上野歩『労働Gメンが来る!』
労基小説としては、最初の沢村凜『ディーセント・ワーク・ガーディアン』がとても出来が良く、
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/post-748a.html
次の早見俊『労働Gメン草薙満』があまりにもひどい出来だったのに対して、
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2018/01/g-0de4.html
今回読んだ上野歩『労働Gメンが来る!』はその中間くらいというか、労基ってこうなんだよと説明するにはいい小説という感じでありました。
https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334791698
清野清乃は二十六歳。労働基準監督官に任命され、吾妻労働基準監督署に配属された新米だ。働き方改革が叫ばれる昨今だが、意識の低い雇用主は多く、相談は絶え間ない。いきなり解雇されたり、給料の払いが遅れたり、ハラスメントを受けたり……。働くこと、雇うことって、こんなに難しいの? 清乃が担当する案件を通して、「労働」の本質をさぐる、最新型お仕事小説
正直言って、特に労災のパートなど、無理矢理小説仕立てにした労災の解説書風でもありますが、巻末の主要参考文献や労働局、監督署にいろいろ取材したのだろうなというのはよく伝わってくる小説になっています。
最後の章で、ちょうどコロナのさなかの妊娠看護師の話で出たばかりの母体健康管理措置を持ち出すあたりは、いかにもコキンから聞いた話をそのままネタにしました感があって、よろしいんじゃないでしょうか。
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