欧州労連がEU・中国包括投資協定に注文
昨年末に駆け込みで合意に至ったEUと中国の包括投資協定に対して、欧州労連が「中国は全然人権を守っていないじゃないか」と注文を付けています。
https://www.etuc.org/en/publication/sign-joint-appeal-eu-china-investment-agreement
・・・・We therefore call upon the Members of the European Parliament and other responsible European institutions to implement all of the following minimum conditions prior to ratification:
Ensure China ratifies core human rights convention before entering in the agreement, mainly the ICCPR, and core ILO conventions (C029 - Forced Labour Convention, 1930 (No. 29) C087 - Freedom of Association and Protection of the Right to Organise Convention, 1948 (No. 87) C098 - Right to Organise and Collective Bargaining Convention, 1949 (No. 98) C105 - Abolition of Forced Labour Convention, 1957 (No. 105)・・・・
・・・・それ故我々は、欧州議会の議員と他の責任ある欧州機関に、以下のすべての最低条件を実施するまで批准しないよう呼びかける。
中国が協定に入る前に、中核的人権条約、すなわち市民的政治的権利に関する国際規約と、中核的ILO条約(第29号強制労働条約、第87号結社の自由と団結権条約、第98号団結権と団体交渉権条約、第105号強制労働撤廃条約)を批准すること・・・・
まだずっと続きますが、もしかして世の中にはILO条約ってのは、公務員の労働基本権だけに使うものだと心得ている人がいるかもしれませんが、いやいやそれは日本の特殊事情であって、世界的にはずっとソ連の社会主義体制に対して自由主義圏の労働組合が「お前らはILO条約違反だ」と文句をつけるのに使うのが当たり前だったのです。
いまでも、このように、ILO条約を持ち出すのは中国のような独裁体制の国を相手の場合が多いんです。
このあたり、右翼の方も左翼の方も勘違いをしている傾向がありますね。このあたり、昨年出した拙著『働き方改革の世界史』の「あとがきに代えて マルクスが入っていない理由」でちょびっと触れています。
・・・ちなみに、戦後ILOで結社の自由と団結権条約(87号)が金科玉条のように振り回されたのは、西側労働組合の共産圏に対するイデオロギー攻撃だったのです。共産圏には結社の自由も団結権もないではないかと。お前らは共産党の召使に過ぎず、ILOの三者構成原則に背く奴らだと。ところが戦後日本ではこれが、公共部門の労働基本権をめぐって(マルクス主義にシンパシーを抱く)総評系官公労が(反共主義の)保守政権を攻撃する手段として使われるというこれまた二重の皮肉がありました。・・・
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