左右の全体主義その2
先日、連合と立憲民主党、国民民主党との間の政策協定に出てきた「左右の全体主義」という言葉は、71年前に総評が結成されたときの基本綱領に出てくるものですよ、と述べたんですが、
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2021/07/post-cb2833.html
・・・以上の諸原則を通じて推進される自由にして民主的な労働組合の諸活動は、保守反動勢力を封殺し、左右両極からの全体主義の抬頭を防ぎ、民主々義革命を達成するための最大要素である。この故にわれわれは、如何なる意味においても、労働者個有の権利であり労働組合存立の基礎である労働者の言論思想結社の自由の制限に反対する。
この「左」の全体主義とは何かを、その総評の結成大会における大会宣言が明確に指し示しています。
今や内外の情勢は極めて重大なる段階に直面し、われわれ労働階級の力強き団結と奮起を要請してやまない。南北朝鮮の戦火は直に第三次大戦に発展すると即断し得ないが、之を転機として米、ソを中心とする国際的対立は新たな様相を呈し、大戦の危機が一段と深刻化していることは否定し得ない事実である。
かかる国際情勢の激化に便乗した吉田内閣は民主々義の基本原則たる言論集会の自由を弾圧し、労働者の団体交渉権までも剥奪するなど、その反動的性格を露骨にあらわして来た。更に又政府の強行するデフレ政策は低賃金、首切り、重税等労働者に対する一方的犠牲を強要し、その生活を窮乏のドン底に追い込みつつある。加うるに労働委員会、人事院、裁判所の公的機関の権威を蹂りんして新憲法の精神を無視し反動攻勢を熾烈に展開して来た。
この秋に当ってわれわれは日本共産党の組合支配と暴力革命的方針を排除し、労働階級の永き要望に応え、自由にして民主的なる労働組合に依って労働戦線統一の巨大なる礎をすえたのである。
しかしながら総評議会の任務の限りなく重大であることと、この任務達成の道の容易ならざるを知る。しかしてこの困難なる闘いを通じてのみ日本の民族的再建と労働階級の解放がなされることを確信し、総評議会に参集した四百万労働者の同志的結集を固め、より広汎なる統一をはかり、国際自由労連に連なる全世界の労働者と提携し、民族の平和と独立のためにあらゆる妨害を排除して、自由にして民主的なる労働組合の闘いを堂々と進めんとするものである。
少なくとも、71年前の段階では、総評という左派の労働運動が、保守反動の吉田内閣をこれだけ口を極めて罵っているのと並べて、「日本共産党の組合支配と暴力革命的方針を排除」するんだと言っていたわけです。
これは日本労働運動史の歴史的事実であって、総評なんか保守反動のクズであると主唱するのであれば一貫しますが(そういう立場は十分あり得るとおもいます)、右派の同盟だけ叩いておけば話が済むわけではありません。
ちなみに、個人的には今の日本共産党は70年前の日本共産党とはがらりと変わっていると感じていますが、肝心の日本共産党自身が、戦前から終戦直後から今日まで一貫して正しいと主張してしまっているので、そっちの理屈に頼るわけにはいかないわけです。
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