『働き方改革の世界史』にamazonレビュー
『働き方改革の世界史』に早速amazonレビューが付きました。星5つと最高点ではあるのですが、どうもかなり注文があるようです。
タイトルが「マルクス抜きの労使関係理論の歴史」で、どうもわたしが「あとがきに代えて」マルクスが入っていない理由を延々と書いたことが、あまりお気に召さないようではあります。
題名通りの本ではない。現在、一般の人が思い浮かべる「働き方改革」の話題とは、ほぼ無関係の本。
中身は、マルクス主義抜きの労働運動の仕組みの世界史。つまりマルクス主義抜きの労資関係理論の歴史。
ただの歴史では目立たないと思ったらしく、古典なるものを12冊本棚から引っ張り出してきて、そのキモを解説し、進めていく。
一部を除くと、復刻も再販も文庫化もなく、普通の読者とも普通の労働者ともほぼ無縁の本で、これから読む気にもなれないが、もし読むとなると、一冊につき、数日から数週間はかかりそう。
だが、著者のキモ解説(キモいではない。肝の解説のこと)は数分で読める。
著者のキモ解説が原著の内容を反映しているかどうかは確認は不可能だが、、著者の主張を語るために古典を使っているようなので、反映していなくとも別にかまわない。趣向はグッド。
「趣向はグッド」といいながら、わたくしのスタンスにはあまり同意しがたいものを感じられているようで、
12番目に出てくるのが、藤林敬三の『労資関係と労使協議制』1963年。1章分使ってこの本を紹介する第4章がこの本のキモ。
労働運動や労働組合の未来を予言し、それがピタリ当たっているといった藤林本への過大な褒め言葉と著者の左翼組合批判が並び、主張にはあまり賛同できないが、話はポピュリズム的に分かりやすい。
褒めてるような、貶しているような、しかしやはり褒めてるような、曰く言い難い評言です。
結論はこれです。
評価は星5個とした。著者の主張には賛同できないところが多いが、本はユニークでベリグド。
意見が違う、というかおそらく真反対であるにもかかわらず、本書のコンセプトをここまで高く評価していただいているその評価の公正さには、心から感謝申し上げるしかありません。ありがとうございます。
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