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2020年8月15日 (土)

こちらは本当に「あとがきに代えて」るんです

こういうつぶやきが目に入ったんですが、

https://twitter.com/nomikaishiyouze/status/1293925737557180416

むかし研究室の先輩が、「本の『結びにかえて』の『かえて』が嫌いなんです。替える必要ないでしょ、ちゃんと結べば良いじゃないですか」と言っていた。今日読んだ本の最終章が「結びにかえて」だったので思い出した。 

いやまあ、それはそれでごもっともなんですが、でも本当に「あとがきに代えて」、本来ならあとがきなんかではなくちゃんと本論で論じるような中身を、あとがきに持ってきているような場合には、「あとがきに代えて」と言ってもいいんじゃないでしょうか。

ていうか、実は来月早々にも刊行される濱口・海老原『働き方改革の世界史』の最後に、まさにその「あとがきに代えて」があるもので、言い訳をしたくなったんです。

働き方改革の世界史【目次】
 
序章 日本人が煙たがる「労働運動」というもの 
 
対岸の火事としての労働争議/日本の労働組合はガラパゴス的な形態をしている/協調的だが暴れ出すと手に負えない日本型の労働組合/社内調整のための仕組み/英米と欧州大陸国で異なる進化/片翼だけの労使関係の問題
 
第一章 トレードからジョブへ 
 
第1講 出発点は集合取引(コレクティブ・バーゲニング) 
シドニー&ベアトリス・ウェッブ、高野岩三郎監訳『産業民主制論』
【受講準備】会社を超えた広い連帯
【本講】労働思想の必読古典/失われた失業保険機能/集合取引とは、労働力を高く売ること/日本は生活給、イギリスは標準賃銀率/雇用の継続と日本型デフレ
 
第2講 「労働は商品じゃない」の本当の意味 
サミュエル・ゴンパーズ、S・ゴンパーズ自伝刊行会訳『サミュエル・ゴンパーズ自伝 七十年の生涯と労働運動(上巻・下巻)』
【受講準備】アメリカ労働総同盟の初代議長
【本講】アメリカ労働思想の古典と現代日本/労働組合主義から社会主義への反論/ネガティブな立法闘争/労働の大憲章/国防会議諮問委員会とILO
 
第3講 ジョブ型労働運動の哲学 
セリグ・パールマン、松井七郎訳『労働運動の理論』
【受講準備】ジョブ、ポスト、トレード
【本講】階級意識と仕事意識/ジョブ・コントロールの労働運動/先任権ルールと残業の考え方/現場労働者が作り上げ、決めていく/戦後日本との対比復習ノート1 トレード型とジョブ型 
 
第二章 パートナーシップ型労使関係という奇跡 
 
第4講 共同決定というもう一つの産業民主主義 
フリッツ・ナフタリ編、山田高生訳『経済民主主義 ― 本質・方途・目標』
【受講準備】労使関係のパラダイム・チェンジ
【本講】現代ドイツの労働システムの始祖/ナフタリって何者?/経済民主主義の源流/労働関係の民主化/教育制度の民主化
 
第5講 労使は経営共同体のパートナーシップ 
ギード・フィッシャー、清水敏允訳『労使共同経営』
【受講準備】労使双方の努力で構築
【本講】いわゆるライン型資本主義/経営パートナーシャフト―生活の安定/公正賃金/共同体のメンバーとしての従業員/組織原則の違い/フィッシャー経営学とカトリシズム
 
第6講 カトリックの労働思想 
W・E・フォン・ケテラー、桜井健吾訳・解説『労働者問題とキリスト教』
【受講準備】社会問題に切り込んだ聖職者
【本講】キリスト教と労働問題/カール・マルクスの商売敵/新たなギルドの模索 /職人組合と生産協同組合/カトリシズムというモノサシ
 
復習ノート2 ドイツ型労働システムの根幹 
 
第三章 パートナーシップなき企業内労使関係の苦悩 
 
第7講 労使パートナーシップへの淡い夢 
G・D・H・コール、和田耕作訳『労働者 ― その新しい地位と役割』
【受講準備】イギリスの消耗
【本講】今こそ読み返すべき還暦本/企業内部での経営参加を志向/日本型新卒一括採用が理想/完全雇用が必須な理由/ドイツや日本で実現した理想
 
第8講 パートナーシップなきイギリスの職場 
アラン・フランダース、岡部実夫・石田磯次共訳『イギリスの団体交渉制 ― 改革への処方箋』
【受講準備】労使関係は人間の権利と尊厳の問題
【本講】イギリス労使関係が大転換するきっかけ/事業所レベル交渉の弊害/従業員を相手にせよ/集団から個人へ
 
第9講 ジョブ・コントロール型労使関係は崩壊の一途 
バリー&アーヴィング・ブルーストーン、岡本豊訳『対決に未来はない ― 従業員参加の経営革命』
【受講準備】精勤・勤勉な労働の回復
【本講】アメリカ労働運動の中枢からアメリカ的労使関係を批判/監督はごみを拾うな/製品の品質に関心を持つな/日本のやり方に学べ/純粋メンバーシップ型宣言/挑戦は法的に頓挫
 
第10講 メンバーシップ型アメリカ企業の雌伏、栄光、挫折 
サンフォード・ジャコービィ、内田一秀・中本和秀・鈴木良治・平尾武久・森杲訳『会社荘園制』
【受講準備】外界と隔絶された共同体
【本講】非主流派、少数企業の物語/福祉資本主義の崩壊からアメリカ型内部労働市場システムへ/日本型雇用に酷似/現場管理者の権力を削ぐ/コダックの協和主義/雇用と所得、どちらが重要か/コダックと富士フイルム
 
復習ノート3 ノンユニオンという帰結 
 
第11講 労働者自主管理という理想像の逆説 
エドモン・メール、佐藤敬治訳『自主管理への道』
【受講準備】仏の労使の距離感
【本講】労働運動の思想的分裂/労働者自主管理と企業内労使関係/労働者を責任ある俳優に/あべこべの世界
 
復習ノート4 自主管理思想の理想郷とは 
 
第四章 片翼だけの労使関係 
 
第12講 従業員組合のアンビバレンツとその帰結 
藤林敬三『労使関係と労使協議制』
【受講準備】争議の現場をよく知る研究者
【本講】労使関係は二元的である/日本と欧米、最大の違い/上部団体の存在意義/第二組合がなぜ生まれるのか/組合が左傾化する背景/不可避の雰囲気闘争/妥協機関としての労働委員会/身内の争いは激しさを増す/組合を去勢する労使協議制/藤林の予言通りになった日本の労働社会
 
復習ノート5 戦後日本のパラドックス 
 
第五章 労働思想ってそういうことだったのか対談 
 
コレクティブ・バーゲニングの真相/アメリカはなぜジョブ・コントロールを確立できたか?/立法重視で行くべきか、現場を重視すべきか?/ドイツ型パートナーシャフトは奇跡の産物/労使共同経営って、いったい何をするの?/欧米に見られる日本型雇用への憧憬/日本社会に労働者代表制は取り入れられるか?
 
あとがきに代えて マルクスが入っていない理由 

ここ、8ページ分に及ぶ「あとがきに代えて」の中で、『HRmics』で連載を始めたいきさつとか、いかにもあとがきにありそうなことを書いているのは約2ページ半くらいで、残りはマルクス・エンゲルスからマルクス・レーニン主義に基づく労働運動の近年の動きまでを、なぜ本講ではマルクスやマルクス主義の古典を取り上げなかったかを説明する形で、1講起こすには足りない程度の短い分量の中にぶち込んでいるから、「あとがきに代えて」としか言いようがないんですね。

・・・・・労働思想の古典の第一回目がウェッブ夫妻というのはあまりにも常識的ですが、その後の私の選書はいささか常識外れだったのかもしれません。とりわけ、海老原さんがつけてくれた「マルクスなんてワン・オブ・ゼム」という連載時のサブタイトルにもかかわらず、本書には一冊もマルクスの本、いやマルクス主義系の本すらも収録されていないのは、いささか詐欺商法ではないかと思う人もいるかもしれません。いやもっとまじめに、マルクスこそ労働思想の最高峰なのに、それを無視するとは許し難い保守反動の書だ! と怒り心頭に発する人もいるかもしれません。
 そこで、「あとがきに代えて」、なぜマルクスの本やマルクス主義の本を本書で取り上げなかったのかをざっと説明しておきたいと思います。・・・・・・ 

「マルクスなんてワン・オブ・ゼム」じゃなくって、「マルクスなんてナン・オブ・ゼム」になっちゃったわけです。

 

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