フォト
2023年2月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28        
無料ブログはココログ

« 資本が所有権を手放すとき | トップページ | 『Japan Labor Issues』7月号は比較労働政策セミナー特集 »

2021年6月26日 (土)

キャシー・オニール『あなたを支配し、社会を破壊するAI・ビッグデータの罠』

Ai_s 少し前に出た本ですが、AIと労働についていろいろと考えるうえで役に立ちそうなので読んでみました。

http://www.intershift.jp/w_aibg.html

 いまやAI・ビッグデータは、人間の能力・適性・信用、
さらには善悪や身体までも評価し、選別し始めた。
問題は、こうしたAI・ビッグデータの仕組みや活用法の多くが、
偏見や誤りなどであふれていることだ。
中立・公正のように見えるアルゴリズムにも、
作り手の「見解」や「目的」が埋め込まれている。
数値化しにくいリアルな世界の複雑さや公平性を欠いたまま、
効率・収益を優先するアルゴリズムによって私たちの生活・社会が導かれていく。
さらに信用格付けが下がるなど、アルゴリズムによる評価を落とすと、
他分野にも影響がおよび、悪循環のフィードバックループが待っている。
私たちは、こうした破壊的なAI・ビッグデータとは何かを知り、
変えていくことによって、主導権を人間に取り戻さなくてはならない。

初めはマネーボールのようないい側面から入っていきながら、じわじわと恐ろしい側面を暴いていきますが、私にはやはり第6章(就職)と第7章(仕事)の章が興味深かったです。

はじめに: AI・ビッグデータは破壊兵器になる
第1章[モデル] 良いモデル、悪いモデル
第2章[内幕] データビジネスの恐るべき真実
第3章[教育] 大学ランキング評価が多様性を奪う
第4章[宣伝] 弱みにつけこむオンライン広告
第5章[正義] 「公平」が「効率」の犠牲になる
第6章[就職] ふさわしい求職者でも落とされる
第7章[仕事] 職場を支配する最悪のプログラム
第8章[信用] どこまでもついて回る格付け評価
第9章[身体] 行動や健康のデータも利用される
第10章[政治] 民主主義の土台を壊す
おわりに: 人間だけが未来を創造できる

就職の話は適性検査が既存の差別を増幅再生産するといった大体予想できる話なのですが、次の仕事のところで冒頭出てきた話題は、なんとコロナ禍で日本でも急に注目されるようになった変動シフト制の問題でした。そのシフトを組むのにAIが使われているのです。

・・・さて、読者の皆さんはもう驚かないと思うが、私はスケジューリングソフトウェアを最低最悪の数学破壊兵器だと考えている。すでに見てきたとおり、非常に規模が大きく、しかも、すでにぎりぎりの生活で苦しんでいる人々の弱みに付け込んで利用している。そのうえ完全に不透明だ。従業員は、いつ職場に呼ばれるのかわからず、手掛かりも得られないことが多い。独裁的なプログラムに、ただ召集されるのだ。

また、スケジューリングソフトウェアは有害なフィードバックループも生んでいる。ジャネット・ナバロの場合もそうだった。彼女は場当たり的なスケジュールに振り回され、学校に通い続けることができなくなった。おかげで彼女が転職できる見通しは閉ざされ、低賃金労働者があふれる過剰供給の海から出られなくなった。不規則な長時間勤務が続けば、従業員は、労働条件の改善を求めて組織を作ることも、抗議することもままならない。それどころか、高まる不安と睡眠不足に苛まれ、情緒も不安定になる。・・・さらに悪いことに、スケジューリングソフトウェアは、企業の経費削減を目的に設計されているため、従業員の勤務時間が週30時間未満になるように制御されている。つまり、従業員は企業の健康保険組合に加入する資格がないのだ。不規則な勤務スケジュールのせいで、従業員の多くは副業で稼ぐこともできない。スケジューリングソフトウェアは、まるで低賃金労働者をあからさまに罰して押さえつけるために設計されているかのようだ。・・・・・

ちなみに、原題は「Weapons of Math Destruction: How Big Data Increases Inequality and Threatens Democracy」。Weapons of Math Destructionというのは、もちろん、Weapons of Mass Destruction(大量破壊兵器)のもじりです。

 

 

« 資本が所有権を手放すとき | トップページ | 『Japan Labor Issues』7月号は比較労働政策セミナー特集 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 資本が所有権を手放すとき | トップページ | 『Japan Labor Issues』7月号は比較労働政策セミナー特集 »