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2021年6月24日 (木)

賃上げ与党に減税野党という構図でいいのかね?

本ブログでも何回も取り上げてきたし、最近は論壇でも頻繁に論じられるように、欧米の左派が労働や貧困といったソーシャルイッシューから人種や性別、LGBTといったアイデンティティポリティクスに傾斜し、その結果右派ポピュリズムの興隆を招いたというのは、日本でも似たような状況が展開してきたのは事実。で、そこんところに着目して「リベサヨ」というペジョラティブな用語を使う向きもある。というか、私自身も時に使ったりもする。ただまあ、いまでは偉大なピケティの作り出した「バラモン左翼」という用語法が普遍的になりつつあるようだが。

でも、そういう先進国共通の「リベサヨ」現象とはかなり異なる、それよりもだいぶ前から私が、日本の「りべらる」と自称する左派の傾向として指摘してきた「リベサヨ」現象は、そういう90度に直交する軸の話ではなくて、むしろ欧米であれば端的に右派の主張である減税を、それこそが左派の命であると思い込むかのごとく熱烈に主張する奇妙な傾向のことだ。

このままいくと、賃上げ与党対減税野党という奇妙きてれつな構図になっていくんだけど、それでいいのかね。ま、いいんだろうね。こういう長い歴史があるわけだし。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2020/06/post-972110.html(「憎税」左翼の原点?)

これは、拉致問題の絡みで旧日本社会党を批判するという文脈で持ち出されている古証文ではあるんですが、

https://twitter.com/nittaryo/status/1270557950738825217

「『北朝鮮はこの世の楽園』と礼賛し、拉致なんてありえないと擁護していた政治家やメディア」
と言われても実感が湧かない皆さんに、証拠を開示しよう。これは日本社会党(現社民党)が1979年に発行した「ああ大悪税」という漫画の一部。北朝鮮を「現代の奇蹟」「人間中心の政治」と絶賛している。 

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その文脈はそういう政治話が好きになひとに委ねて、ここでは違う観点から。と言っても、本ブログでは結構おなじみの話ですが。よりにもよって「ジャパン・ソーシャリスト・パーティ」と名乗り、(もちろん中にはいろんな派閥があるとはいえ)一応西欧型社民主義を掲げる社会主義インターナショナルに加盟していたはずの政党が、こともあろうに金日成主席が税金を廃止したと褒め称えるマンガを書いていたということの方に、日本の戦後左翼な人々の「憎税」感覚がよく現れているなぁ、と。そういう意味での「古証文」としても、ためすすがめつ鑑賞する値打ちがあります。

とにかく、日本社会党という政党には、国民から集めた税金を再分配することこそが(共産主義とは異なる)社会民主主義だなんて感覚は、これっぽっちもなかったということだけは、このマンガからひしひしと伝わってきます。

そういう奇妙きてれつな特殊日本的「憎税」左翼と、こちらは世界標準通りの、税金で再分配なんてケシカランという、少なくともその理路はまっとうな「憎税」右翼とが結託すると、何が起こるのかをよく示してくれたのが、1990年代以来の失われた30年なんでしょう。

31dsj9bb24l_sx307_bo1204203200_ いまさら井出英策さんがどうこう言ってもどうにもならない日本の宿痾とでもいうべきか。

 

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コメント

労働運動でも同盟系、総評系共に減税要求は共闘が成立して盛り上がった歴史がありますね。制度政策要求でもサラリーマン減税という要求は賃上げを運動が獲得できる力を失っていた時ほど強力に主張されていたと感じられます。しかし本来的な左派の主張としては確かにおかしいわけですが、当時の機関誌などを見る限り社会的再配分などはあまり意識されていたように思われません。

バラモン左翼が90度直交だとすると、減税左翼の方はこちらはごく普通に180度逆転,ということになりますでしょうか。どうせやるなら、360度一回転してほしい、というジョークはともかくとして、くろかわ朝霞市議やhamachan先生が何とおっしゃろうとも、麗しき我が国の「憎税」左翼の伝統は(自称「マルクス経済学」とともに?)死守されなくてはならないものなのでありましょう。
 
かくて、「選挙のために『消費税廃止』を訴える野党は国民を騙しているだけ(明石順平 弁護士)」と考える多くの国民は、たとえ自公連立政権にいかに批判的であったとしても、選挙を棄権することになり、最終的破綻がやって来るまでは不幸な現状が続くというわけですが、ここまでくると全世界に貴重な社会科学の実験例を提供している、ということになるのかもしれませんね。

こうした計画的な煽り系のエントリはそろそろツイートへ移されたらいかがでしょうか?
コメントも想像できますし(哀)

これは「ためにする批判」だろう。
「どんな増税にも賛成」な『欧米左翼』なんているのですか?
バイデンやドイツ社民党や英労働党や仏社会党が付加価値税増税を現時点で目指すとは思えない。
バイデンに至っては年収4400マン以下の中間層には絶対増税しないとまで言う。

自称バラモンじゃない左翼のピケティ大先生も消費税反対だろう。

私は右か左かで言えば左だが、「左翼は再分配だからどんな増税にも賛成せよ」といわんばかりの当記事は左翼への風評被害だ。

※私は、現役世代の負担軽減と世代間格差是正、労働者重視の立場から消費税増税に賛成。
だが、労働者に不利な社会保険料や所得税の増税には反対。
金融課税には賛成。法人税は分からない。

「どんな増税にも賛成」は、大きな政府原理主義者だろう。

追記
「もっぱら庶民の経済要求に忠実で、民族主義や差別には寛容」なピケティ、トッド、サンデルらの主張にはすでに左翼から反論がなされています。

また、増税による分配は職業や世代や階級によって損得があり、損する人が反対するのは左右関係ない。

増税反対や減税が右翼だとすると、人頭税廃止や年貢廃止やフランス革命の平民増税反対も全部右翼になってしまう。

このブログによく出て来る「日本の反増税リベサヨとは違う、消費税や社会保険料大増税を熱心に目指す真の正しい欧米左翼」自体が、存在が極めて疑わしい。

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