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2020年8月13日 (木)

労働問題としてのセックスワーク@『国際比較労働法・労使関係雑誌』

最近も、藤田孝典さんがツイッター上で風俗産業就業者をめぐっていろいろと論争しているそうです。

https://twitter.com/fujitatakanori

https://twitter.com/kanameyukiko

Ijcl ここでは、もちろんその議論に加わるつもりはありませんが、セックスワークをめぐる問題は世界的にも労働法や労使関係に関わる重要な問題として議論されており、そこでの論点は日本でこの問題を論ずる人々にも何らかの参考になる可能性があると思われ、ごく最近の論文を紹介しておきます。

Bndcwrgh_400x400 クルーワーから出ている『国際比較労働法・労使関係雑誌』(International Journal of Comparative Labour Law and Industrial Relations)の最新号(2020年7月)に、エクスター大学ロースクール講師のInga K. Thiemannさんが書かれている『ドイツにおけるセックスワーク規制、反人身売買政策、及びそのセックスワーカーの労働権への影響』(Sex Work Regulation, Anti-trafficking Policy, and Their Effects on the Labour Rights of Sex Workers in Germany)という論文です。

https://kluwerlawonline.com/journalarticle/International+Journal+of+Comparative+Labour+Law+and+Industrial+Relations/36.2/IJCL2020011

This article provides an analysis of regulatory approaches to sex work, the status of sex workers’ labour rights, and the conflation of sex work and human trafficking, with reference to the example of Germany. It assesses the strengths and weaknesses of Germany’s approach to the regulation of prostitution and the ways it has been influenced by international debates challenging the status of sex work as work, as well as concerns about human trafficking. It analyses the Prostitution Act 2002 (ProstG), and the Prostitute Protection Act 2017 (ProstSchG), and their effects on the rights and working conditions of sex workers, as well as their aim of improving the safety of vulnerable sex workers and reducing the level of human trafficking and exploitation in the German sex industry. In particular, the article considers the impact of this legislation on those working in the sex industry, especially migrant women and those at risk of exploitation. Through its analysis of the existing approach to sex work in Germany, the direction of reform and the absence of a labour-rights approach to the regulation of sex work and the prevention of trafficking, the article highlights the fact that even a country that is -in principle - willing to accept sex work as work, has failed to grant labour rights to sex workers. The article argues that the Prostitute Protection Act has in some ways increased the vulnerability of sex workers rather than promoting their safety. In addition, it is argued that legislators should consider labour protection and labour rights as an alternative means of protecting sex workers, rather than (re)criminalizing aspects of sex work in the name of ‘protecting’ women by means of prohibition or control. Adopting a labour-rights approach rather than paternalistic approach would have the potential to bring about far-reaching reform of the relevant legislation both in Germany and internationally.

 

本稿はドイツの例を参照しながら、セックスワークへの規制的アプローチ、セックスワーカーの労働権の地位、及びセックスワークと人身売買の一緒くたの分析を提供する。ドイツの売春規制へのアプローチの利点と弱点及びそれが労働としてのセックスワークの地位に挑戦する国際的な議論や人身売買に関する懸念によって影響されてきたかを評価する。2002年の売春法と2017年の売春保護法及びそのセックスワーカーの権利や労働条件、その脆弱なセックスワーカーの安全を高め、ドイツセックス産業における人身売買や搾取の水準を引下げようとするその目的への影響を分析する。特に、本稿はこの立法がセックス産業で働く人々、とりわけ移民女性や搾取のリスクにさらされている人々への影響を考察する。ドイツにおけるセックスワークへの既存のアプローチ、改革の方向及びセックスワーク規制と人身売買防止への労働権的アプローチの欠如の分析を通じて、本稿は原則としてセックスワークを労働として承認しようとする国であっても、セックスワーカーに労働権を付与していないという事実を明らかにする。本稿は、売春保護法がセックスワーカーの安全を促進するよりもその脆弱性を増大させていると主張する。さらに、禁止や規制という手段により女性を“保護”するという名の下にセックスワークの諸側面を犯罪化するのではなく、立法者は労働保護と労働権をセックスワーカー保護の代替的手段として考慮すべきだと主張する。家父長制的アプローチよりも労働権的アプローチを採用することで、ドイツのみならず国際的にも意味のある広範囲の立法改革をもたらす可能性がある。

本稿でとりわけ私が関心を持ったのは、「3.2 労働権とセックス産業における雇用、自営業、偽装自営業」という節で、日本でもそうですがドイツでも恐らく世界中で、事実上諾否の自由のないセックスワーカーたちが自営業ということにさせられているケースが大変多いのですね。

・・・自営業はドイツのセックスワーカーにとって確かに選択肢ではあるが、セックス産業におけるいくつかのタイプの編成は他の産業であれば雇用とみなされるであろうカテゴリーに当てはまる。たとえば、労働時間とドレスコードを定める売春宿やサウナクラブは、指揮命令権の行使の側面を充たす。・・・

Eb5zq2avcaazoki_20200813135701 先日本ブログで紹介した『ディスガイズド・エンプロイメント』にも、風俗産業の偽装自営業は出てこないんですが、実は一人親方や傭車運転手といった伝統的な業種と並んで、けっこうな数に上っているはずです。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2020/07/post-99cb38.html

 

 

 

 

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