北欧の労働組合はEU最低賃金指令を断固拒否するぞ!
昨年来、EUではフォンデアライエン委員長が言い出しっぺのEU最低賃金という構想が着々と進んでいて、既に2次にわたるEUレベル労使団体への協議を終え、欧州委員会が指令案を出すんじゃないかという状況になりつつありますが、それに断固としてNO!を突きつけているのが、EUで一番組織率が高く、団体交渉が盛んな北欧諸国の労働組合です。
https://www.socialeurope.eu/eu-legislation-on-minimum-wages-is-not-the-solution
例によって「ソーシャル・ヨーロッパ」から、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン3か国の労働組合の代表の連名による「EU legislation on minimum wages is not the solution」(EU最低賃金立法は解決じゃない)という文章を紹介しておきます。
We are deeply worried and concerned that the European Commission, after its second-stage consultation with the social partners, is planning to proceed with a legislative initiative on minimum wages—a proposal, which will not respect treaty limitations and be counterproductive for a social Europe built on robust, multi-employer collective bargaining.
われわれは欧州委員会が労使団体への2段階協議を終えて最低賃金に関する立法提案を提出しようと計画していることを深く憂慮し懸念する。それは、条約の制約を尊重せず、健全な多数使用者との団体交渉の上に構築された社会的ヨーロッパに対して反生産的である。
現に労働組合が強く活動している北欧諸国からすれば、最低賃金立法など不必要である以上に有害なのです。
We do acknowledge the need for higher wages and better-functioning labour markets. But what Europe needs is more collective bargaining and stronger social partners, not a straitjacket on social dialogue and wage-setting, which would not only be detrimental to Scandinavian labour markets but also risk harming social dialogue in other member states.
われわれは高賃金と良好に機能する労働市場の必要性を理解している。しかし、ヨーロッパに必要なのは、もっと多くの団体交渉ともっと強い労使団体なのであって、労使対話と賃金決定に対する拘束衣じゃない。それはスカンジナビア諸国の労働市場を損なうだけではなく、他の加盟国の労使対話にも悪影響を与える危険性がある。
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