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2021年3月15日 (月)

佐野嘉秀『英国の人事管理・日本の人事管理』

41uc0v2yl_sx346_bo1204203200_ 佐野嘉秀さんより『英国の人事管理・日本の人事管理』(東京大学出版会)をお送りいただきました。ありがとうございます。大著です。

http://www.utp.or.jp/book/b553618.html

職務給の国イギリスと日本の仕事・賃金・人事管理は,どこまで近づいたか.名著『イギリスの工場・日本の工場』でのR.ドーアの見通しをもとに,日英の代表的な百貨店を舞台とする労働世界に分け入り,丹念な実態調査より浮かび上がる,雇用システムの収斂と多様性.

まさに、職務型のイギリスと職能型の日本の違いを、百貨店の売り場の人事管理の細かいところを目を皿のように調べた結果を300ページ以上のモノグラフにした本ですが、あえて乱暴にたった一言でまとめてしまうならば、

イギリスの職務型、日本の職能型はなんら変わっちゃいない。ドーアの予測に反して収斂はしていない。だけど、イギリスの職務給は、昔と違って上の方だけじゃなくて、下の方まで差のつく成果職務給になっている。そこが変化だ。日本は正規と非正規がきれいに分離していたのが、非正規も範囲は狭いが能力査定で右肩上がりのカーブを描くようになっている。いわば非正規も部分的に職能型化している。そこが変化だ。

ということになりましょうか。

逆に言えば、イギリスの職務主義はドーアが考えた以上に強固だったということかもしれませんし、日本の職能主義も、ジョブ型だなんだと言うわりに、非正規まで巻き込むくらい強固だったということかもしれません。

この発見が、百貨店というこれまであまり研究対象にされてこなかった業種の特性に関わるものであるのか、他の伝統的業種でも多かれ少なかれ似たような傾向が現われてきているのかというのは、読者が共通に抱く疑問だと思います。

一点、これは通読している最中、ずっと気になっていたのですが、employeeを「雇用者」と呼ぶのは、日本の戦後労働経済統計における悪しき慣習だと思っているので、毎ベージこの言葉が出てくる度に「いやいや、それは被用者でしょう」と独りごちていました。本来の日本語でも、「雇用者」は能動態であって、employerという意味の言葉のはずです。

 

 

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コメント

欧米の本質は(ジョブ型の特質の一部である)「指揮命令の限定、縮小」であり、
日本の本質は(メンバーシップ型の特質の一部である)「身分の付与」である、と
いうことかもしれません。

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