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2021年1月24日 (日)

労務と報酬の交換なきメンバーシップ契約の成れの果て

こういうツイートが話題になっているようですが、

https://twitter.com/_Aruko_ru_/status/1352590231313113096

 今日の面談内容です。
内定辞退する事になった決定的な会話を部分的に書き出しました訴えかける顔
詳しくは言えないですがまだ求人載せてて事務職で人気あると思いますが地雷もあるので気をつけて…

Esvdpocucaa2vc1

いろんな観点から評論することができそうですが、労働法的には、そもそも本来であれば雇用契約の予約に過ぎないはずの内定を、(判例のもとになった個別事案的には、当該労働者を守ってやろうというパターナリスティックな観点から)雇用契約そのものであるというおかしな判断を下してしまったことの帰結ということもできそうです。

民法的には雇用契約とは労働に従事することと報酬の支払いという対価関係のある双方の行為の交換契約のはずですが、そのいずれもない内定状態をも雇用契約だと定義してしまうことによって、日本の雇用契約はもはや対価関係にある双方の行為の交換契約ではなく、会社の社員という地位(身分)を付与してあげる行為、私の言い方によれば、ジョブ契約ではなくメンバーシップ契約になってしまったわけです。

内定状態とは、もはやれっきとした会社のメンバーになったけれども、契約に基づく義務として労働に従事したり報酬を支払ったりする義務はない状態。義務はないけれども、もはやれっきとした会社のメンバーになったんだから、実際に仕事に従事しながらそのやり方を勉強するのは当然だよね、という感覚が、(そもそも民法の雇用契約は・・・という原理的反省が消えうせたまま)ごくごく当たり前のように蔓延してくるのも、これまたあまり不思議ではないことであるということができるでしょう。

たぶん、この会社側の人々は、学校の人が入試に合格した人に、正式に入学するまでにこれだけ勉強しておけよ、というのとまったく同じような感覚でこれを言っているのでしょうね。学校と会社を貫く日本的メンバーシップ感覚の強固さをよく表している一例です。

その強固な感覚の前には、六法全書に書かれている雇用契約の定義規定など、遥か宇宙の果ての得体のしれない謎文書のようなものでしかないのでしょうね。

 

 

 

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コメント

> 入試に合格した人に、正式に入学するまでにこれだけ勉強しておけよ、という

レポートや答案を提出して(その中身の出来が悪かろうとも)従う素振りをしていれば、あまり問題ないんですけどね。
この会社も恐らく似たようなものかと。
学生さんの方は、「学校は日本的だが、会社は世界標準だ」と思っていたんでしょうね。
「私事の犯罪行為で、大学の名誉を棄損したので退学に処す」って、世界標準なんですかねえ?

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