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2020年9月 6日 (日)

自助・共助・公助といえば

この国の社会保障に関する議論のレベルの低さにはいつも嘆かされますが、今回もまた「自助・共助・公助」をめぐって、レベルの低さ競争が加速しているようです。

この言葉を掲げたのはもちろん、2012年民主党政権下で始まり、2013年安倍政権下で取りまとめられた社会保障制度改革国民会議の報告書ですが、おそらく今回この言葉をもてあそんであれこれ騒いでいる人のほとんどが、そんなこと疾うに脳みそから抜け落ちているんでしょうね。

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/pdf/houkokusyo.pdf

2 社会保障制度改革推進法の基本的な考え方

(1)自助・共助・公助の最適な組合せ

日本の社会保障制度は、自助・共助・公助の最適な組合せに留意して形成すべきとされている。

これは、国民の生活は、自らが働いて自らの生活を支え、自らの健康は自ら維持するという「自助」を基本としながら、高齢や疾病・介護を始めとする生活上のリスクに対しては、社会連帯の精神に基づき、共同してリスクに備える仕組みである「共助」が自助を支え、自助や共助では対応できない困窮などの状況については、受給要件を定めた上で必要な生活保障を行う公的扶助や社会福祉などの「公助」が補完する仕組みとするものである。

この「共助」の仕組みは、国民の参加意識や権利意識を確保し、負担の見返りとしての受給権を保障する仕組みである社会保険方式を基本とするが、これは、いわば自助を共同化した仕組みであるといえる。

したがって、日本の社会保障制度においては、国民皆保険・皆年金に代表される「自助の共同化」としての社会保険制度が基本であり、国の責務としての最低限度の生活保障を行う公的扶助等の「公助」は自助・共助を補完するという位置づけとなる。なお、これは、日本の社会保障の出発点となった 1950(昭和 25)年の社会保障制度審議会の勧告にも示されている。

社会保障制度改革においては、こうした自助・共助・公助の位置づけを前提とした上で、日本の社会経済の情勢の変化を踏まえて、その最適なバランスをどのように図るのかについて議論が求められている。 

今回のコロナ禍が改めて露呈したのは、この「自助の共同化」としての共助が、そもそも本来皆保険になっているはずの被用者においてすら穴だらけで真に必要な層が零れ落ちているだけではなく、その外側のフリーランスとして排除されている層にもこの「自助の共同化」の網が拡大されなければならないという事実だったと思われるのですが、そういうのを全部すっ飛ばして、何やら万能の神の手のごとく公助ばかりを叫ぶ薄っぺらな議論が横行する姿を見るにつけ、頭の中が何も進んでいない人々の群れに絶望的になりますね。

一方で、まさに本来的な共助であるはずの年金を捕まえて、自分の積み立てた貯金であるかのように思い込む「ワシの年金」バカを煽り立てるほど言葉の正確な意味での自助が大好きなんだから、始末に負えない。

まあ、年金と言えば年金記録しか興味がなく、税金といえば消費税減税しか発する言葉がないような無脳な連中が百人寄ろうが二百人寄ろうが何の期待も持てないのはわかり切った話ですが。

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コメント

>自助や共助では対応できない困窮などの状況については、受給要件を定めた上で必要な生活保障を行う公的扶助や社会福祉などの「公助」が補完する仕組みとするものである。

GNPが3割近く減少する状況では、自助や共助では対応できない事が多いので、公助で対応すべきだと思います。


>おそらく今回この言葉をもてあそんであれこれ騒いでいる人のほとんどが、そんなこと疾うに脳みそから抜け落ちているんでしょうね。
>そういうのを全部すっ飛ばして、何やら万能の神の手のごとく公助ばかりを叫ぶ薄っぺらな議論が横行する姿を見るにつけ、

仰るように、自助を行わずに最初から公助に頼るのは問題だと思いますが、公助が受けられる状況なのに自助を強調して公助が受けられないのも問題だと思います。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00118/00091/
「人に迷惑をかけるな」という呪いと自助社会の絶望感
生活保護を不正に受給してるのは生活保護の受給者のごく一部だそうですが、生活保護を受けられるのに受けていない人は受給者の何倍もいるそうです。そのような状況で優先すべきなのは自助の推奨ではなく公助の範囲を広げる事だと思います。


>今回のコロナ禍が改めて露呈したのは、この「自助の共同化」としての共助が、そもそも本来皆保険になっているはずの被用者においてすら穴だらけで真に必要な層が零れ落ちているだけではなく、その外側のフリーランスとして排除されている層にもこの「自助の共同化」の網が拡大されなければならないという事実だったと思われるのですが、

「自助の共同化」としての共助である公的な仕組みの対象を広げるというのは、公的な業務(公助)の一環だと思います。


>税金といえば消費税減税しか発する言葉がないような無脳な連中が百人寄ろうが二百人寄ろうが何の期待も持てないのはわかり切った話ですが。

民主党政権時に新総理と苗字が同じ漢字の総理が参議員選挙直前に消費税増税を示唆しました。その政権はそれまでは支持率が高かったのですが、増税発言で支持率が急落し参議院選挙で与党は参議院の過半数を失い、政権再交代の大きな要因になりました。
また安倍政権が長く続いた大きな要因は3回の総選挙に全て勝った事ですが、2回目の総選挙で勝った大きな要因は消費税増税の延期を公約にした事でした。この様に自民党政権でも民主党政権でも消費税の増税(を公約にして選挙に勝って実現する事)は非常に困難だと思います。
税金に関して
  社会保障費の増額や財政再建のために消費税を増税すべきだ
という(脳はあるかもしれないが実現性の薄い)主張を聞くと、自民党の谷垣氏が幹事長だった時の
  与党政治家は言いたいことを言いつのればいいという責任の浅いものではない。
  物事が進み、世の中がそれなりに治まる状況をつくることこそが与党政治家だ。
という発言を思い出します。
新総理は 自助、共助、公助と絆 がモットーだそうですが、富裕層や内部留保が多い企業の方は、このモットー(共助や絆)に基づき自助が困難な人のためにより多く負担して頂きたいと思います。

Alberichさん

こういう言い方はしたくないのですが、このブログにコメントしたいのであれば、濱口先生の意見を正確に理解されるのはもちろんのこと、もう少し税や社会保障に関する専門家の先生の書いた物をきちんと読んでから出直されるべきです。たとえば初学者向けです恐縮ですが、『ちょっと気になる社会保障」『教養としての社会保障」とか、読まれたでしょうか。

>社会保障費の増額や財政再建のために消費税を増税すべきだという(脳はあるかもしれないが実現性の薄い)


逆に「減税」派の方々の主張の実現性は、社会保障費の大幅削減なしにはほぼゼロですし、そして同じく減税を主張する竹中平蔵氏の発言力が菅政権以降に一気に強くなり、減税論は危険なものでしかなくなりました。「減税」派の人は増税による社会保障を「お花畑」と嘲笑する一方で、自分たちの「お花畑」は反省できない人たちでがっかりします。消費税で崩壊しそうな社会保障費をなんとか死守している、と言う「現実」に真摯に向き合っていただければと思います。二木立先生のインタビューを百回繰り返し読むことをお勧めします。https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/pm-abe-niki-1

菅直人政権についても、消費税で政権を失ったわけではありません。当時の雰囲気をよく記憶していますが、「マニフェスト」が実現不可能なことは明らかで、その実現にこだわるとますます支持率が下がる状況の下で、やむなく消費増税に舵を切ったこと自体は、さほど批判されていませんでした(批判されていたのは菅氏の人格や小沢氏との内輪揉めです)。「消費税脳」から少し自由になった方がいいと思います。

コメント欄を汚してしまい、失礼しました。

いち社会的左派殿

民主党政権に関する意見です


>菅直人政権についても、消費税で政権を失ったわけではありません。

菅直人政権で参議院の過半数を失った事は政権再交代の大きな要因だったと思います。野党が参議院の過半数を握っていれば、与党は野党の協力なしに法案を成立させる事は非常に困難です。このため政権運営が非常に制約されると思います。民主党が政権交代を実現した大きな要因は、第一次安倍内閣末期の参議院選挙で与党が過半数を失い、それ以降の福田政権や麻生政権での政権運営が非常に制約された事だと思います。


>「マニフェスト」が実現不可能なことは明らかで、その実現にこだわるとますます支持率が下がる状況の下で、

それは鳩山政権についてだと思います。いち社会的左派殿が仰る理由で鳩山内閣の支持率が落ちたのであれば、国民は鳩山内閣ではなく民主党政権自体に問題があると考えているはずなので、同じ民主党政権の菅直人内閣になっても支持率は上昇せず、(野党の)自民党の支持率が上昇するはずです
しかし
http://honkawa2.sakura.ne.jp/5236a.html
によると、鳩山内閣の支持率はつるべ落としですが、菅直人内閣の支持率は成立直後はかなり回復しています。また自民党の支持率は鳩山内閣から菅内閣に代わってもあまり上昇していません。これは国民の多くが、鳩山内閣には問題があったが、それは民主党政権の問題ではなく、鳩山内閣自体の問題であった と考えていたからだと思います。


>やむなく消費増税に舵を切ったこと自体は、さほど批判されていませんでした

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2010-07-11/L5E95Y0D9L3501
    参院選:「民主にお灸」「消費税上げは歳出削減が先」-投票者の声

https://www.realpolitics.jp/senkyo/2010sangiin/bunseki100709.html
    RPJ編集部 自社調査から見る選挙戦終盤の読み方
によると、選挙直前に消費税増税を提言した事に反発して他党の候補に投票した人や棄権した人も多かったようです。また上で引用した支持率の記事によると、菅直人内閣の支持率は成立直後は高くて一時下がってまた戻っています。これは消費税増税発言で支持率が下がったが、参議院選挙で敗北した(お灸をすえた)事で満足して支持が戻ったように見えます。

>当時の雰囲気をよく記憶していますが、

私の周りの当時の雰囲気は少し違っていました。「マニフェスト」に実現不可能な事が多い事は分かってきましたが、それでも自民党政権では実現できなかった事(児童手当の創立等)が少しでも実現できれば政権交代の効果があった と考える人も多かったように思います。
私は、鳩山氏は悪い人ではないが、いわゆる 天然 とか 不思議ちゃん と言われる性格で首相には向いていない と思っていました。菅直人氏が首相になって、今度はまともな人が首相になった と期待しましたが、消費税増税を突然提言して唖然としました(やると言っていた事ができなかった事には情状酌量の余地がありますが、やると言ってなかった事をやるのは話が違います)


>(批判されていたのは菅氏の人格や小沢氏との内輪揉めです)。

菅氏の人格が問題になったのは福島以降だと思います(政府の原子力安全機関のトップが"原発は原理的に爆発しません"と断言した直後に福島の事故が起きた事にキレて、以降は政府の専門家を無視して自分や友人(の専門家)の意見に基づいて行動した) 
小沢氏が内輪揉めを起こしたのは野田内閣で消費税増税を決定してからだと思います。

いち社会的左派殿

消費税の「増税」派と「減税」派に関する意見です


>逆に「減税」派の方々の主張の実現性は、社会保障費の大幅削減なしにはほぼゼロですし、そして同じく減税を主張する竹中平蔵氏の発言力が菅政権以降に一気に強くなり、減税論は危険なものでしかなくなりました。

いち社会的左派殿の仰る「減税」派とはどのような方々でしょうか?
竹中平蔵氏が主張しているのは消費税減税でしょうか、それとも法人税や高所得層の減税でしょうか?安倍内閣は法人税を減税しましたが安倍内閣は「減税」派でしょうか?また消費税減税を主張される方には大企業や高所得層への増税を主張される方も多いですが、これらの方は「減税」派でしょうか、それとも「増税」派でしょうか?


>「減税」派の人は増税による社会保障を「お花畑」と嘲笑する一方で、自分たちの「お花畑」は反省できない人たちでがっかりします。
>「消費税脳」から少し自由になった方がいいと思います。

「減税」派の人は、消費税「増税」派の人は消費税増税によらない社会保障の維持を「お花畑」と嘲笑する一方で、自分たちの「お花畑」(消費税増税の実現可能性や実現した場合の低所得層への影響の軽視)は反省できない人たちだと思っているかもしれません。また社会保障維持のための財源を消費税増税に限定している事を「消費税脳」だと思っているかもしれません。
以前のコメントで引用した谷垣氏の発言ではありませんが、消費税の「増税」派と「減税」派の双方が、言いたいことを言いつのって、互いに相手を ”お花畑だ” とか ”消費税脳だ” とか ”無脳だ” とか批判しあっても物事が進むとは思いません。「増税」派も「減税」派も互いに相手の批判を考慮して、少しでも物事が進み世の中がそれなりに治まる ように協力して検討すべきだと思います。
私は今の社会保障制度を維持する銀の弾丸は存在せず、多くの方面で努力して少しずつ改善していくしかないと思います。例えば予算削減によって保健所の数が減少したため、コロナへの対応が遅れた という批判があります。その通りだと思いますが、保健所の側にもFAXを使用していたり外部機関を利用しなかった等の業務効率を改善する余地があったと思います。


>消費税で崩壊しそうな社会保障費をなんとか死守している、と言う「現実」に真摯に向き合っていただければと思います。

コロナ禍への対応で消費税を減税すると社会保障費が削減されるのでしょうか?
もちろん「減税」派にも様々な主張の方がいらっしゃいますが、「減税」派の主流は、コロナ禍への対応として消費税を一時的に減税(全廃ではない)しよう という意見だと思います。
例えばコロナ禍への対応として、労働者の解雇を防ぐために国が賃金の一部を肩代わりする雇用調整助成金は、現在でも毎週1000億円程度が支給されているそうです。これは年間だと数兆円規模の支出ですが、このために社会保障費を削減するという動きはありません(おそらく支出は赤字国債の発行で賄っていると思います)
しかし雇用調整助成金の対象は労働者であって、例えば(コロナ禍の影響が大きい)家族でやっている店などは対象外です。その様な人に広く対応するために、赤字国債を発行して消費税の一部(軽減税率)を減税(8%→5% or 3%)するという案は、対象の範囲や支出の規模から考えてそれほど無茶苦茶な案だとは思いませんし社会保障費も削減されないと思います。

いち社会的左派殿

社会保障維持のための消費税増税に関する意見です


>もう少し税や社会保障に関する専門家の先生の書いた物をきちんと読んでから出直されるべきです。

  社会保障制度を維持するために消費税を増税すべき
という意見に関してですが、私は
 ・消費税増税の実現可能性
 ・実現した場合の低所得層への影響
についてよく理解できない点があります。
これらの点についてし税や社会保障に関する専門家の先生がどのように考えているのか分かりません。いち社会的左派殿がご存じでしたら教えて下さい。また、いち社会的左派殿はこれらについてどのようにお考えですか?

・消費税増税の実現可能性
  社会保障制度を維持するために消費税を増税するには選挙で増税に対する国民の支持を得なければなりません。社会保障制度を維持するために消費税の増税が必要だ というのは正しいと思いますが、正しい事を主張すれば国民の支持が得られるでしょうか?イギリスでは正しい事を主張しても国民の支持が得られなかったと思います。
イギリスではEU離脱に関して政府が提唱して国民投票を行い離脱が決定しました。経済的には離脱はイギリスに不利なので離脱に反対だった政府は、国民に説明すれば国民は理解して離脱は否定されると考えて国民投票を実施しましたが、地方の労働者層の多くが賛成したため離脱は可決されました。彼らには離脱に賛成したのではなく離脱反対に反対した人も多かったそうです。つまり政府が行った規制緩和により都市の高所得者層には大きな恩恵がありましたが、地方の労働者層にはほとんど恩恵がなかったそうです。このため地方の労働者層には離脱に反対している政府や都市の高所得者層への反発から離脱に賛成した人も多かったそうです。
日本でも同様な事が起きないでしょうか?安倍内閣は法人税を減税しました。また金融所得に対する税率が低いため高所得者層課税率もそれほど高くないそうです。政府が消費税増税を公約して選挙をしても、消費税増税の是非より大企業や高所得者層を優遇する政府への反発から増税に反対する(消費税上げは大企業や高所得者層への増税が先)という事は起きないでしょうか?

・実現した場合の低所得層への影響
  消費税は低所得層にも高所得層と同じ割合課税されるので増税された場合の低所得層への影響が大きいと思います。
例えば、十分な社会保障制度を実現するために消費税を20%にすべきだ と主張される方がいます。消費税を10%→20%にすると価格は約1割(120/110)上昇します。これは所得が約1割減少する事に相当します。現在(社会保障の対象ではないが)ギリギリで生活している方の所得が1割減少すれば、それらの方は新たに社会保障の対象になるのではないでしょうか?
第二次大戦末期の日本を描いた小説で登場人物が
  降伏を受け入れると(勝利を信じて戦死した)英霊に申し訳ないと言って
  戦争を続けて新たな英霊を作るのはバカげている
と言う場面がありました。消費税増税に関しても
  消費税増税をしないと社会保障を維持できず現在の社会保障対象者に申し訳ないと言って
  消費税増税をして新たな社会保障対象者を作るのであれば、いかがなものか
という気もします。

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