フォト
2023年2月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28        
無料ブログはココログ

« 労働組合の資格審査@『中央労働時報』6月号 | トップページ | 労働者協同組合のパラドックス@『季刊労働法』2021年夏号(273号) »

2021年6月15日 (火)

NHK取材班『霞が関のリアル』

583363 NHK取材班『霞が関のリアル』(岩波書店)をお送りいただきました。

https://www.iwanami.co.jp/book/b583363.html

NHK NEWS WEBの注目連載書籍化。激務で知られ、さらにコロナ対応で疲弊する霞が関官僚。不条理な働き方は、精神疾患、相次ぐ退職、なり手不足といった問題だけでなく、第一線で働く官僚の能力発揮を妨げ、国の政策を停滞させている。官僚本人、家族、政治家、関係者への緻密な取材から、その現状と構造に鋭く迫る。

労働政策研究なんてことをしていると、当然のことながら厚生労働省の方々と接することも多く、時代とともにどんどんその激務ぶりが過激になってきていることは感じることも多いですし、いやいや何を言っているんだ、お前自身かかつてその中の人だっただろうと言われれば、物理的な長時間労働の時間数だけでいえば確かに昔もやたらに拘束時間は長かったけれども、あんまり濃縮感はないというか、それなりに職場でじっくりとものを考える時間はあったと記憶しているので、今みたいにのべつ幕なしに始終仕事が降り注いでくるという感じではなかったというのが正直なところです。

目次は以下の通りですが、やはり霞が関最大のキリングフィールドは、コロナ以前からすでに厚生系と労働系で残業時間のツートップを争っていた厚生労働省が、コロナという台風のど真ん中にぶち当たって、コロナと直接関係ない各局各課からコロナ本部に人身御供を大量に供出した結果、ただでさえ人手不足の部署がへとへとで回らなくなるという事態を現出した厚生労働省ということになるのでしょう。

厚生労働省で妊婦が深夜3時まで残業!? 」というのはたぶん二重三重四重くらいに皮肉で、近頃働き方改革だのワークライフバランスだのと民間企業に説教垂れているというだけじゃなく、100年前の工場法以来母性保護とか母子健康とか言っている役所のど真ん中なんですからね。

まえがき
0 コロナで激務に――霞が関の官僚にいま何が
追い詰められる官僚/官僚の“長い1日”/“対面が基本”の国会対応/残る紙文化/仕事は大変……でも「国民のために」/国家公務員は労働基準法の適用外/7人に1人が「辞めたい」/官僚トップに聞いた/始まった働き方改革
■第1部 官僚だってつらい
1 眠らない官僚
つらい! 眠い! 官僚たちの本音/保険金上げた……/“国会対応”/残業は120時間の過労死ライン超え! でも、官僚は……/長時間労働の“つけ”は大きい/「昔から忙しかったけど……」/官僚の家族の叫び/残業代には「天井」が/本当に「高給取り」?/子どもが欲しいが……/専門家「政治主導の強まり」
2 官僚女子もつらい!
女子の悩みは官僚も一緒/制度あるのに、使えない!/子どもはいないのですが……言い出せない悩み/「女性活躍」掲げるけれど……/専門家はどう見る/代行不能な「仕事の属人化」
3 厚生労働省で妊婦が深夜3時まで残業!?
働き方改革の旗振り役なのに……/妊婦が午前3時まで!/職場で倒れた人も/時間外の在庁が100時間超 なんと374人!!/人事院に直撃!! 何で休めないの?/専門家「人員増やすのもタブー視するな」
4 この春、霞が関やめました
私もかつて官僚でした……/「憧れ」の仕事だったけど……/終わりなき長時間労働/相次ぐ不祥事対応/異動ばかりで専門性が高められない/1年間で何人辞めたのか?
5 心身病む官僚たち
同じ課で一度に4人が……/つらいと言えなかった/職場に戻ることなく……/自死から5年たっての申請/将来を嘱望されていた男性/民間と官僚“労災”めぐる違い/何が追い詰める? 専門家は
6 官僚の勤務データは“リアル”? 人事院に直撃
データと取材実感に違いが……/国と民間の調査結果……こんなに差が!?/専門家はどう見る?/人事院にも聞いてみた!
■第2部 霞が関と永田町
7 夏休みの宿題? これ、官僚の仕事?
文部科学省に、夏休みの宿題!?/秘書がやるべき業務じゃないの?/まだまだありました……/専門家はこう見る
8 どうして即日廃棄? 大臣の日程表
日程表とは? 秘書官経験者に聞いてみた/その保存状況は?/指針では1年未満保存と明記/相次ぐ問題で見直された指針。しかし……/三大都市(東京・大阪・愛知)の知事の日程表は?/さらに調べると……/重要かどうか検討せずの省も/ついに廃棄前の日程表が!/各省庁の日程表、違いは……/どうやってチェックすれば!/黒塗りの省庁も/「政務」は記述されず
9 霞が関の嫌われ者 “質問主意書”って何?
「質問主意書」で退職を覚悟!?/質問は国会議員の重要な仕事/過去に不正発覚につながったことも/総理大臣公邸に幽霊!?/修正でがっかりすることも/【官僚の負担1】1時間ルール/【官僚の負担2】7日以内の答弁作成/【官僚の負担3】書式も厳密で面倒……/なんと10倍近くに!/質問主意書、どの議員が多い?/ランキング1位の議員に聞いた
10 官僚が自転車で疾走――真夜中に届けるものは
届けよ! 答弁書/なぜ遅い?【理由1】 通告時間/なぜ遅い?【理由2】 壮絶な“フリモメ” /いったい誰のせいなのか?
■第3部 今どきの霞が関事情
11 なぜ? 東大生の“官僚離れ”
東大生の進路に異変?/トップ合格、親族も官僚。でも……/「沈む船に乗りたくない」/官僚主導から政治主導へ/「冬」の時代の官僚たち/若手官僚たちの模索
12 40歳以上が多すぎ?――官僚組織の「逆ピラミッド」
若手官僚たちの嘆き/意外な組織構造/人事担当も疑問を持ちながら……/長期的なキャリアビジョンを持てない
13 民間人がなぜこんなに!?
霞が関の民間出身者 その数はなんと……/どうしてこんなに増加?/どの企業がどんな省庁に……/なぜこんなに民間から……/民間人は霞が関をどう見た?/「紙文化」に違和感
14 霞が関文学って何?
霞が関文学とは/霞が関文学だけでなく、隠語も!!/霞が関の隠語、実は省庁別にたくさんあった!/隠語の起源は、昔から……/「霞が関文学」が政治にも/【クイズ官僚用語】解答
15 改革は“外目線”――霞が関を飛び出す若手官僚たち
「第3の居場所」を作る/厚生労働のすべてがここに!/コミュニケーション改革を!
■第4部 コロナと闘う官僚たち
16 失われた“特別な時間”
誰もいない学校/突然の表明、ざわめく省内/休校は本来誰が判断?/方針決定の経緯は?/対応に追われた現場は
17 今どき官僚もテレワークですが……
青空の下、大臣記者会見/庁舎の窓は全開/手ごわいのがテレワーク/こうした事態、想定していた?/【理由1】ぜい弱なオンライン環境/【由2】国会議員への対応/霞が関だけの課題ではない
18 コロナと闘う公務員たち――厚労省“コロナ本部” 現場の保健所は
24時間態勢「コロナ本部」の官僚たち/メールの宛先は900人超え/厚労省では体調崩す妊娠中の職員も/現場の保健所は「悲鳴をあげています」/保健所の実情に詳しい専門家は
あとがき 

しかし、本書を立体的にしているのは、そこまで若手が疲弊しきっている霞が関にも、ちゃんと「働かないおじさん」がいるということにも目を向けていることです。

もともと終戦直後には純粋ジョブ型の職階制でスタートしたはずの国家公務員制度が、70年後のいまではどの企業よりも硬直的なメンバーシップ型の泥沼にはまり込んでしまっていることでしょう。その人事の硬直性の原因が実は仕事の極限までの柔軟性にあることも、民間企業の宿痾と同じです。

まあ、国会や政治家相手に究極の柔軟性を発揮してきたがゆえにここまで生き残ってきたという面もあるのでしょうが、そのツケが今の若手に降り注いでいるとすれば、その矛盾を解きほぐすには、まずなによりも本来の公務員制度の原点に立ち返って、もっと仕事のやり方を硬直的にしていくしかないように思います。

 

« 労働組合の資格審査@『中央労働時報』6月号 | トップページ | 労働者協同組合のパラドックス@『季刊労働法』2021年夏号(273号) »

コメント

記者クラブ対応のことは自分のところなので差し障りがあって書けないんでしょうね。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 労働組合の資格審査@『中央労働時報』6月号 | トップページ | 労働者協同組合のパラドックス@『季刊労働法』2021年夏号(273号) »