ちっぽけでかわいそうな私の国症候群
クーリエ・ジャポンにトマ・ピケティのインタビューが載ってて、
https://courrier.jp/news/archives/254975/(ピケティさん、「奴隷制」に関心を持ったのは何がきっかけですか?)
話のメインストリームではないんですが、思わず目を惹き付けられたのはこの台詞でした。
・・・私は1971年生まれですが、その頃の子供たちが抱くフランスという国のイメージは、アステリクスとオベリクス(フランスの有名なコミックシリーズの登場人物)の国でした。要するに、強大な帝国(ローマ帝国やドイツの第三帝国、あるいは冷戦の二大国など)につねに脅かされてきた小国というイメージです。
どこの国も侵略したことがなく、どこの国も支配したことがない国という印象がありました。私自身がそうだったのですが、学校の勉強をしているだけでは、フランスの植民地帝国の歴史について、その横を素通りしてしまうところがあります。・・・
おいおい、イギリスと並ぶ近代帝国主義の二大双璧の国が何を言ってんだよ、という感じですが、でもフランス国民自身はそういう自己認識なんですね。
この落差って、実は結構いろんなところに見られるような気がします。先の習近平の演説に見られるように、今の中国の自己認識も、欧米やその尻馬に乗る日本などのいじめっ子にいじめられているちっぽけなでかわいそうな国なんでしょうね。
そして、思うに日本のネトウヨ諸氏の日本という国に対する自己認識もわりとそれに近いのではないかという気がします。客観的には図体もでかくて力も強い国がちっぽけでかわいそうな私の国症候群に陥ると、主観的には弱者の必死の反撃のつもりで、客観的には強者の傲岸不遜な暴走になる。
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フランスは今日でも、南太平洋、カリブ地域、インド洋等に多くの海外領土を保有しているうえに、イギリスが新たに台頭した英語圏の超大国、アメリカの存在によって旧植民地に対する影響力を低下させているのに対し、アフリカの旧植民地などに対しては、未だに極めて大きな影響力を持っているということは、西アフリカ八か国、中部アフリカ六か国がフランスが管理するCFAフランを法定通貨として使用していることからしても一目瞭然なのですが、それが理解されていなかった、というのは、ちょっと驚かされました。
投稿: SATO | 2021年8月 1日 (日) 19時31分