会社のトイレ
昨日の労政審安全衛生分科会にかけられた事務所衛生基準規則の改正案は、照度とか更衣室とか休憩室とかと並んで、トイレの規制が主なものです。排泄行為が生き物である人間にとって付きものの生理現象である以上、これはとても重要なものなんですが、今回の改正の主な点は、
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000812629.pdf
(1)基本方針
男性用と女性用に区別して設けることが原則であること。
(2)少人数の事務所における例外
同時に就業する労働者が常時十人以内である場合は、現行で求めている、便所を男性用と女性用に区別することの例外として、独立個室型の便所を設けることで足りることとすること。
(3)男性用と女性用に区別した便所を各々設置した上で付加的に設ける便所の取扱い
男性用と女性用に区別した便所を設置した上で、独立個室型の便所を設置する場合は、男性用大便所の便房、男性用小便所及び女性用便所の便房をそれぞれ一定程度設置したもの※として取り扱うことができるものとする。
というもので、一見するとこれまで男女別を要求していたのを男女別でなくてもよいと緩和するように見えます。
この改正の元になった事務所衛生基準のあり方に関する検討会報告書では、
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000812643.pdf
ウ 少人数の事務所における便所の男女別の取扱い
少人数の事務所においては、建物の構造上1つの便所しか設けられていないことがあり、便所を男性用と女性用に区別して設置することが困難な場合もある。
少人数の事務所に設けられた便所のうち、独立個室型の便房からなるものについては、男性用及び女性用の便所の機能を兼ねるものとみなす等の柔軟な運用を行うことは、プライバシーが確保されるという前提の下、例外的に認められ得る。
と述べており、現実には男女別になっていない会社トイレがかなりあることがこの背景にあります。
その現実というのは、実は昨年JILPTが公表した調査結果に示されているもので、
https://www.jil.go.jp/institute/research/2020/205.html
2.トイレ
男女別トイレの整備状況を全数に尋ねた結果、「男女別」が78.4%、「男女共用」が21.6%となった。全体の2割程が勤務先のトイレが「男女共用」と回答している。
これを事業所規模別にみると、「男女共用」と回答した割合は、「29人以下」(39.5%)が4割程と高くなっている。男女共用トイレは小規模事業所に多いことがわかった。
一方、トイレが「男女共用」と回答した者(n=1,514)に対して、男女別トイレの必要性を尋ねた結果、「そう思う」が37.6%、「やや思う」が23.9%で、「思う・計」は61.5%となる。勤務先のトイレが「男女共用」と回答した者の6割超が、男女別トイレの設置を求めていることがわかった(図表2)。
これを性別にみると、男性と比べて女性のほうが、男女別トイレの必要性の「思う・計」の回答割合が高くなっている(男性56.8%、女性64.9%)。性年齢別にみると、「思う・計」の回答割合は、女性20代以下、女性30代で7割程と高くなっている(それぞれ72.1%、72.3%)。
この実態を踏まえた上で、男女共用であってもできるだけ(特に女性の)プライバシーを守れるようにするにはということで、考えた末の案なのでしょう。
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女性同士(あるいは、男性同士)だって、プライバシーはあると思うんですけどね。
それとは別に、女性の方が異性からの(ある種の?)性被害の当事者になり易い、ということは、ありますけど。
別共には関わりなく、プライバシーが確保されること。
共用の場合は、特に、女性の性被害が防止されること。
と整理をするべきではないですかね。
投稿: 状態空間 | 2021年7月30日 (金) 05時16分
マンションの一室を事務室として使うと、トイレは洋式のが1つしかないわけで、男女別なんて設けられない。まあずっと放置だったのが、多目的トイレなど注目されるようになってきて、そういやこれってきちんと読むとまずいよね、ってなったんだと思いますが。
投稿: ちょ | 2021年7月30日 (金) 12時12分
私は男性用小便所が使えない。なんか隣に人が来ると緊張して尿道括約筋が収縮してしまうのです。あれって局部が丸出しじゃないですか。男性用大便所の設置基準も女性並みに変えてほしい。。。何を好んで他人が局部をシェイクする様を視界の横で捉えなければいけないのか。。。
投稿: green | 2021年8月 4日 (水) 05時59分