フォト
2025年4月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      
無料ブログはココログ

« 『日経DUAL』にインタビュー記事 | トップページ | この人の記事こそ、ジョブ型「狂」想曲だったんだが・・・ »

2020年12月 4日 (金)

職務限定・成果給の両立難題@神林龍@日経経済教室

Kambayashi_20201204180801 本日の日経新聞の経済教室に、神林龍さんが「ジョブ型雇用と日本社会」の「中」として「職務限定・成果給の両立難題」を書かれています。

https://www.nikkei.com/article/DGXKZO66953900T01C20A2KE8000

日経新聞がひたすら宣伝している「ジョブ型とは職務を定めた成果主義なり」という奇妙な議論を、(私と違って紳士的なので、頭から叩きつぶすのではなく)やんわりとしかししっかりと否定しています。

・・・結局、ジョブ型雇用を職務記述書と成果給の混合と解釈しても、その道のりは険しい。いわゆる日本的雇用から抜け出そうという意図は察せられるが、その組合せは論理的な矛盾をはらんでいる。・・・

そして、日経式ジョブ型論がなぜか都合よく忘れたがるこの点もしっかりと指摘しています。

・・・さらに職務記述書を重視するのであれば、使用者は日本的雇用慣行の下で享受してきた広範な人事権を一定程度諦めねばならない。・・・

こういうのは、およそ雇用システム論を少しでも齧れば当たり前のことではあるのですが、昨日の「上」では、太田肇さんがあっさり日経式ジョブ型定義に従って、「ジョブ型では時間ではなく、仕事の成果を重視するが、労働基準法は一部の職種を除き原則として労働時間で管理することを前提にしている」などと、相当にトンデモなことを書かれています。

いやいや、れっきとしたジョブ型社会の欧米でも、一部のエグゼンプトを除けばメインストリームのマジョリティの労働者は労働時間規制の下にありますが、そういう圧倒的多数のジョブ型労働者たちは、日経式定義ではジョブ型に認めてもらえないようです。しくしく。

(追記)

普通の理性を持った人であれば、この神林さんの文章が、日経式インチキジョブ型論を批判し、私が繰り返し論じている本来のジョブ型論の観点から今のおかしなジョブ型狂想曲をたしなめていることはわかりそうなものですが、世の中には日経式ジョブ型論に疑いを持たずに、私の議論を「素人談義」だなどと罵倒し、神林さんにどう答えるのか?などと見当はずれの言いがかりをつける、いささかアレな感じの経営学者さんもおられるようです。たぶん、アメリカのジョブコントロールユニオニズムも知らなければ、ヨーロッパ諸国の産業別労働協約のことも何にも知らないんでしょうね。池田信夫、田中秀臣とならび、濱口罵倒三羽烏の一角を狙っているのかもしれませんが、もう訳の分からないイナゴの来襲は御免なので、これ以上コメントは避けておきます。勝手に仲間扱いされた神林さんが一番迷惑をこうむるでしょうし。

それに、この分野で一番信頼されている佐藤博樹さんがようやく満を持して、インチキジョブ型論の批判に乗り出してこられてるので、

https://news.yahoo.co.jp/articles/56d2c370d772ddc248ca82165ccc23f91259e494(人事の流行「ジョブ型雇用」の誤解 成果主義や解雇と直結? 佐藤博樹・中央大学ビジネススクール教授に聞く)

今まで一人気を吐いてきた誤解をいちいち叩く仕事はそろそろ控え気味にしたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

« 『日経DUAL』にインタビュー記事 | トップページ | この人の記事こそ、ジョブ型「狂」想曲だったんだが・・・ »

コメント

ご無沙汰です。私のネット記事に早々と気がつくとは流石です。

12月7日の朝日の記事はいいですね。ネット版があったのには気がつきませんでした。

日経新聞などの記事の問題は,経営者がそれを読んで,人事担当者に「我が社もジョブ型雇用に転換できないのか」,「他社ができてなぜ我が社でできないのか」と発言することです。

大手企業の人事担当者の数名からは,無視ができないので困っているとの相談を受けたことがあります。
人事担当役員や人事担当者の発言力の低下も問題ですが。勉強してもらいたいですね。

恐縮です。
今年に入ってから、ネットを「ジョブ型」で検索して、おかしなことを言っているのがいないか、探すのが日課になってしまいました。
たまに佐藤さんや海老原さんなど、まともな記事に当たるとほっとします。

今月末出る『ジュリスト』1月号では、鶴光太郞さんらとの座談会で、かなり放出しています。

とはいえ…、世の多くの迷える聴衆(ストレイシープ)が明確で分かりやすい「真実」を求める限り、誰の耳にも一見優しいジョブ型ラプソディへのアンコール拍手は暫くは鳴り止まないでしょう。

佐藤教授の同コラム記事より、以下にジョブ型の肝であるジョブアサインメントの要諦が分かるパラグラフを抜き出しました、あくまで当ブログの熱心な読者のご参考まで。

逆説的ですが〜人は自身のなすべき領域(職務)を自ら限定することで、初めて真に自由になり自分の行動に責任を持てるようになるのかもしれません〜メンバーシップ型で10年、その後ジョブ型で20年近く人事の仕事をしてきて最近ずっと思うことです。

ーーーー
日本企業のうたう「ジョブ型」はほとんどの場合、社員が担当する職務の範囲を明確にしただけで、そこに誰を配属するか、という人事権は企業が握っています。これではジョブ型雇用には該当しません。欧米企業の「ジョブ型」雇用では、職務や勤務地を選択するのは社員です。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 『日経DUAL』にインタビュー記事 | トップページ | この人の記事こそ、ジョブ型「狂」想曲だったんだが・・・ »