今年のEU労働政策の予定
昨日、今日と、ポルトガルのポルトでEUソーシャルサミットが開かれていますが、その関係の資料の中に、今後のEUの労働社会政策の予定表が載っています。
https://op.europa.eu/webpub/empl/european-pillar-of-social-rights/en/
そのうち、労働法の観点から関心の高い労働条件関係のものを見ると、
The Commission will:
Present in Q4 2021 a legislative proposal on the working conditions of platform workers, following the consultation of social partners.
Put forward an initiative in Q4 2021 to ensure that EU competition law does not stand in the way of collective agreements for (some) self-employed.
Following the White Paper on Artificial Intelligence, propose an EU regulation on AI in Q2 2021, for the uptake of trustworthy AI use in the EU economy, including in the workplace for all forms of work.
Present in 2022 a report on the implementation of the Working Time Directive.
Ensure an appropriate follow-up to the European Parliament Resolution with recommendations to the Commission on the right to disconnect.
The Commission encourages:
Social partners to follow-up on their Autonomous Framework Agreement on Digitalisation, notably in relation to the modalities for connecting and disconnecting, and to explore: 1) measures to ensure fair telework conditions and 2) measures to ensure that all workers can effectively enjoy a right to disconnect.
最初の、2021年第4四半期にプラットフォーム労働者の労働条件に関する立法提案をするというのは、その前段階の労使団体に対する第1次協議について、先日『労基旬報』で紹介したところですが、
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2021/03/post-8a9722.html(EUのプラットフォーム労働における労働条件に関する労使への第1次協議@『労基旬報』2021年3月25日号)
もう今年中には指令案の提案までいくみたいです。
同じく2021年第4四半期には、これも先日『季刊労働法』にかなり詳しく書いたフリーランスの団体交渉権について競争法が邪魔にならないような措置を講ずることが予定されていますね。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2021/03/post-6e35b0.html(『季刊労働法』2021年春号(272号))
次の2021年第2四半期に職場を含むEU経済におけるAI利用に関する規則を提案するというのは、すでに先月提案されていて、こちらはJILPTのコラムで速報的に紹介しておきました。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2021/04/post-01d3f9.html(EUの新AI規則案と雇用労働問題@JILPTリサーチアイ)
2022年に労働時間指令の実施状況報告をするのはいいとして、次の二つはテレワーク関係です。これらはつながっていて、欧州議会のつながらない権利にかんする勧告については先日WEB労政時報に詳しく紹介していますが、
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2021/02/post-a6dda2.html(欧州議会による「つながらない権利」の指令案勧告@WEB労政時報)
そこで触れた欧州労使のデジタル化協約でやってね、というのが欧州委員会の意向だということのようです。
ちなみに、こうした最近のテレワークの動きについては、3月末に東京労働大学講座の特別講座でお話ししたところですが、その中身とJILPTのテレワーク調査研究などをまとめて、来月にはブックレットとして刊行する予定です。
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