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2020年9月 4日 (金)

神津連合会長の本当の気持ち または 神津里季生『神津式 労働問題のレッスン』(再掲)

マスコミでは連合が野党の離合集散騒ぎに巻き込まれてぐちゃぐちゃの様相ですが、ここは一つ、2年前に神津連合会長が出されたこの本を改めて読み返してみるべき時期ではないでしょうかね。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2018/02/post-51c7.html(神津里季生『神津式 労働問題のレッスン』)

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Kodu_2現連合会長の神津里季生さんより『神津式 労働問題のレッスン』(毎日新聞出版)をお送りいただきました。ありがとうございます。

http://mainichibooks.com/books/social/post-528.html

右の書影にあるように、オビの文句は「働く人の苦しみと悩みを解決するために」とありますが、本書はどうしても政治的な文脈の中で読まれ語られてしまうことはやむを得ないのでしょうね。

本書の後ろ半分は、サンデー毎日に「暮らしの底上げ」というタイトルで連載されていたコラムで、もともとはそれを一冊にまとめるというものだったのでしょうが、昨年の解散総選挙の時の周知の騒ぎがあり、その時の詳しい事実関係を明らかにし、連合の(あるいは神津会長自身の)政治に対する考え方を示そうとする部分が100パージ余り本書の前半を占めていて、おそらく読者の圧倒的大部分はそちらを熱心に読んで、またあれやこれや論ずることになるのでしょうね、と。

既にいくつかの新聞に一部出ていますが、昨年の総選挙直前の騒ぎを神津さんの立場からの目で改めて振り返ってみると、結局、連合が、あるいはより広く労働組合というものが、政治的な数の資源という目でしか見られていない政界というものの問題点がじわじわと感じられてきます。

様々な観点からいろいろと面白い箇所を見つけることができる本だと思いますが、私には、「自民党じゃなぜダメなの?」というタイトルの項で、安倍首相の政策について論じたところが、興味深かったです。


・・・しかし、手っ取り早く政党支持の自民党にすれば良いかというと、それとこれとは話の性格がまったく違うと言わざるを得ない。

誤解を恐れずにいえば、最近の安倍総理の融和的な労働政策や分配重視の傾向、それ自体については、私はうわべだけのものとは思っていない。総理自身も仰っていることだが、ご自身がいわゆる社労族としての認識を強く持っておられて、ここ最近の、連合と方向性のさほど違わない施策遂行はご本人の信念に基づくものであると感じている・・・。

かつての歴史をとたどると、安倍総理のこのような心情は母方の祖父の岸信介元総理のそれとつながっていることが分かる。安保の問題ばかりが目立っているが、最低賃金制や皆年金・皆医療保険制度などの制度改革も岸本総理の実績の一面を表したものであり、その点も含めた心情のつながりなのである。

さらにいうと、私もつい数年前に知ったことだが、岸元総理の一高・東京帝大時代の親友であった三輪寿壮は1955年の社会党の左右合同に尽力した人であり、その点も安倍総理の意識の中にあるそうだ。・・・

この辺りの話は本ブログでも何回か取り上げてきたことはありますが、三輪寿壮まで出てくるとは驚きでした。

もひとつついでに、「自公はダメなの?」という項の最後のところと、とりわけその直後の、具体的に名前は出さないものの何かが挟まった感じの一連のパラグラフが、神津さんのいろんな思いを示しているのだと思われます。


・・・私は連合でも例えば、「底上げ」に不可欠な中小企業政策の強化や本質的な改善を図るためには、、自民党・公明党とも政策を共有した輪が必要ではないかと真剣に考えた時期がある。与党議員の中にこの分野で造詣の深い方々はもちろん多い。懐の深さや人間味を感じさせつつおつきあいをさせていただいている方々もいる。二大政党政党的運営が定着したら実行に移したいなどと内心では思っていたのだ。

しかし今はその思いは封印せざるを得ない。小選挙区制のジレンマでもある。本来目指していた二大政党的運営が定着していかないと、この小選挙区制度はなかなかしんどい制度だ。・・・

労働まわりでも結構多くの方々が、自公にもものの分かった議員がいっぱいいるのに・・・みたいなことを言われるのですが、神津さん自身もそれを感じつつ「しんどい」思いをされているわけです。

一方で、これはおそらく支持政党系の政治家の方々を念頭に置いているのでしょうが、


・・・2017年の総選挙では候補者個人個人と政策協定を結ぶこととなり、私は、「連合が推薦している候補は太鼓判を押している」と大見得を切ったものだ。しかし究極のところの「人物本位」、その真贋見極めはもっと徹底しなければならないとつくづく感じている。

一般的にわれわれ日本人は余りにも政党の人気や知名度だけで投票行動を決めつけすぎていないだろうか。せめてもう一歩だけでも踏み込んで、自分の選挙区の候補の資質や政策を見極める姿勢が必要ではないだろうか。それがない限り、この小選挙区制は永久に機能しないようにさえ私には思えるのだ。

バラバラ感ばかりが強調される野党だが、私の知る限り、信念を持ってぶれずに進む人、人と人との信頼関係を徹底的に大事にする立派な政治家も少なからず存在する。・・・

というわけで、この直後の段落にはある政治家の名前が登場するのですが、その名前を知りたい方は、是非本屋に行って、この本の86ページをめくってみましょう。

 

 

 

 

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