『ジュリスト』2月号のエアースタジオ事件評釈の感想
『ジュリスト』2月号に、学習院大学の橋本陽子さんがエアースタジオ事件東京高裁判決の評釈を書かれています。
http://www.yuhikaku.co.jp/jurist/detail/020609
[労働判例速報]
劇団員の労働者性――エアースタジオ事件――東京高判令和2・9・3…橋本陽子……4
この事件、実は私も英文誌『Japan Labor Issues』6月号向けに原稿を書いているんですが、公開はだいぶ先になります。
ちょっと気になったのは、橋本さんがこのように書かれていたことです。
・・・会社法上の機関である取締役と従業員の兼務と異なり、同一の就労者と委託者との間の契約関係においては、2つの異なる契約関係の存在を容易に認めるべきではない。・・・
これは一般論としてはそういうことも言えるのですが、本件については、Xは劇団員としての立場とは別にY経営のカフェで店員として勤務していて、こちらについては労働者性に争いはないんですね。なので、カフェ勤務、裏方業務、稽古、公演、懇親会のすべてを一貫しなければならないとすると、非労働者という選択肢はなくなってしまうのです。橋本さんはその立場だから良いですが、たとえば公演・稽古は労働者性なしとと言う立場の人が一貫性を求められたら、Yすら認めているカフェ店員としての就労すら労働者ではないといわなくてはならなくなり、それはいくら何でも無茶ではないかと思います。
私は高裁の判決には疑問があり、むしろ地裁の裏方業務と公演・稽古で線引きするのがいいのではないかと思っているものですから、ちょっと一言口を差し挟ませていただきました。
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