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2020年9月25日 (金)

浜田陽太郎『「高齢ニッポン」をどう捉えるか』

528819 朝日新聞の記者浜田陽太郎さんの『「高齢ニッポン」をどう捉えるか 予防医療・介護・福祉・年金』(勁草書房)をお送りいただきました。

https://www.keisoshobo.co.jp/book/b528819.html

新聞記者として長年社会保障報道に携わり、社会福祉士としても活動する著者による「高齢ニッポンの捉え方」。予防は日本を救うのか?公的年金はどこが大切なのか?テクノロジーは介護現場の人手不足を解決するか?正しいデータと事実関係を踏まえて、単なる問題点の指摘や批判にとどまらない建設的な議論のアリーナを開くために。

本書の値打ちは、ややもすればそうなりがちなメディアの世界の浜田さんが、上の写真のオビにあるように「悲惨なエピソードの消費に流れがちな「高齢ニッポン」の話題をどう捉え、建設的な議論につなげるか」を考え、「社会保障のメディアリテラシー」を諄々と説くところにあります。その爪の垢を煎じて飲んで欲しい人がいますねえ。

まあ、マスコミってのは因果な商売なのかもしれません。犬が人間に噛みついてもというはなしですが、序章のこの一節には思わず噴きました。

・・・・一方、「今日のロンドンの穏やかな天気を、気象学者が昨日正確に予測」というニュース記事を書いても没になる。とロスリングはいう。同じように、年金が滞りなく払われたとか、病院で医療が1-3割の自己負担で受けられたというニュースが新聞やテレビで報じられることはない(もし米国でこれが実現したら世紀の大ニュースになる)。

で、浜田さん曰く、

・・・社会保障に関しても「悪い出来事」「足らざるところ」を報じる意義を否定するつもりは毛頭ない。でもその前提として、私たちが築いてきた支え合いの仕組みを適正に評価した上で、批判をしなければ、それは単にネガティブイメージを振りまき、場合によっては、ポピュリズム政治への途を開く片棒を担ぎかねないと、私は思う。

まさしく、昨今の、共助としての社会保障を完全に無視して、自助か公助かばかりにヒートアップした挙げ句、消費税廃止だの、ベーシックインカムだのという戯言の世界にばかり迷い込んでいく、やたらに意識の高いりべらるっぽい方々の惨状を見るにつけ、浜田さんのこのマスコミ人らしからぬ(失礼)沈着な言葉の意義は重いというべきでしょう。

おわりにから、浜田さんのスタンスをよく示す台詞を:

・・・この世の中は「対立」が溢れているように見えるけれど、それを「煽る」のではなく、立場の違う人の話をよく聞き、「つなぐ」ことが必要だ。これが私の原点であり、そして今に至る目標となりました。・・・・

なお中身は以下の通りです。

はじめに

序 章 コロナ禍をどう転じさせるか

第1章 誰でも介護が必要に
 第1節 八〇歳まで働くはずが……。六九歳警備員の誤算
 第2節 人手不足と介護の「質」
 第3節 派遣で働くのは、なぜ「コスパ」がいいのか?
 第4節 テクノロジーは人手不足を解決するか
 第5節 「いい加減」は「よい加減」? 日本の介護職と一緒にスウェーデンで実習
 第6節 家族と地域の責任とは

第2章 予防は日本を救うのか?
 第1節 テクノロジーと医療
 第2節 永田町・霞が関で経産省主導の「予防医療」
 第3節 予防医療の「聖地」、広島・呉を訪ねる
 第4節 「葉っぱビジネス」の町で 高齢者が活躍でも医療費減らない?
 第5節 生活習慣病は「自己責任」なのか

第3章 公的年金保険はどこが大切なのか
 第1節 お金としての「安定感」
 第2節 「主婦の年金」が導火線 二〇〇〇年代初頭の記録問題
 第3節 「宙に浮いた年金」「消された年金」
 第4節 非正規労働者問題の核心、厚生年金の適用拡大
 第5節 社会保険庁が残した教訓
 第6節 年金「制度」はどう報じられるか
 第7節 二〇〇四年年金改革の表と裏
 第8節 民主党の「年金改革」から学んだこと
 第9節 年金の「複雑さ」と格闘する
 第10節 「老後二千万円不足」問題から考える

終 章 高齢ニッポンをどう捉えるか 社会保障のメディアリテラシー
 第1節 首相官邸取材という異世界
 第2節 メディアが抱える三つの課題
 第3節 デジタル化をどう生かすか
 第4節 普通の現場は取材する現場とは違う
 第5節 「観客」「犠牲者」を脱するために

おわりに
 

 

 

 

 

 

 

 

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