メンバーシップ型社会のねじれたリカレント教育@『IDE現代の高等教育』2021年5月号
『IDE現代の高等教育』2021年5月号に「メンバーシップ型社会のねじれたリカレント教育」を寄稿しました。
https://ide-web.net/newpublication/blog.cgi?n=13&category=001
特集は「リカレント教育の新局面」で、次のようなラインナップです。
リカレント教育の新局面 金子 元久
メンバーシップ型社会のねじれたリカレント教育 濱口桂一郎
大学院におけるリカレント教育 鈴木 久敏
産業界からみたリカレント教育 宮田 一雄
女性のためのリカレント教育 坂本 清恵
高知大学の地域連携 櫻井 克年
上智大学プロフェッショナル・スタディーズ 曄道 佳明
国際化サイバーセキュリティ学特別コースCySec 寺田 真敏
リカレント教育としての大学通信教育 高橋 陽一
大学・大学院が社会人学習者から選ばれる存在となるために 乾 喜一郎
大学におけるリカレント教育に関する制度整備の変遷等について 一色 潤貴
米国の成人教育の新たな潮流:マイクロクレデンシャル 溝上智惠子
フランスの成人教育の新局面 夏目 達也
私のはタイトルからもわかるように、なぜ日本ではリカレント教育が本来の趣旨とは違うものになってしまうのかを、雇用システム論の観点から解きほぐしています。
リカレント教育という言葉はもう半世紀以上の歴史を重ねているが、今日「人生100年時代」とか「第4次産業革命」という掛け声とともに再び政策の前面に出てきている。しかしながら、わたくしが「メンバーシップ型」と呼ぶ独特の雇用システムのもとでは、そのありようは長らくねじれたままであったし、今日においてもなおそのねじれの延長線上に論じられているように見える。本稿では、そのねじれのよってきたる所以を若干でも解きほぐしてみよう。
そもそも「リカレント教育」とは・・・
ジョブ型社会の「リカレント教育」
メンバーシップ型社会のOJTとその機能不全
職業能力評価制度の機能不全・・・昨年来「ジョブ型」という言葉が異常に氾濫しているが、その内実はほとんど成果主義でしかなく、本気でジョブとスキルに基づく雇用制度に移行しようと考えている企業はほとんど見当たらない。その証拠に、ずぶの素人をOJTで鍛える新卒採用モデルに変化の兆しは全くなく、大学側もそういう企業行動を大前提に、ジョブのスキルなどよりも(潜在能力と意欲を最大限見せかける)シューカツのスキルに注力する「キャリア支援」に専念している。変わらぬメンバーシップ型社会におけるねじれたリカレント教育という立ち位置は、当分変わりそうもない 。
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