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2021年7月29日 (木)

会社のトイレ

昨日の労政審安全衛生分科会にかけられた事務所衛生基準規則の改正案は、照度とか更衣室とか休憩室とかと並んで、トイレの規制が主なものです。排泄行為が生き物である人間にとって付きものの生理現象である以上、これはとても重要なものなんですが、今回の改正の主な点は、

https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000812629.pdf

(1)基本方針
男性用と女性用に区別して設けることが原則であること。
(2)少人数の事務所における例外
同時に就業する労働者が常時十人以内である場合は、現行で求めている、便所を男性用と女性用に区別することの例外として、独立個室型の便所を設けることで足りることとすること。
(3)男性用と女性用に区別した便所を各々設置した上で付加的に設ける便所の取扱い
男性用と女性用に区別した便所を設置した上で、独立個室型の便所を設置する場合は、男性用大便所の便房、男性用小便所及び女性用便所の便房をそれぞれ一定程度設置したもの※として取り扱うことができるものとする。

というもので、一見するとこれまで男女別を要求していたのを男女別でなくてもよいと緩和するように見えます。

この改正の元になった事務所衛生基準のあり方に関する検討会報告書では、

https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000812643.pdf

ウ 少人数の事務所における便所の男女別の取扱い
 少人数の事務所においては、建物の構造上1つの便所しか設けられていないことがあり、便所を男性用と女性用に区別して設置することが困難な場合もある。
 少人数の事務所に設けられた便所のうち、独立個室型の便房からなるものについては、男性用及び女性用の便所の機能を兼ねるものとみなす等の柔軟な運用を行うことは、プライバシーが確保されるという前提の下、例外的に認められ得る。

と述べており、現実には男女別になっていない会社トイレがかなりあることがこの背景にあります。

Toilet その現実というのは、実は昨年JILPTが公表した調査結果に示されているもので、

https://www.jil.go.jp/institute/research/2020/205.html

2.トイレ

男女別トイレの整備状況を全数に尋ねた結果、「男女別」が78.4%、「男女共用」が21.6%となった。全体の2割程が勤務先のトイレが「男女共用」と回答している。

これを事業所規模別にみると、「男女共用」と回答した割合は、「29人以下」(39.5%)が4割程と高くなっている。男女共用トイレは小規模事業所に多いことがわかった。

一方、トイレが「男女共用」と回答した者(n=1,514)に対して、男女別トイレの必要性を尋ねた結果、「そう思う」が37.6%、「やや思う」が23.9%で、「思う・計」は61.5%となる。勤務先のトイレが「男女共用」と回答した者の6割超が、男女別トイレの設置を求めていることがわかった(図表2)

これを性別にみると、男性と比べて女性のほうが、男女別トイレの必要性の「思う・計」の回答割合が高くなっている(男性56.8%、女性64.9%)。性年齢別にみると、「思う・計」の回答割合は、女性20代以下、女性30代で7割程と高くなっている(それぞれ72.1%、72.3%)。

この実態を踏まえた上で、男女共用であってもできるだけ(特に女性の)プライバシーを守れるようにするにはということで、考えた末の案なのでしょう。

 

 

 

 

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コメント

女性同士(あるいは、男性同士)だって、プライバシーはあると思うんですけどね。
それとは別に、女性の方が異性からの(ある種の?)性被害の当事者になり易い、ということは、ありますけど。

別共には関わりなく、プライバシーが確保されること。
共用の場合は、特に、女性の性被害が防止されること。
と整理をするべきではないですかね。

マンションの一室を事務室として使うと、トイレは洋式のが1つしかないわけで、男女別なんて設けられない。まあずっと放置だったのが、多目的トイレなど注目されるようになってきて、そういやこれってきちんと読むとまずいよね、ってなったんだと思いますが。

私は男性用小便所が使えない。なんか隣に人が来ると緊張して尿道括約筋が収縮してしまうのです。あれって局部が丸出しじゃないですか。男性用大便所の設置基準も女性並みに変えてほしい。。。何を好んで他人が局部をシェイクする様を視界の横で捉えなければいけないのか。。。

トランス女性の女子トイレ利用は「女性の恐怖を軽視」
https://encount.press/archives/424454/

こういった常識的な「世情」にもしも抗するのであれば
「そもそも、性差別に反対」というのが基本であるから
男女別に反対(個室やその逆の混浴などを基本に!)と
いう立場を明確にすれば、筋は通るのですけれどもね。

> トイレの安全は、いまの制度では「男女」に空間をわけることによって、担保されています。
https://news.yahoo.co.jp/byline/sendayuki/20230305-00339916

こっちはこっちで、怪しい話をしているように思いますね。分けているのは「異性に見られたくない」などがメインだと思われます。もしもそうであるなら、その線で異性というのを捉えるべきである、すなわち、ここで問題にすべきは自認ではなく、他認としての性である、という話でしかないと思います。

おいどん殿

>トランス女性の女子トイレ利用は「女性の恐怖を軽視」
>こういった常識的な「世情」にもしも抗するのであれば

これは トランス女性 の定義によると思います。
ネットでトランス女性(戸籍上は男性)が入院した時の記事がありました
  入院先の病院は病室が男性と女性に分かれていて、自分は戸籍では男性なので男性病室だと思い不安だったが、
  病院の配慮で女性病室にしてもらえたので安心した。
という内容でした。この方はいわゆるニューハーフで睾丸を摘出し定期的に女性ホルモンを打っているそうです。
トランス女性が女子トイレを利用すると恐怖を感じるという女性の方は、トランス女性が女性病室に入院してきたら、もっと恐怖を感じるかもしれません。しかし私は、このようなトランス女性の方に対しては常識的な「世情」によって恐怖を感じるという女性の方に譲って頂きたい と思っています。

トランスという用語で安易に思考するから、混乱するのでしょう。他認の性と自認の性が一致している場合には、「貴方の性の方で、ご利用ください」で済む話。一致していない場合に男女別という仕組みは、社会的なトラブルの元になっているから、時代の趨勢として「共用を基本とする方向」になって行くのでは?、というのが、現実的な話になってきているという程度でしょう。

> 男性用トイレ、女性用トイレ、男女共用トイレじゃダメだったの…??
> 女性用トイレ廃止するのはしゃーない時代の流れや
> しかしそれなら男性用トイレも無くせや不公平やぞ
https://www.sponichi.co.jp/society/news/2023/03/07/kiji/20230307s00042000446000c.html

> 最高裁第3小法廷(今崎幸彦裁判長)は11日、制限を「適法」として職員の逆転敗訴とした2審判決を破棄し、制限を行った国の対応は「違法」とする判断を示した。
> 性別適合手術は受けていない。平成22年に同僚への説明会などを経て女性の身なりで勤務を始めたが、経産省は勤務するフロアと上下1階にある女性用トイレの使用を制限した。
https://www.sankei.com/article/20230711-2XY73MQSXJMGXA64JNPA7UIJUU/

まあ、離れたところの女性用トイレはOKだが、主たる勤務場所に近いところは駄目だ、という
ところに合理性がない、ということかもしれませんけどね。仮に、もしも、そういうことであれば、
そもそも、どうやら「従業員専用のトイレ」なるものを原則として想定をしているように思われる
事務所衛生基準規則って、これで大丈夫なんですかね?

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