フォト
2021年3月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
無料ブログはココログ

« 女性がなりたがらない「管理職」と男性がなりたがる「管理職」 | トップページ | 『日産・ルノー アライアンス オーラルヒストリー』 »

2021年2月21日 (日)

今井順『雇用関係と社会的不平等』

L17458 これは著者からお送りいただいた本ではなく、面白そうだったので読んでみたものです。

http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641174580?top_bookshelfspine

1980年代半ば以降30年にわたる「雇用改革」は,雇用関係をどのように変え,社会的不平等と排除のパターンにどのような影響を与えたのか。「産業的シティズンシップ」に着目し,日本の正規雇用と非正規雇用の格差拡大について一貫した論理で整理する意欲作。 

読んでみると、今井さんの問題意識はほぼわたくしのそれと重なっています。副題には「産業的シチズンシップ」が出てきますが、本書で取り上げられるのはその特殊戦後日本的な形態たる「企業別シチズンシップ」であって、この概念はほぼわたくしのいう「メンバーシップ」と重なります。

第1部でその形成史を簡単に概観した後、第2部と第3部で、ここ30年余りの期間に、非正規と正社員の双方で進んだ変化を、「企業別シチズンシップ」の矛盾の露呈拡大という観点から一貫して論じたものです。この点も、ここ十数年間の私の諸著作の問題意識とほぼほぼ重なっています。

なぜ用語が異なるかといえば、おそらく今井さんは世界の政治社会学で共通概念になっている「シチズンシップ」から入って、その特殊形態として「正社員」であることに様々な権利義務が付随してくる戦後日本の在り方に注目してきたからなのでしょう。

なので、あまりにも私の問題意識と重なりすぎるので、あえて取り上げて論じるところがあまりないのですが、一点興味深いというか、目に付いたのが、第5章の副題にもなっている「去勢されたライフコース」という(やや奇矯にも見える)概念です。

1990年代以降、それまでは正社員になるのが当たり前だった若年青年層に、不本意に非正規化せざるを得ない層が増加したことはよく指摘されていますが、彼らが経験した企業別シチズンシップからの排除に対する「適応」としての心理的な現状処理の一つとして、モラトリアムだと位置づけること、社会的な独立を主張することに並んで、ジェンダー保守主義を強調することが発見されている点は、ここ20年余りのジェンダー・ポリティクスを理解するうえでなかなか重要なのではないかと思いました。

政治的に奇妙にフレームアップされる夫婦別姓問題が、(もちろん様々な要素が絡み合っているとはいえ)自らの未婚時の姓でもって社会的に一定の評価をすでに得ている(勝ち組)女性の、その社会的評価の付着した姓を結婚後も使い続けることによって、コンパラブルな男性と同様の勝ち続けられるポジションを得たいという要望に立脚していることとの対比で、(負け組)若年・中年男性のジェンダー保守主義は、高齢層のいまさら変わらない保守主義とはやはり異なる平面で考察される必要がありそうな気がします。

 

 

 

 

 

 

 

« 女性がなりたがらない「管理職」と男性がなりたがる「管理職」 | トップページ | 『日産・ルノー アライアンス オーラルヒストリー』 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 女性がなりたがらない「管理職」と男性がなりたがる「管理職」 | トップページ | 『日産・ルノー アライアンス オーラルヒストリー』 »