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2021年3月17日 (水)

川上淳之『「副業」の研究』

41utttw7al_sx327_bo1204203200_ 川上淳之さんより『「副業」の研究 多様性がもたらす影響と可能性』(慶應義塾大学出版会)をお送りいただきました。

https://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766427332/

もう一つ仕事を持つ意味を探求する
単なる「サイドビジネス」的位置づけではなく、ワーキングプアの副業という課題、本業へのスキルアップ効果、非金銭的動機による副業の性格、幸福度や健康との関係まで、経済学的視点から多面的にアプローチした「新しい働き方」理解のための本格的な決定版!

川上さんは先日、『改革者』で拙著『働き方改革の世界史』を書評していただいておりますが、本書は川上さんがずっと取り組んでこられた副業の労働経済学研究のとりまとめです。

川上さんの副業研究は、2017年の労働関係論文優秀賞を受賞していまして、そのときに確か授賞式で語られたことが頭に残っていたのですが、それが本書でもあとがきに書かれています。

この本の執筆のきっかけになる副業研究のアイディアを思いついたのは、2011年の秋頃、霞ヶ関から上石神井に移動する西武新宿線の車内だった。当時の私は、三つの研究所と二つの非常勤講師を担当する、いわば副業だらけのクィンタプル・ワーカーであった。慌ただしく職場間移動する中で、私は次のようなことを考えた。

「自分は、午前中に進めていた企業の生産性に関する研究の方法を、午後の職場で進めている最低賃金の研究に適用することができている。このような形で研究ができるのは、自分が複数の仕事をしているからかもしれない」

もちろん、午前中の霞ヶ関とは経済産業研究所(RIETI)であり、午後の上石神井とは労働政策研究・研修機構(JILPT)ですね。そこで生産性と最低賃金の研究という見事なカップリングができたわけです。

とはいえ、この発想だけで研究が進められたわけではありません。川上さんのお母さんが、真剣な口調で

「世の中、そういう副業ばかりではないんじゃないの?」

といわれたことが、本書の研究のここかしこに現れています。

世の中には副業に関する本はごまんと出ていますが、この問題に関する本格的な経済学的研究としては初めての本じゃないでしょうか。

ただ、せっかくこれだけの本として出されただけに、校了直前まで最新の情報を書き込んでいただきたかった感はあります。

p241に

本章を執筆した2020年8月の時点では、この議論を踏まえて労働政策審議会において議論が続けられている。・・・・

と書かれているのですが、いや同月に議論は終わって、兼業・副業促進ガイドラインが改定され、翌9月から施行されているので、ちょっともったいない気がします。本書の出版は2021年3月なので、十分書き込む余裕はあったと思うのですが・・・。

 

 

 

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コメント

東洋大学の川上です。この度は拙著の紹介をしていただき、ありがとうございました。ご紹介いただいたブログ記事が、私にとっての最初の書評となりました。

いただいたコメント部分、私の足りない部分であったと思います。この本に関連して副業についてお話しする機会もいただいておりますので、その中では最新の情報を紹介したいと思います。大切な気づきを与えていただき感謝しております。

わざわざおいでいただきありがとうございます。
また、『働き方改革の世界史』の書評、ありがとうございました。
「講義のつかみにあたる雑談部分は若干行き過ぎている箇所があるようにも感じられた」というご批判は、ある程度覚悟しておりましたが、古典の解説などというなかなか手にとっていただきにくいものをできるだけ気軽に読んでいただこうという老婆心が暴走したということでご寛恕ねがえればと思います。

副業の問題はいろいろな課題がつながって出てくるので、労働法の方面でも論ずる人は多いのですが、川上さんの本の内容がある程度みんなの前提になっていくことを願っています。

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