example, the lowest price usually wins.

There is also a risk that more companies than today would consider not signing substitute agreements or joining an employer association. Such a development might deal a fatal blow to the Swedish industrial-relations model, being based on high affiliation among unions and employers.

曰く、EUとスウェーデン議会によって制裁される最低賃金は、労働コストを引き下げたい使用者にとって正当なものとみなされよう。これは賃金格差の拡大をもたらすのみならず、団体交渉による賃金を適用する会社と法定最低賃金を適用する会社の間の競争をゆがめるものでもある。たとえば公共部門では、いつでも一番安い価格が勝つのだ。

今日よりも多くの会社が代替的協約に署名したり使用者団体に加盟したりしなくなるリスクもある。そんなことになれば、労働組合と使用者団体の間の高い協調に立脚するスウェーデンの労使関係モデルに致命的な打撃を与えることになろう。

組合の力が弱いために、国家権力による最低賃金の引き上げを声高に求める国とは全く異なる様相が、スウェーデンなど北欧諸国にはあるのだということっは、もっと世の中に知られてもよいことだと思います。

 

 

 

 

 

 

« 最低賃金は全都道府県28円引上げで決着 | トップページ | 税は社会政策の原資であって、減税が社会政策ではない »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 最低賃金は全都道府県28円引上げで決着 | トップページ | 税は社会政策の原資であって、減税が社会政策ではない »