フォト
2024年9月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
無料ブログはココログ

« 『季刊労働法』2020年秋号(270号) | トップページ | 日経ビジネスオンラインにインタビュー記事 »

2020年9月15日 (火)

『働き方改革の世界史』にamazonレビュー

9784480073310_600_20200915233901 『働き方改革の世界史』に早速amazonレビューが付きました。星5つと最高点ではあるのですが、どうもかなり注文があるようです。

https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R1EQHAJ18AKGHW/ref=cm_cr_dp_d_rvw_ttl?ie=UTF8&ASIN=4480073310

タイトルが「マルクス抜きの労使関係理論の歴史」で、どうもわたしが「あとがきに代えて」マルクスが入っていない理由を延々と書いたことが、あまりお気に召さないようではあります。

題名通りの本ではない。現在、一般の人が思い浮かべる「働き方改革」の話題とは、ほぼ無関係の本。
中身は、マルクス主義抜きの労働運動の仕組みの世界史。つまりマルクス主義抜きの労資関係理論の歴史。
ただの歴史では目立たないと思ったらしく、古典なるものを12冊本棚から引っ張り出してきて、そのキモを解説し、進めていく。
一部を除くと、復刻も再販も文庫化もなく、普通の読者とも普通の労働者ともほぼ無縁の本で、これから読む気にもなれないが、もし読むとなると、一冊につき、数日から数週間はかかりそう。
だが、著者のキモ解説(キモいではない。肝の解説のこと)は数分で読める。
著者のキモ解説が原著の内容を反映しているかどうかは確認は不可能だが、、著者の主張を語るために古典を使っているようなので、反映していなくとも別にかまわない。趣向はグッド。 

「趣向はグッド」といいながら、わたくしのスタンスにはあまり同意しがたいものを感じられているようで、

12番目に出てくるのが、藤林敬三の『労資関係と労使協議制』1963年。1章分使ってこの本を紹介する第4章がこの本のキモ。
労働運動や労働組合の未来を予言し、それがピタリ当たっているといった藤林本への過大な褒め言葉と著者の左翼組合批判が並び、主張にはあまり賛同できないが、話はポピュリズム的に分かりやすい。 

褒めてるような、貶しているような、しかしやはり褒めてるような、曰く言い難い評言です。

結論はこれです。

評価は星5個とした。著者の主張には賛同できないところが多いが、本はユニークでベリグド。 

意見が違う、というかおそらく真反対であるにもかかわらず、本書のコンセプトをここまで高く評価していただいているその評価の公正さには、心から感謝申し上げるしかありません。ありがとうございます。

 

« 『季刊労働法』2020年秋号(270号) | トップページ | 日経ビジネスオンラインにインタビュー記事 »

コメント

いつも楽しくサイトを拝見させていただいております。

「働き方改革の世界史」は発行時に読ませていただきました。非常に勉強になりました。
最近、日経が掲載している「The Economist」の翻訳記事に「Power and Progress」という本が
紹介されており、まだ日本語訳はされていないのですが、取り寄せて読んでいます。
(2023年8月22日の7面の記事です。本の作者はDaron AcemogluとSimon Johnsonという方でした。)
もしかしたら濱口先生は既に把握されているかも知れませんが、読み進める中で、
この本は「働き方改革の世界史」のさらに源流を書いた本だと強く感じました。
(特にイギリス産業史について、「働き方改革の世界史」に至る流れが非常に明確でした。)
「Power and Progress」の後に「働き方改革の世界史」を読むことにより、日本における
労働法や労働組合の在り方が、どのような時代の流れによって今の形にたどり着いたが、
より明確に把握できるのではないかと思います。
このような思いから、いつか何らかの形で濱口先生がこの本についてコメントいただけることを
期待しております。労働組合の役員としても、先生の世界史を含め、このように組合活動に
理論的な筋金を与えてくれる本の出版は非常にありがたいです。

コメントありがとうございます。
ご紹介の本は、邦訳が出たらぜひ読ませていただき、書評の対象にしたいと思います。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 『季刊労働法』2020年秋号(270号) | トップページ | 日経ビジネスオンラインにインタビュー記事 »