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2020年9月 6日 (日)

劇団員の労働者性

今年5月9日に、平田オリザさんの発言をきっかけにこんなエントリを書き(全文は下の方にコピペ)、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2020/05/post-787eb0.html(コロナと支援とやりがい搾取)

その最後の一節でこう書いたんですが、 

そのうち、劇団員の労働者性というテーマに取り組んでみるのも一興かもしれません。。 

一興に取り組む前に、裁判所が結論を出してしまったようです。

https://www.bengo4.com/c_5/n_11681/(「劇団員も労働者」 劇団の運営会社に「未払い賃金」の支払い命じる…東京高裁)

劇団員が労働者であるか否か(労働者性)が争われた訴訟で、画期的な判決があった。
元劇団員の男性が、劇団の運営会社「エアースタジオ」に未払い賃金の支払いをもとめた訴訟の控訴審で、東京高裁は9月3日、男性が公演に出演したことなどについても労働者性をみとめて、会社に対して約186万円の支払いを命じる判決を下した。 

というわけで、数か月前のエントリですがここに再掲しておきます。あぁ、そんなこともあったなぁ、と思いだす方もいるでしょうね。

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Hirataoriza03 なんだか演劇家の平田オリザ氏の発言がネット上で批判を浴びて炎上しているらしく、平田氏自身の反論にその発言が載っていますが、

http://oriza.seinendan.org/hirata-oriza/messages/2020/05/08/7987/

Q:政府の支援策などが出ていますが?
非常に難しいと聞いています。フリーランスへの支援に行政が慣れていないということが露呈してしまったかなと思います。1つには、小さな会社でも「融資を受けなさい」と言われているのですが、まず法人格がないところが多いと。それから、ぜひちょっとお考えいただきたいのは、製造業の場合は、景気が回復してきたら増産してたくさん作ってたくさん売ればいいですよね。でも私たちはそうはいかないんです。客席には数が限られてますから。製造業の場合は、景気が良くなったらたくさんものを作って売ればある程度損失は回復できる。でも私たちはそうはいかない。製造業の支援とは違うスタイルの支援が必要になってきている。観光業も同じですよね。部屋数が決まっているから、コロナ危機から回復したら儲ければいいじゃないかというわけにはいかないんです。批判をするつもりはないですけれども、そういった形のないもの、ソフトを扱う産業に対する支援というのは、まだちょっと行政が慣れていないなと感じます。 

他のもろもろのことを抜きにして言えば、これはある意味その通り。これまでのオイルショックやリーマンショックが重厚長大型の製造業中心に打撃を与えたのに対し、今回のコロナショックが飲食店や対人サービス業などの、まさに自粛せよと言われている人と人との接触そのものを価値創出の源泉にしている産業分野に最も激しく打撃を与えているのであり、それがたとえば雇用調整助成金のような仕組みがうまく回らない一つの原因でもあるわけで、言っていることそれ自体は、客観的な記述としてはそれなりに正しいところがあります。

ただ、そういうことを言っている平田氏の当該事業運営の在り方はというと、これはこういう芸術風味の産業分野ではどこもなにがしかそうなんでしょうが、労働社会学でいうところの「やりがい搾取」の典型みたいなところがあり、演劇やりたいとばかりに薄給無給でアルバイトしながら当該演劇労働力を活用している事業主である平田氏が、そういうところには口を拭って堂々とこういう発言をすることには、自分が活用している労働力に対してはもう少し手厚い扱いをしている製造業をはじめとする他産業の人々がカチンとくるのは、まあ、ある意味こちらもむべなるかなというところもありますな。

https://www.wonderlands.jp/interview/010hirata/3/

-食べていけるというのはどれぐらいの収入を指しているんですか。
平田 最低限です。手取り月収15万円ぐらい。いまはフルタイムで働いて13万円ぐらいですかね。あとは他で、アルバイトもしてもらう。
-劇団の出演料は時間給制度になっていますよね。これも個人差があるんですか。
平田 それほど細かな区別はしていませんが、新人だけ少し低めになっています。
劇団の全体収入と必要経費は決まっているので、それ以外は全部ギャラに回しますよ、というのがうちの基本的な考え方です。おおざっぱに言うとそれを総労働時間数で割ると、時給500円ぐらいになります。 

基本給は、年齢ではなくて、出演舞台数で4段階に分かれて、新人は時給300円、これはホントに見習い期間の時給ですね。あとは400円、450円、500円と分かれている。劇団員の大部分は、時給500円です。あとは職種別に、標準がA、特殊がB、ふじみ勤務がF、いまS指定といって超特殊技能や拘束時間が長い勤務もあります。

パイは決まっているわけですから、あとは配分の仕方を、みんなの意見を聞いて、私が裁断するという流れですね。
-平田さんはアゴラ劇場の支配人、青年団の作・演出家で主宰、(有)アゴラ企画の少し前まで代表取締役でいま役員。すべてを平田さんが決めるのですね。
平田 そうです。天皇制社会主義ですね(笑)。万民の意見を聞きつつ、ですね。 

天皇制社会主義ですか・・・。名前が「アゴラ」ってのも、なんとも尻がむずがゆくなりますが、まあそれはともかく、「パイは決まっている」といって最低賃金を下回ると、製造業等他のまっとうな産業分野では当然労働基準監督官がやってきて是正勧告を切るわけですが、さいわい自分たちで労働者じゃないといってくれる演劇労働力なので、「万民の意見を聞きつつ」「すべて平田さんが決める」というミクロ独裁体制でやれるわけです。

そのうち、劇団員の労働者性というテーマに取り組んでみるのも一興かもしれません。。

(参考)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/09/post-dc7b.html (タカラジェンヌの労働者性)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/09/post-8a7f.html (ゆうこりんの労働者性)

その他、本ブログの人気番組「〇〇の労働者性」シリーズの目録はこちらにずらっと並んでいますので、お暇な方はぜひ。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/09/1765-9678.html (17歳アイドル 異性交際規約違反で65万賠償命令)

 

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