フォト
2020年12月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
無料ブログはココログ

« The Employment Adjustment Subsidy and New Assistance for Temporary Leave@『Japan Labor Issues』11/12月号 | トップページ | 間違いだらけの「ジョブ型」議論、成果主義ではない…第一人者・濱口桂一郎氏が喝!@産経新聞 »

2020年10月24日 (土)

ジョブ型社会ではブルシット・ジョブにもジョブ・ディスクリプションがある

515760 こないだ死んだグレーバーの『ブルシット・ジョブ』はすごく話題になっているようですが、ブルシット・ジョブもジョブ型社会の「ジョブ」だってことは、どれくらいの日本人が理解しているのか、という感想を持ちました。

いやもちろん、日本社会にも、日本の会社やいろんな組織にもいっぱいいろんなブルシットなあれこれがあることは、とりわけブルシットな事務作業のせいで研究時間が全然取れないと毎日つぶやいている大学の先生方をはじめとして、日々痛感している人が多いと思うし、それはそうなんですけど、でも日本の組織の中のあれこれのブルシット現象は、ブルシット「ジョブ」じゃないんです。

アメリカに生まれてイギリスで暮らしていたグレーバーにとっては、ジョブ型社会はあまりにも当たり前なので、わざわざそこに疑問を呈したりしないけれども、ジョブってものがそもそも希薄ないし欠如している日本社会の目から見ると、たぶんこういう記述は理解しがたいんじゃないでしょうか。邦訳の88ページからですが、

・・・彼女には、二つの選択肢が残されていた。役立たずをブルシットな役職に移動させ、何ら意味のない職務に当たらせるか、もしくは、そうした役職が目下出払っているのなら、その人間は据え置いたままで、別の誰かを雇って実際の仕事を代わりにやらせるのである。だが後者の方法を選んだ場合、もう一つの問題が生じる。つまり、当の仕事にはすでに役立たずがついているのであるから、ほかの人間を募集することができないのである。だとすれば、その代わりに、手の込んだ職務記述書と合わせて新しい仕事をでっちあげなくてはならない。それがブルシットなことは承知済みである。本当は、何か別のことをさせるために、その人間を雇おうとしているのだから。そこで、実際にはやってもらうつもりのない架空の職務に、その新人の適性が理想的にピッタリであるかのようなふりをすることになってしまうのだ。これらすべてに、膨大な仕事が伴っている。・・・

日本にも山のようにブルシットな作業やら職場やらがあるんでしょうけど、ただ一つ絶対に存在しないのは、ブルシットジョブのジョブディスクリプションを作成するというブルシットな作業でしょう。

邦訳のその次には、タニアという女性の告白が続きます。

かっちりとした職階と職務の定められている組織では、人員募集でいるような職務内容の明確な仕事が存在しなければなりません(そこは自己目的化したBSジョブとムダな仕事からなる並行世界です。・・・)

そのため、BSジョブの創造はたいてい、BSなナラティブ世界の創生を伴っていて、そこには(架空の)職務の目的や役割はもちろんのこと職務遂行に必要な資格が、連邦人事管理局や私の機関の人事スタッフの規定する書式や専門的なお役所用語に合致するよう記載されています。

それが済めば、そのナラティブに即した求人広告が必要になります。雇用資格を得るために、応募者は業務代行している機関の使用する雇用ソフトウェアに自身の資格を認識してもらえるよう、当該の求人の題目と文言のすべてを盛り込んだ履歴書を提示しなければなりません。その人が雇われた後、その職務は年次勤務評価の基礎となる別の文書においても一言一句記述されていなければなりません。

応募者たちが雇用ソフトウェアを確実に通過できるよう、その履歴書を私自身の手で書き換えてきました。さもなくば、その人たちを私は面接も採用もできないからです。・・・

これ自体が、ジョブ型社会の根幹をなしている「ジョブ」という概念の空疎さを皮肉っているようにも読めます。

日本ではこんなめんどくさい手続きなんか一切なくても、いくらでもブルシットな仕事は作り出せるし、現にいっぱいあるわけで。ま、それがいいことなのか悪いことなのかの評価はまた別の話ですがね。

 

 

 

 

 

« The Employment Adjustment Subsidy and New Assistance for Temporary Leave@『Japan Labor Issues』11/12月号 | トップページ | 間違いだらけの「ジョブ型」議論、成果主義ではない…第一人者・濱口桂一郎氏が喝!@産経新聞 »

コメント

誠に刹那的な上記翻訳本の引用箇所に限った印象ですが…、ジョブにまつわる描写内容そのものの不可思議さもさることながら、訳の分からない逐語訳日本語の不可解さもあってかこれだけでは何のことだかさっぱり分からない読者が大半かと思われますので、ジョブ型人事を生業にする小職から一言二言補足めいた点だけ。

上記会社のケースは、組織内で硬直化した人事制度が自己目的化した結果、本来なら(職務レベルの高低によらず)社内で生まれた新しいジョブにつける候補者を採用するためにそのポジションの「JD」はその人にやって貰う職務内容を堂々と記載してラインマネジャーが創作すべきであるにも関わらず、(きっと相当に官僚化された硬直的組織なのでしょう)社内でがんじがらめに決めた人事ポリシーに基づき政府や人事部があらかじめ規定したJDの様式や文言からの逸脱が許されない、それゆえフェイクのジョブすなわちJDを人事部がラインと共犯で偽造した上で2、3の玉突き人事で何とか要員を当てがうという、まあ何とも凝りに凝った自作自演ものかと。その点、メンバーシップ型組織ではこんな面倒くさい手続きを踏まずとも、玉石混交の玉突き人事なら十八番と、関係者間の調整後の「人事異動」というメール辞令一本で迅速に事済ますことが余りにも日常茶飯事でしょう(〜そうすることの是非や善し悪しはあえて問いませんが。)まあ、どんな人事制度も自己肥大化して柔軟性を欠けば、会社組織を蝕んでしまうことの好事例かと。

いやまあ、翻訳の問題もあるのかもしれませんが、そもそも流麗に訳してもここで何が言われているのかをきちんと理解するのは、メンバーシップ型組織にどっぷりつかった日本人にはほとんど不可能なような気が・・・。

就活アドバイスも
かなり
まともになっていますね

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« The Employment Adjustment Subsidy and New Assistance for Temporary Leave@『Japan Labor Issues』11/12月号 | トップページ | 間違いだらけの「ジョブ型」議論、成果主義ではない…第一人者・濱口桂一郎氏が喝!@産経新聞 »