ジョブ型は成果主義じゃないし、解雇自由でもないけれど、同一労働同一賃金なんだぜ
なんか最近、
https://twitter.com/pandadnap9999/status/1315867522567077888
なんで新しい人事用語が出てくると時間外管理しなくていいとか解雇しやすくなるみたいな意味合いを付与したがるんだろうな。最近だとジョブ型とかさ。
いやそもそも「新しい人事用語」ですらないと思うんだけど。
でも、「ジョブ型」ってあんたの作った言葉だろう(いやそうなんだけど)、ていうわけで、一番初等レベルの
ジョブ型は成果主義じゃないし、解雇自由でもない
ってのをやたらにあちこちで喋ったり書いたりすることが多くなって、正直そろそろ食傷気味ではある。
トンデモなジョブ型論を叩くのは、名付け親のお前の責務だと言われれば、おっしゃる通りでやらざるをえないんだけどさ。
(追記)
下のコメント欄である外資系人事マンさんが言われているように、全然ジョブ型じゃない話では山のように「ジョブ型」が出てくるのに、同一労働同一賃金というまさにジョブ型の中核の話になると、なぜか誰も「ジョブ型」っていう言葉を発しなくなるという、この天下の奇観(注1)。
同一労働異なる賃金、異なる労働同一賃金のメンバーシップ型の世界で、ジョブ型を前提とする同一労働同一賃金なんてものがそもそもいかにして可能なのか、という本質的な問いを発したことなんか一人もいないんだろうね。
ジョブ型は成果主義じゃないし、解雇自由でもないけれど、同一労働同一賃金なんだぜ
(注1)今のところ、経営法曹の倉重公太朗さんだけが、この問題で「ジョブ型」に触れていますね。
https://news.yahoo.co.jp/byline/kurashigekotaro/20201014-00202908/
同一労働同一賃金の問題は、日本型雇用の崩壊に伴う、移行期であるが故の問題であるともいえます。メンバーシップ型雇用における「メンバー」と「メンバー外」の争いから、緩やかに「ジョブ型」に移行しようとする中で、「ジョブ」とは何なのか、業務とは、責任とは、人材配置の在り方とは、という根本が問い直されています。
不透明感が増すこれからの時代、未来を担う若者が働きに出る頃、せめて日本がまっとうな労働市場があるためには、今の時代に合わせた「新・日本型雇用のグランドデザイン」を提示する時機に差し掛かっているといえます。
本判決をきっかけに、このような日本型雇用の根本について考える人が一人でも多く現れることを切に願って、夜なべして本稿を書きました。。。
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コメント
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ご無沙汰しております。トンデモなジョブ型怪獣退治にご多忙の最中、昨日は最高裁で重要な労働裁判の判決がありました。非正規社員の賞与と退職金が正社員のようには認められず、ニュース映像で「不当判決」と主張する原告らの憤りの様子が印象的でした。現状の「日本型 同一労働同一賃金スキーム」では、直近の業務内容だけではなく、配置転換や訓練も含めて同一な労働か否かが判定されますので、その意味で、正職員と非正規職員のジョブは(一見同じようだが)同じではない、よって両者の格差の源泉たる賞与と退職金は外せない、とのことかと。さらに言えば、昨今のコロナ禍という景気後退のタイミングも運悪く影響したはずです。
「ジョブ」をめぐる冒険は、きっと日本ではまだ始まったばかりなのでしょうね。(Kindle本で購入したHamachan先生のちくま新書、世界の労働運動史はまだ読みかけですが…)
投稿: ある外資系人事マン | 2020年10月14日 (水) 05時42分
『日経』が「働き方改革」報道以来,労働時間管理=非成果主義,ジョブ型=成果主義=労働時間管理などと誤った想定で記事を連発していることが,強い影響を持っているように思います。授業でも必死に訂正しています。
https://riversidehope.blogspot.com/2020/06/blog-post_22.html
投稿: 川端望 | 2020年10月14日 (水) 13時34分
川端様、ありがとうございます。また、奮闘ご苦労様です。
巨大マスメディアが意図的に半分間違っている報道をやり続けると、みんなそれが頭に入りこんでいくんですよね。
投稿: hamachan | 2020年10月14日 (水) 14時57分