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2021年7月 2日 (金)

パワハラといじめ・嫌がらせは違うがその違い方が違う件について

72df808bb33aa842a65e885b59ab975d_400x400 何のことやら訳の分からないタイトルですが、直接的には社労士講師の大河内さんのこのツイートについてです。

https://twitter.com/tomofullmoon/status/1410673709585616898

なぜ「パワハラ」と「いじめ・嫌がらせ」を分けているのかというと、職場におけるパワーハラスメント対策措置がすでに令和2年6月1日から大企業では義務となっていますが、中小企業においては令和4年4月1日から義務となるため(それまでは努力義務)、ということらしいです。

やや複雑なんですが、このツイートはその直前の、個別労働紛争解決法の施行状況についてのこれを受けたものです。

https://twitter.com/tomofullmoon/status/1410666874820456449

>※5 令和2年6月、労働施策総合推進法が施行され、大企業の職場におけるパワーハラスメントに関する個別労働紛争は同法に基づき対応することとなったため、同法施行以降の大企業の当該紛争に関するものはいじめ・嫌がらせに計上していない。
⇒なるほど、そういうことか。

紛争処理制度の上では、これまですべて個紛法のいじめ・嫌がらせだったものが、昨年6月に改正労働施策総合推進法が施行され、大企業についてはパワハラの措置義務が発効し、それゆえ大企業については個紛法の対象たるいじめ・嫌がらせから労推法の対象たるパワハラに移行したのですが、中小企業はまだ努力義務で、来年4月から義務化されるので、それまでの間は両方に分かれる形となっているということですね。

ところが、初めのツイートがリファーしているのは、精神障害の労災認定状況についてのもので、

https://twitter.com/tomofullmoon/status/1407740483200196608

>20年度に労災認定された精神障害の原因は、パワハラ(99人)、事故や災害の体験・目撃(83人)、いじめ・いやがらせ(71人)と続いた
⇒今年の社労士試験の法改正でパワハラ関係のものがありますね
/精神障害で労災認定、最多の608人 トップはパワハラ:朝日新聞デジタル

こちらでパワハラといじめ・嫌がらせが別建てになっているのは、別に大企業と中小企業の施行時期がずれているからではなく、そもそも認定基準において両者が別建てになっているからなんですね。

https://www.mhlw.go.jp/content/000661301.pdf(心理的負荷による精神障害の認定基準について)

29 ⑤パワーハラスメント  上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた

30 ⑥対人関係  同僚等から、暴行又は(ひどい)いじめ・嫌がらせを受けた

これについては、先日私も言及したところですが、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2021/06/post-9246e8.html(パワハラといじめ・嫌がらせは違うのか?)

・・・上司等からのパワハラと、同僚等からのいじめ・嫌がらせが別々の項目に入っているのですが、もともといじめ・嫌がらせと呼んでいたものを、円卓会議に出ていたクオレ・シーキューブの人の影響でパワハラと呼ぶようになった、と理解していたので、この使い分けには違和感があります。

しかも、パワハラは上司からだけだと誤解されるという懸念に対して、いやいや同僚や部下であっても優越的な立場にあればパワハラに含まれると説明していたはずですが、それではやはりそこから零れ落ちるいじめ・嫌がらせがあるということでこういう整理にせざるを得なかったのでしょうけど、そうすると、この労災補償でパワハラに当たらないいじめ・嫌がらせと分類されたような代物については、昨年施行された労働施策総合推進法に基づく措置義務はかからないということになるのでしょうか。

どうも概念設計を根っこのところで間違えてしまった感がぬぐえません。

円卓会議の時、それまでいじめ・嫌がらせと呼んでいたものをやや浅薄にマスコミ受けするパワハラと呼び変えてしまったことのツケなのかもしれません。

このように、労災補償と個別紛争の両者において、パワハラといじめ・嫌がらせは違う概念になっていますが、その違い方の所以が両者で全然違っているという点が、いかにも奇妙なところです。

(追記)

念のため、昨年精神障害の認定基準が改正される際の専門検討会の報告書(5月)の該当部分を引用しておきます。

https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/000630780.pdf

3 業務による心理的負荷評価表に係る具体的出来事等への追加

(1)具体的出来事等へのパワーハラスメントの追加

 パワーハラスメントを受けたことによる心理的負荷の強度等については、現行では、対人関係の類型の一つである、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」の具体的出来事に当てはめて評価しているが、今般、職場におけるパワーハラスメントの定義が法律上規定されたことを踏まえ、心理的負荷評価表の具体的出来事として、「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」を追加することが適当である。

ここでのパワーハラスメントとは、労働施策総合推進法及び「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」の定義(※)を踏まえ、「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、その雇用する労働者の就業環境が害される」ことをいう。

なお、パワーハラスメントは、職場における対人関係の中で生ずるものであり「対人関係」の類型に置くことも考えられるが、優越的な関係を背景とする上司等による一方的な被害であり、「対人関係」という類型から想定される、対人関係の相互性の中で生ずるものに限らない特異性があること、また、過去の支給決定事例をみると、当事者の立場や加害行為の態様には多様性があることから、「対人関係」の類型から独立させ、「パワーハラスメント」を新たな類型として設定することが妥当である。

その際には、心理的負荷評価表の中で「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」の具体例と、「対人関係」に分類されている各項目の具体例との対比が容易となるよう、パワーハラスメントの類型は対人関係の類型の前に位置付けるのが適当で ある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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