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2021年5月25日 (火)

ウーバーイーツ就労者の労基法上/労災保険法上の労働者性と特別加入

厚生労働省が労災保険の特別加入にウーバーイーツを初めとしたフードデリバリーとITフリーランスを追加しようとしていて、既に今月14日にそれぞれの業界団体の人を呼んでヒアリングをしているのですが、

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_18599.html

配布資料
【表紙】第97回労災保険部会
資料1 一般社団法人 日本フードデリバリーサービス協会 提出資料
資料2 一般社団法人 ITフリーランス支援機構 提出資料
資料3 特別加入制度の対象範囲の拡大に関する検討事項
資料4 業種区分及び新設予定区分の料率設定案について

これに対して実際に働いている側のウーバーイーツユニオンが反対表明したという記事が昨日載りましたが、

https://www.asahi.com/articles/ASP5S54S4P5SULFA00M.html

Uber_20210525091401 ・・・会見したウーバーイーツユニオン執行委員長の土屋俊明さんは、特別加入が認められても加入するか否かは任意になることから「未加入の配達員が事故に遭った場合、自己責任にされる。企業のシステムの中で労働力になっているのに、企業が保険料も事故の責任も免れるのはおかしい」と主張。事業主が保険料を負担する本来の労災保険の適用を検討するよう求めた。

この記事だけ見ると、ウーバーイーツユニオンは全面的に労働者性を認めろと主張しているように見えます。実際欧米ではそういう運動や判決が続々と出ているので、そう考えてしまいがちになるのですが、どうもそうでもなさそうです。

昨年8月にこのユニオンが厚生労働省に出した要望書では、

https://www.ubereatsunion.org/blog/194/

よって、ウーバーイーツユニオンとしては、労災保険制度の見直しにおいては、「特別加入」の拡大で済ませるのではなく、ウーバーのような労働力を確保して事業を行う企業が労災保険の保険料を事業主負担する形で、労災保険の適用拡大を行うよう要請いたします。
具体的には、現在の労働者災害補償保険法を改正し、労災保険の対象を定めた条文を新設して、「労務を提供し、その対価を得ている者」など、現行のフリーランスの労働実態に即した対象の定義を行い、適用対象の拡大を行うことを要請いたします。

あくまでも労災保険法上だけで(特別加入ではなく)適用対象とせよという主張のようです。労基法を全面適用されて、たとえば労働時間規制がかかってしまうのは厭なようです。

これはしかし、日本の労基法と労災保険法の構造からするととても難しい主張ですね。ウーバーイーツ就労者は労基法第8章「災害補償」の労働者ではないけれども、それの保険化である労災保険法上の労働者ではあるというのは。

あえていえば、通勤災害がカテゴリカルにはそれに近い立ち位置になりますが、それをヒト単位で創設するというのは想像以上に難しい障壁があります。

素直な主張としてはむしろ、労基法上の労働者ではあるけれど、労働時間その他の要らない規制は適用除外するという方が筋がいいようにも思いますが、いずれにしても現行法上は無理な話であり、現に事故が多発していることを考えると、当面は特別加入で行くしかなさそうです。

ただ、そもそも論として労災(あるいはより正確には業務上災害)補償責任は、労基法上の労働者の使用者に限られるのか、それを超えて労務請負の発注者にも広げて考えるべきかというのは、重要な論点であるように思われます。

 

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