特殊日本風ジョブ型の絵解き
記事に悪態をついているだけと思われても何なので、ごくごく簡単に絵解きを。もう何回もしゃべってきたことだけど。
欧米諸国のベースラインであるジョブ型というのは、ブルーカラーやホワイトカラーでもクラーク的な仕事が典型的で、職務は極めて限定的で、ジョブディスクリプションに書いてあることをやれてればよく、査定は原則としてない。
それに対して、ホワイトカラーの上層は、社会の仕組みがジョブ型だからジョブ型っぽく作りこんであるけれども、実は結構職務は無限定で、その成果を厳しく評価される。労働法的に言えば、エグゼンプトの世界とノンエグゼンプトの世界は断絶しているのであり、そして圧倒的に多くの日本人は理解していないけれども、エグゼンプトは入り口からエグゼンプトであって、いわば身分が違う。
では、ホワイトカラー上層は日本的なメンバーシップ型かというと、全然そうじゃない。いつでもどこでもなんでもやる、という無限定さがまさにそのジョブなのであって、会社の一員として守られているわけではない。
そして、日本の管理職が、非管理職と切れ目がなく、ヒラも課長も同じように能力評価、情意評価でもって年功昇進しているのとは違って、そこは厳しく成果で評価される。
この、ジョブ型の本体とは全く異なる上澄み部分の特殊な仕組みを、あたかも欧米がみんなそうであるかのように「ジョブ型」と呼ぶのが。すべての間違いの源泉。
たぶん、日本で「ジョブ型、ジョブ型」って喚いている人々の多くは、要するに欧米のカウンターパートに比べてあまりにも無芸無能な「働かないおじさん」を何とかしたいと思っているのでしょうけど。
« 『労働法律旬報』No.1975+76 1月合併号 | トップページ | メンバーシップ型で女性活躍を求めると、これが唯一の解 »
« 『労働法律旬報』No.1975+76 1月合併号 | トップページ | メンバーシップ型で女性活躍を求めると、これが唯一の解 »
コメント